13 魔法書の秘密《閑話休題》
寮に戻って少し、ほんの少し経ったあと。
「……ただいま帰ったぜ~」
「お帰りアスト。ユノちゃんがよろしくだってさ」
「ああ、その件なんだけど……いいか?」
真剣な顔。おいおい……俺は楽しく駄弁りたかった~ッ!
「ユノが買ったのか? 召喚獣を喚ぶ為の召喚魔法書」
「うん、そう言ってた。ウサギさんが召喚されるって騙されてたけどな」
「そうか。親に言ったとかは……」
確かユノちゃんは、独断で購入したって言ってたよな。
「たぶん独断。俺の記憶が正しければ。でもなんで? そんなことを聞くんだ、いまさら。もう召喚獣は倒したよな?」
俺はユノちゃんが持っているであろう『召獣結晶』を思い出す。ベッドに寝転がりながら。
「倒した、俺達で。でもなエル、一つ気になることがあってな」
アストは腕を組む。
「買えるか、普通。貴族っていってもユノの家は……言いたくは無いが、召喚魔法書を購入できる額を、子供が持ち運んだりできる……たとえ純金の延べ棒を持っていったって、正規の額で買えるわけがない。ローンでも組まないとな」
「でもローンはないだろ。中等学部生にローンを組ませる商人がどこにいる? たとえ凄い大物の息子でも、聖人の孫でも、俺は絶対に即金払いにさせる……」
「だろ? きっと魔法書を売ったやつは……」
そうか! 魔法書を売ったやつは……
「「利用したんだ!」」
「きっとテロだ! ユノちゃんを使ったテロを起こすつもりだったんだ!」
「でも俺らが退治した……」
でもそれは、何のために?
「そういえば、忘れてたけどさアスト。俺達って、『ホールズの魔導書』をこっそり見に行こうって、夜の校舎に忍び込んだんだよね?」
「……魔導書か……。もしかして、それを奪うために、混乱を生ませるために、ユノに魔法書を。エル! 立てるか?」
「ああ、バッチリだ! いこう。守るために、学校に!」
「「うぉぉぉ!!!!!」」
俺達は剣をとって、夜の学校に向かうために窓を開けた。そして……
「あなたたち! ……こんな夜遅くに……どこへ?」
「「…… ウ ソ だ ろ」」
寮母さん!?
「寮母だ! 逃げろエル!」
「おぉぉぉ! ゲフリッ!!!」
すってんころりん。まだ本調子じゃないみたいだ。
「大丈夫ですか? レプラコーンくん?」
あああああ……ヒイッ!!!!!
「違反者はどうなるのか……分かっていますわよねぇ?」
「ああああああああああ!!!」
きっと、ここに来てから1番の恐怖を。
「アヒュン!!!!」
味わった気がする。……気がする!(ヤケクソ)




