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【ソラリスの星典】〜狼少女と旅をする異世界冒険譚〜  作者: 夕火
第一章 守るものあれば強く、
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第9話『魔法の体系』

絶食を開始して二日目の朝。

 僕たちは、森の奥から響いた奇妙な鳴き声で目を覚ました。


「フルムちゃん、おはよう……」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

グンノーム クト (早朝)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「フルム、グンノーム クト」


「ザーフラ…クッビ…………グンノーム…クト……」


「大丈夫?……フルムちゃん。とりあえず、お水飲んで」


 僕は横向きに丸まって寝ているフルムを仰向けにし、自分の膝に彼女の頭を乗せた。それから水筒を取り出し、彼女に水を飲ませた。


 彼女はひと口だけ水を飲むと、ぷいっと顔を背けた。どうやら、もう十分らしい。


 フルムは僕の足を枕にしたまま、すーすーと寝息を立てている。


 僕は目を覚ますために小川の水で顔を洗い、水筒の水をぐいっと勢いよく飲んだ。


 まだ頭は完全に覚醒していなかったが、何もせずに時間を過ごすのは勿体ない。

 そこで昨日に引き続き、魔法について学ぶことにした。


「ソラリスターコード、魔法の体系について教えて。」


 そう言って、僕は再び星典を召喚し、宙に浮かぶ星典に話しかけた。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 惑星ソラリスの魔法体系を次の図式にまとめました。


惑星ソラリスの魔法体系

├─ 無属性魔法[第一階梯:魔力操作系統]

│ ├─ 汎用魔法{【ノイト(失影)】・【アルム(白明)】などの基礎的な魔力操作系魔法}

│ └─ 戦術補助魔法{【ヴァルネス(靭化)】/【マギアヴェール(法護)】/【アイヒバリオン(法鎧)】などの応用的な魔力操作系魔法}

 

├─ 原始属性魔法[第二階梯:元素操作系統]

│ ├ 火属性魔法(熱量操作系魔法)

│ ├ 水属性魔法(流動体操作系魔法)

│ ├ 風属性魔法(大気振動操作系魔法)

│ └ 土属性魔法(土壌粒子操作系魔法)


├─ 高位属性魔法[第三階梯:高位性質系統]

│ ├─ 火焔属性魔法(火の上位属性魔法)

│ ├─ 氷玦属性魔法(水の上位属性魔法)

│ ├─ 千嵐属性魔法(風の上位属性魔法)

│ ├─ 礫岩属性魔法(土の上位属性魔法)

│ ├─ 雷冥属性魔法(火×風/電撃・磁力系魔法)

│ ├─ 霧幻属性魔法(火×水/蒸気・陽炎系魔法)

│ ├─ 熔核属性魔法(火×土/溶岩・火砕系魔法)

│ ├─ 波渓属性魔法(風×水/振動・波動系魔法)

│ ├─ 砂尽属性魔法(風×土/風化・砂塵系魔法)

│ └─ 泥濁属性魔法(水×土/沼化・粘性系魔法)


├─ 神代属性魔法[第四階梯:法則操作系統]

│ ├ 神聖魔法(魔力共鳴による祝福・再生系魔法)

│ └ 深淵魔法(魔力分散による呪詛・破滅系魔法)


└─ 星界属性魔法[第五階梯:節理干渉系統]

  ├ 戦略魔法(広域殲滅・天災規模の戦術系魔法)

  ├ 妖精魔法(星霊契約・召喚魔法など)

  └ 古代魔法(錬成・時空干渉・封印などの失われた魔法)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「すごい……!! 魔法って、こんなにも種類があるのか……!! ちょっと目が覚めたかも——」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 【魔法】は【第一階梯】から【第五階梯】までの五層に分類されており、それぞれの階梯は異なる属性と魔法特性に基づいて大別されています。

 階梯を上るごとに魔法の修得および行使の難易度は上昇し、魔法修得の順序は原則として【第一階梯】から段階的に行う必要があります。


 よって【第二階梯】以上の魔法を【第一階梯】より先に修得することはできません。【第二階梯】以降の魔法を修得するには、少なくとも直前の階梯に属する魔法を一つ以上修得していることが前提条件となります。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「なるほど……基礎の魔法から、順番に修得していかないと駄目なんだね」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

次に、各階梯についての概略をお伝えします。

 

 【第一階梯】の魔法(無属性魔法・魔力操作系統)は、全ての魔導士が最初に学ぶ領域であり、魔力の流れを知覚し、操作する初歩的な術式を中心とした体系です。属性を持たない【無属性魔法】が主となります。


