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俺にファンタジー世界は早すぎたみたいだ  作者: ノエル・L・ファント
一話 夜の始まり→ファンタジーの続き
15/84

14 300万!?《後日談》

19/7/7 誤字を修正

「ユノちゃん、こっちはもう終わったよー!」


「わわわっ!! 私はまだ、まだです~!!」


「遅いぞユノ! エル、手伝うぞー」


 今は夕方、ここは校舎、北の一角。ガラスが飛び散り立ち入り禁止になっている場所。


 そして僕たちの持っているのは箒。


 ……おなじみの掃除でーす。つらい、まだ体が本調子じゃないのにぃー!



 召喚獣を討ち倒した俺達は次の日も普通に(俺はふらふらだったが)登校した。まあその時に「ガラス割ったの誰ジャー」って怒ってた先生に見つからないように、こそこそ登校したはいいものの、昼休み中に校長室に呼ばれて怒られた。ユノちゃんが自首したらしく、その時に浮上してきた人物が俺達。その場ではしらばっくれてはいたが、ユノちゃんの冷たい目線に負け、今にいたる。


「俺は罰掃除常連かよ~! 校長にまで顔覚えられちゃったし!」


「まあ良いじゃん。無個性よりよっぽどいいぜ!」


「あっ、あっ。掃除私がやります!!」


「俺達に任せて!」

「俺らに任せろ!」


 意外とユノちゃんは掃除が苦手らしい。


「ユノちゃんなんてチョロい程俺達は不良になっちゃったもんな」


「そうそう、ユノ。俺達はこれから寮の罰掃除『長廊下雑巾300往復』が待ってるんだぜー」


「ひゃ、300往復~!?」


 流石に300往復はしないけどな。



 ……しないよね!?


    ☆


「ねえちょっといい? えっと……アジリード、それとB組のレプラコーンくんであってる? あとはえっと……」


 少し経ち掃除が終わったあと、可愛らしい声の若い先生が声をかけに来た。俺のタイプだ、この人。


「ユノ・ワロキアです! ななっ何か御用で!?」


「ワロキアさんですか。少し時間いい? みんなに、……本当に、非常に言いにくいのだけど……」


「何でしょうか?」


 すると先生は、とんでもないことを言い放った。俺はたぶんこの先生のこと嫌いになったわ。


「あなた方に、300万の賠償が……あります」


「……? もう一回お願いします」


「あなた方に300万の賠償金を払ってもらわないといけなくなりました! ガラスとカーテン。そして天井や床など、実費で請求がきています!」


 先生はヤケクソで言った。まじかー。俺はこの年で借金を……


 え? 300万だって……? ……ッ!


「「「300万!?!?!?」」」


「はい……」


「300万!? どーする!? やだよ俺、中等学部生時代に300万も借金作ったって言われるの! 武勇伝だよ武勇伝!! 伝説になっちまうよぉ~!! 300往復が300万借金に変わっちまったー!」


「おおおおおおおおお落ち着きましょうううう先輩がたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


「ユノ、お前が落ち着けぇぇぇ!!! どうすんの!? こんな借金。並でも並じゃなくても中等学部生に返せる額じゃねーよ!」



 少し時間が経過して、だんだんと落ち着いてきた。とりあえず話し合おう。


「えっと……家からの仕送りは?」


「まかなえん」


「かっ、カツカツです……」



「そういえばアストってアジリード家でしょ。家から出してくれないの?」


「ムーリ。俺は最低限しか頼らない生活をするんだ! そー決めたんだよ。だから、ごめん。いまさら父さんに頭下げても無理だろうな、300万なんて……。ごめん!」


「わっ……私は、ワロキア家は。今年のゼルルド夏祭りの主催者側になってしまって……。家計が厳しいです……」


 と、なると……。


「エルはどうなんだ? レプラコーン家はB級だし、何とか……」


「あー。出せると思うけど……」


「なら!」


「いいっ、いいんですか!?」


 出せると思うけど、さ?


「300万と一緒に俺の生首が送られてくるけど、いい?」


 絶対に勘当……いや殺害されますね、はい。多分。


「最後の手段は……」


「お金、貯めるか?」


「でっ、ですね!」


 俺は、流石にしないとは思うが忠告をしておく。


「ユノちゃん。体売りとかには手を出すなよ?」


「しっ、……しませんっ!」


「臓器とか……」


「ううう、売ったりなんかしません!」


 バイトか~。辛ぇなぁ……! でも、中等学部生を雇う場所なんてあるか?


「せっかく学校守ったのにぃぃ!!!!」


 俺達の闘いは、どうやらこれからみたいだ。

一章、完結

大失速します

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