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【和風】悪役義妹がお姉様の溺愛結婚を壊すまで  作者: 稲井田そう
第十二章お姉様を欲する変質者
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皇都直行列車③

これまで刀を鎺としてしまっていたのですが間違いで鍔(つば)となります。教えてくださった方々に、この場をお借りして改めてお礼申し上げます。そして現在感想のお返事が遅れていますが、感想でも「ここの刀違いますよ」というのも、めちゃくちゃありがたいですし嬉しいです。ありがとうございます。




 泥棒を謎文様で飲み込んだら、盗難被害に遭った品物諸々どうするんだろうと思いきや、盗品は確認後に返すとのことだった。確かに一回犯罪者のもとに渡った品物なので、変なものを埋め込まれていたら怖いわけで。


 ということで被害者対応をサクッとコミュニケーションバリ高マンの加寿が行い、私たちはもといた車両に戻ってきた。


「ふむ、こちらが最強のあやかしとやらですか」


 霧島先生が早速酒呑童子に興味を示している。


「で、彼は何を?」


 霧島先生は蝦蟇貪に問う。酒呑童子は富山局長の目の前で仁王立ちしていた。


「こいつすごい命令聞かないんだと! だから俺が見張ってる!」


 逆なんだよな普通。富山局長は「ハハ」と苦笑いをしていた。


「富山局長は……ねえ、ね」


 霧島先生が目を細めた。カスのマッドサイエンティストもお察し顔する富山局長イズ何。本当にこの人、何したんだろう。富山局長が元々戦闘局に居たことも知ってるし、それが異能の変化による……のも原因だろうけど……めちゃくちゃやり過ぎた結果、管理局に封印されたのではと疑う。


 でもそんな富山局長の命を奪って……今となっては鵺まで吸い込んだ……かつ呪いとか怨恨の塊というフンワリいわくつきの、私のこの刀についても怖くなってくる。千年桜は恋と咲くの物語を知っているからこそのアドバンテージより、そこにちょっと触れてるけどよく分からないもののほうがじわじわ怖いの何? 若干カスのマッドサイエンティストがかすむ。


「蓋も閉めるようになってくれはったら、ねえ。ええんですけど」


 真原さんが富山局長の後ろの席からさりげなく圧をかけた。


 そして皇龍清明様は霧島を一瞥した後、車窓を眺めていた。福野さんも同じように車窓を眺めていて、傍目に見れば二人でたそがれている。


 絶対、二人の心の声の量に差があるんだろうなと確信しながら、水社一心の隣に座った。


「皇都直行列車でも泥棒なんか出るんやなあ」


 真原さんの言葉に、熾窪が「え」と不思議そうな顔をする。


「いや、僕、皇都出身なんで。帝と密なところは、もしかしたら情報入ってないかもしれへんのですけど、実家戻るなったら、駅乗り継いでってなるんで。そのほうがずっと安いんで。安いぶん治安も中々……財布なんか鞄に入れておかれへんし」


「そうなのか……」


 熾窪が驚いていた。熾窪坊ちゃんだもんな。神社の息子で。多分だけど熾窪は特殊な部署にいるので、真原さんの経歴は知っている。でも、お坊ちゃんなので、列車の違いみたいなものが分からないのだろう。前世でたとえるならレトルト食品とか食べたことない系の坊ちゃんだ。


「真原の、情報は、知ってる。あれは、組織の問題だったと思う。資料での客観的な見立てとしては……」


 そして熾窪は気遣うように続けた。ハードボイルドとは到底思えない、視線の彷徨わせ方だった。


「ああ、全然、気遣わんといてください。ただただもう、僕の協調性の問題ですわ。恥ずかしい」


「真原……」


「真原さん」


 いつの間にか私たちの座席そばに霧島先生が立った。「交代して頂けませんか」と先生は微笑み、すぐに真原さんが立ち上がる。大変だ。蝦蟇貪とその護衛と富山局長……身内枠と他人の混合状態という、配慮100%マスターにとっては中々難しい座席だ。代わってあげようかな。


「少々、枯賀さんとお話がしたくて」


 駄目だ。交換権剥奪された。


 会釈で返していれば、霧島先生は「どうです。皇都の人間は」と世間話を持ち掛けてきた。解剖大好きマンのくせに。コミカライズの初登場、どんな漫画でもよくある、何かの大きな話の終わりにラスト一ページで新キャラが出てくる場面で、こいつがしていたのはあやかしの解剖である。知的好奇心バースト型で、あやかしや人間、異能や霊力の仕組みについて知りたいという欲求が満たせるという一点で軍に所属している。人を守れば軍で名声が上がり研究資金が得られなおかつ最前線であやかしと相まみえることが出来るという超絶合理的思考の元、軍医かつ帝直系の特務課という刑事ドラマの曲者ぞろいの特殊チームみたいなところのトップなのだ。いわば自供パートで変態化する殺人犯と検死、鑑識キャラとボスの最悪の魔合体。猫又が激キショバッタモンシリアルキラーサイコパスもどきだった一方、この霧島先生は激キショバッタモンシリアルキラーサイコパスもどきの皮を被ったガチの者である。


「よい刀を、お持ちですね」


 霧島先生は微笑む。


 ガチの者がガチいわくつき刀に興味を示した。


「この鍔の部分が、素晴らしい。二重ですか。戦いのときにどうなるのでしょう」


 コミカライズなら絶対一ページまるまる描写され、色んな広告つけられ、「絶対ホラー漫画だろ」と誤解クリックが起きかねない笑みだった。


「こちらの刀は、調べたところ山で見つけたとありましたが……枯賀さんはこの刀が霊力を吸うことを御存じだったようで、何故でしょう」


 そしてさすがと言うべきか。


 私が話せないことでみんなうっすらそれ以上聞かなかったことを、堂々と聞いてきた。



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― 新着の感想 ―
鍔でしたかなるほど〜。いろんな知識必要だから大変ですね。有識者の方々すごいな。 感想お返事全然大丈夫ですので!!お疲れ様です!!ゆっくりされてくださいね…!! 確かに盗難品どうするのかと思ったら確…
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