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【和風】悪役義妹がお姉様の溺愛結婚を壊すまで  作者: 稲井田そう
第十一章お姉様に惚れる人気キャラ
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完璧セキュリティの代償

「おかしいニャ……今までお前が街に出たことなんて無かったニャ……こっちの……美浜麗子に何かあるにゃ」


 猫又が混乱している。猫又は千年桜は恋と咲くを知らない。皇龍清明様のお姉様への関心を知らない。千年桜は恋と咲くの読者ならばお姉様の元に皇龍清明様が現れるのは必然だし、どちらかといえば「え、おっそ」に入るが、猫又および加寿や熾窪といった千年桜は恋と咲くを知らない存在からすれば、普段人里に出ない獣が街に出たくらいの衝撃だ。都会の交差点に猪がこんにちはのレベル。大事件だ。お姉様と再会するまでの皇龍清明様は三百年前のお姉様との思い出テラリウム、千年桜の咲き乱れる謎の場所で過ごしているから。ゆえに皇龍清明様が街に出てきた理由を考えるが、本人は連続殺人を行っても皇龍清明様が出なかったことから、皇龍清明様のターゲット候補について、自分を除外する。お姉様もこの調子で除外しているだろうし、結果的に皇龍清明様は美浜の娘──美浜麗子を狙っていると誤解したのだろうが、正直、この誤解は生かしたほうがいい。


 だって猫又復活の理由に暗天妖王が関わってる可能性もあるから。


 というか猫又と美浜の娘この合体復活、どう考えても暗天妖王が関わっているとしか思えない。だって酒呑童子は出禁で失敗作合体鵺は私のものだし。


 ブゥン。


 途端に刀が発光した。子供の変身玩具みたいな光り方だった。


 私のものって言葉に反応したの?


 とにもかくにも、現在暗天妖王の戦力は衰退どころか前年比大マイナス状態。これが株式会社暗天妖王ならば、株主総会が大荒れのレベルだ。取り急ぎ猫又を復活させた可能性がある。野狐禅は呪具のせいで皇龍清明様により完全に滅することで解放するほかなかったが、猫又の消滅は皇龍清明様が関わっていない。猫又の僅かな残存因子から復活させたか、投獄されていた、美浜の娘をあやかしにして、猫又との数奇な縁を引用した、と考えない限り、目の前のこのクソサイコパスもどきキショシリアルキラーぶりっこ猫じじいがまた現れた辻褄が合わないのだ。


 それに合体って暗天妖王の「いつもの」感あるし。


「……」


 そして美浜麗子を狙っているのかという質問に皇龍清明様は答えなかった。


 違いますと言えば何故ここに現われたかという疑問がまた復活する。


 実際、皇龍清明様が全く違う目的でここにいた、そしてその目的がお姉様関連でなければ、おそらく正直に答えているだろう。小説の一行にも満たない、半分くらいの短いセリフで。しかし皇龍清明様は答えない。つまりお姉様狙い。おそらく皇龍清明様は、お姉様と再会してから、お姉様を見ていたのだろう。


 私は今日のミヤシロ様の言葉を思い返す。


『あやかしは、問題ない、おそらく』


 ミヤシロ様は複雑そうにつぶやいていた。。


『あやかしは問題ない。我が、なんとかする……までもないだろうが、い、い、いるから……貴様の姉も無事であろう。はー』


 ため息までついていたあのしおしお具合。私のお姉様への想いを感じたとき、ミヤシロサマはあんな感じになっていたが、それと同じだった。私のお姉様の想いの強さと皇龍清明様の想いの強さが一緒となるのは、なんか私の出しゃばり感があって複雑だが、ミヤシロ様の中で一緒になっている可能性は否定できない。私はミヤシロ様の感じ方まで変えられないから。


 そしてミヤシロ様が私と皇龍清明様を同じジャンルに入れていた場合この仮説が信憑性を増す。


 皇龍清明様はお姉様の見守り活動をしている。


 その見守り活動中の心を、ミヤシロ様は全部読んでしまっていた。


 つまり皇龍清明様の見守りという最高のセキュリティと引き換えに、ド級の自己肯定感最低内向型男性自罰モノローグが辺り一帯に延々と響き渡っていた可能性がある。


 そら疲れる。


 皇龍清明様視点の番外編は、ヒーローにも関わらず暗すぎるという理由で度々カットされていた。モブ視点の皇龍清明様とお姉様の交流ばかりで、何で皇龍清明様の視点の小説が出ないんだろうと不思議だったが、初めて出たSSで納得した。暗い。すっごい暗いのだ。小説一冊につき大体オーディブルだと時間は8時間。下手すれば24時間体制でずーっと場面も変わらないモノローグが流れ続けていたら拷問に他ならない。争いの心の声も聞きたくないだろうが、皇龍清明様のどん底モノローグも聞きたいものではないだろう。私も人のこと言えないし、水社一心には申し訳ないと感じる瞬間もあるが。 


「貴様はもう何も知る必要はない。滅却するのみ」


 皇龍清明様は長考の果てに告げ、猫又を霊力で封じようとする。お姉様を抱えているから抜刀出来ないし街中なのでドラゴニックファイナルクラッシュが撃てない。じわじわなぶり殺す手段しか取れないのだろう。全然私が猫又殺すんですけど、結界が邪魔で殺せないし。刀に霊力を吸わせようにも、刀がやられかねないので直接触れられない。触れない程度に近づけてじわじわ吸収しているが、パソコンの更新みたいな亀の歩みだ。17%から18%に至るまで15分以上かかるのと同じ気配がしている。


「そうはいかないにゃあ、ボクはまだまだ殺すにゃ……やっぱり帝都なんか来るんじゃなかったニャ……‼」


 猫又は目くらましをするように煙幕を炊いた。今まで酒呑童子を撒いていたような話をしていたが、おそらく戦力ではなく逃亡に全振りしているのだろう。瞬く間に姿を消した。

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― 新着の感想 ―
感想書くのは完結までと思っていたのですが、今回は流石に少な目にして感想書きたい気分になりました。メインヒーローのストーカーって気持ち悪いだなと感じました。主人公サイドなのでお姉様にお逃げ下さいとなりま…
「普段人里に出ない獣が街に出たくらいの衝撃だ」皇龍清明様ww猪扱いされてて草。確かに!!誤解したままのがいいね!!あっ待って!!暗天妖王氏この様子も覗き見てるのでは??野狐禅さんのときも覗きしてたし。…
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