 具体的には、魔力を物体に纏わせて空中に浮かせる汎用魔法【ノイト(失影)】、魔力を凝集させて発光させる汎用魔法【アルム(白明)】、魔力を体内の筋組織や感覚器官などに巡らせ、一時的に身体能力を向上させる戦術補助魔法【ヴァルネス(靭化)】などが含まれます。


 この階梯の魔法は「日常に溶け込む魔法」として重宝されますが、戦闘用途には限定的であると考えられています。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「初歩的な魔法で物を浮かせられて、明かりまで確保できるのか……!」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 【第二階梯】の魔法(原始属性魔法・基本四大元素)は、魔法が属性を帯び始める領域であり、火・水・風・土といった原始属性が顕在化します。


 術者の魔力操作能力が大きく問われ、魔力を属性へ変換して行使する必要があるため、発動難易度も上昇します。


 火属性魔法【ロアグ(火玉)】、水属性魔法【オーヴァス(流玉)】、土属性魔法【テライア(堅壌)】、風属性魔法【ゼフラン(裂日)】など、戦術的に使用される攻防一体の魔法がこの階梯の主力となります。


 術式の構成も【第一階梯】と比較して複雑化し、属性への深い理解と精確な詠唱が術者には要求されます。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「うーん、殆ど何も分からない……。一応、魔法には属性があって、術式と詠唱、それに魔力操作が必要だってことだけは分かった……」

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 【第三階梯】の魔法(高位属性魔法・複合制御)は、原始属性同士を組み合わせて成立する上位属性魔法によって構成されています。

 代表例としては、火焔・氷玦・雷冥・礫岩などが挙げられます。


 この階梯では、魔力の精密な制御と術者の高度な魔法練度が求められます。未熟な者が扱えば魔法の暴発や魔力の過剰消費を引き起こし、戦闘不能に陥る危険性があります。


 また、この階梯からは魔法に「術者の個性」や「詠唱構成美」が色濃く反映され始めます。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「——火と炎って何が違うんだろう……。

 修得や発動の難易度が高いのは予想してたけど、暴発とか戦闘不能っていう文言が気になるな。

 ……どんな感じになるんだろう」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 【第四階梯】の魔法(神代属性魔法・魂原操作)は、神話の時代にその原型が存在したとされる魔法体系であり、魂原法則への介入を可能とします。


 物理現象や生命の根本原理に対して直接作用し、魔力を媒介として【祝福】や【破滅】といった超常的な現象を発生させます。


 術者には極めて高度な魔力制御と精神干渉耐性が求められ、未熟な状態で神代属性魔法を使用した場合、精神崩壊を招く危険があります。


 【神聖魔法】は、魔力共鳴によって対象と魔力波長を同調させ、肉体・精神・魂へ干渉する【祝福】に関する魔法です。再生・加護・浄化といった生命の正循環を促す力を発現します。


 【深淵魔法】は、魔力を意図的に分散・乱流化させることで因果を撹乱し、呪詛・侵蝕・崩壊といった負の因子を顕在化させる魔法です。神聖魔法と対を成す危険な神代属性魔法として知られています。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「……かなり抽象的な話になってきた。

 この階梯の神聖魔法を覚えたいんだけど、修得方法がよく分からないな。

 そもそも魔法を覚えるって、どうやるんだろう。既存の魔法陣を書いて覚えるのかなぁ」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 【第五階梯】の魔法(星界属性魔法・節理干渉)は、宇宙的視座から存在と事象を操作する次元干渉系の最高位魔法体系です。


 自然法則そのものの上位に位置する【星界摂理】へ接続し、空間・時間・因果・存在といった抽象的領域への働きかけを可能とします。


 この階梯の魔法を扱うには、異質な思考構造と星霊との高い親和性が不可欠であり、現代魔術体系の常識を逸脱した特異な才覚や修練を必要とします。


 【戦略魔法】は、一国を覆う規模での殲滅・支配を目的とした超広域戦術魔法です。

 天災と称されるその破壊力は、戦争の概念すら塗り替えることができます。


 【妖精魔法】は、星霊や妖精種との契約を通じて行使される召喚・契約魔法です。使用には異界存在との霊的親和と精神共鳴が必須となります。


 【古代魔法】は、失われた文明が残した魔術技法の断片であり、時空操作・次元干渉・錬金術など、現代では再現困難な魔法理論の総称です。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「この世界には、『星霊』、『妖精』がいるのか……!?

 どんな姿形をしてるんだろう……」

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 以上が、惑星ソラリスにおける魔法体系の概略です。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「概略でこの情報量かぁ……頭がパンクしそうだ……」


 僕は本を閉じ、それを手にしたまま芝生の上へ寝転がった。

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