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【和風】悪役義妹がお姉様の溺愛結婚を壊すまで  作者: 稲井田そう
第十一章お姉様に惚れる人気キャラ
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皇都へ

「もう誰も僕に近づかんでほしい。枯賀は別な。戸閉めるから。もう今の帝都でいっちゃん大事なんは戸閉めるか。それだけ」


 猫又が皇龍清明様に滅されかけ逃亡し、翌日。


 管理局で昨日いなかったぶんまで働こうとすれば、真原さんの目が死んでいた。金槌で修理をしながら「僕金槌持ってるから」と繰り返している。


「金槌持って、ここで仕事するん、しんどいわあ。もうなんか、こんな寒いのに、戸開けっぱなしの暗いのと、ずうっと、こまい修理をぬるっとこっちに持ってくるおじさん、これでどうにかしたら捕まるのに、金槌もたされて、ああしんど」


「暗いのって誰のことですか。ぬるっとこっちに持ってくるおじさんは富山局長でしょうけど」


「お前じゃ……お前じゃ!」


 福野さんの質問に真原さんは激昂した。かと思えば「いややわもう」としょげる。


「自分の機嫌は自分で取るといいらしいですよ」


「放り落とすぞ」


 福野さんは、扉の開け閉めに対し若干の難がある。


 簡単に言えば閉めるのを忘れるのだ。


「閉める閉めないのこだわりが……」


「こだわりちゃうねん。冬は寒いから閉める。夏は死ぬから開ける。何でお前夏は閉めて冬は開けてで、どないなっとんねん」


「いや……閉めなきゃなぁと思って、で、開けなきゃなぁと」


「ずれとんねんお前、半年ずつ、ずっと。冬に教えてなんも身に入らんで、夏に実践してんねん。それがもう毎年や。何でお前、毎年、戸のことだけまっさらなんねん」


「わがまま」


 福野さんがため息を吐いた。真原さんは金槌を握りしめ、一点を凝視し始める。福野さんは暑さも寒さも強いようで、暑いから開けよう、寒いから閉めようの概念がないらしい。


「でも枯賀さん大変だったね、皇都の二人と、色々あったって聞いたよ」


 富山局長が心配そうにこちらを見る。


 ミヤシロ神と会い、中華屋に行き、海外映画みたいな運転をされ、最終的に猫又と遭遇した。大変だったが──猫又のことが気がかりだ。あいつなんなんだろう。美浜の娘と結託して。美浜の娘は水社一心に気があるようだし、そんな美浜の意識が、昼に現われ猫又を支配し、猫又は夜に身体を自分のものとして扱うことが分かり……同時に皇龍清明様が美浜の娘に注目していると誤解中だ。実際はお姉様を追いかけているのだろうが。


 そして加寿と熾窪がお姉様と出会い、皇龍清明様はお姉様との接触がうっすらという最悪状態。皇龍清明様は何をしても身を引くだろう状況だ。さっさと猫又殺したい。あいつはもう、生きてる限り人を殺し続ける。美浜の娘も人を殺した。最悪殺人鬼コンビが合体しているので、被害者が増える前に早く始末を。


 考えていると、コツ、コツ、と規則的な足音が響いた。地下にある管理局までの階段は、絶対に人が死ぬ、高齢者と子供立ち入り厳禁の階段である。人の心が無いといった問題ではなく、「違法建築じゃないんですか⁉ 国!」と言いたいところだが、国の要人は来ない。そういう、国の手が届かない死んだ階段なので、どうしようもない。だからこそ、靴音で大体分かる。普通の局員は階段が怖すぎて変な間隔があくし、伊能局長と福野さんはゆっくり、富山局長は「うぁ……あぁ、痛い痛い」と声が出ているし、真原さんも「あー……わっ」とたまに驚く。相模局長が一番分かりやすい。一段につき五行分の階段への悪口が出るから。


 しかしこの音は聞いたことが無い。皇龍清明様がこんな風に音を立てるとも思えない。ふって落ちてきそうだし。不思議に思っていれば、ノベル挿絵にコミカライズで死ぬほど見た長髪眼鏡が現れた。


「はじめまして、管理局の皆さん」


 霧島大先生である。皇都の加寿と熾窪の、直属の上司であり──、


「皇都の軍医、霧島と申します。早速ですが皆さんには、全員総出で、皇都にて猫又の討伐任務にあたっていただきます」


 ハロウィンでないと許されないような、カスのマッドサイエンティストである。





これにてこの章は終わりで、新章皇都編になります。ありがとうございます。

本作は、今までにないほどの感想を頂くことが多く、嬉しいですね……。励みになります。

結構先の部分を書いていたりするので、ご要望に沿えないというネックもあれど、「あんまり自分の感想気にされて展開かわったらヤダ」と思っている方も、ご安心頂けたらと思います。



最近感想のお返事が減っているのは、普通に別の仕事×本作の執筆と重なっているにすぎず、何かあったからといったことは無いです。その点ご安心頂けたらと共に、量も皆様の思う通りでと考えています。感想負担はないですし、全然最新話じゃなく「この話の感想今更だけど……」でも全然いいですし、自由にお過ごしいただくのが一番です。


そして加寿(かじゅ)熾窪(おきくぼ)霧島(きりしま)が登場しつつ、掘り下げは水社家と皇龍清明、お姉様と輝宮寺、猫又美浜と過去の登場人物について行われた今章ですが、次回もお楽しみいただければ幸いです。




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― 新着の感想 ―
ウワァ〜〜!!!!!真原さんが限界になってて!!!!めっちゃ可愛い!!!末理ちゃんだけ別なのもめっちゃ可愛い!!!帝都で一番大事なのは戸閉めるかどうかだけww。金槌持ってるからw威嚇してるw。普通にめ…
11章お疲れ様でした。 一心くんの青いなりに地に足ついたヒーローらしさと、ヒキ人外っぷりが弱点になってる清明様に、光属性の妖な酒呑童子が良かったです。 皇都組も新たなキャラが出てきて期待が高まります…
第11章お疲れ様でした!! この作品も別作品も含めていつも楽しんで読ませていただいてます。 普段あまり感想書かない派なのですが酒呑童子が大好きなので酒呑童子が出てくるとついつい感想を書いてしまいます。…
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