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勇者よ、それがお前が望んだことなのか?  作者: 安藤昌益


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結婚式だ

「魔王を倒したぞ!」

という声が響き渡った。

「勇者様やりましたね。」

「さすが勇者だよ。信じていたよ。」

「本当に魔王を倒したんだよな。」

「勇者。ありがとう。」

「勇者様と戦えたこと、感謝しているよ。」

「君が勇者で良かったよ。」

「本当にやり遂げたんだのね。」

「勇者様。怪我はありませんか?」

「ははは。今頃になって申し訳ないな。」

と勇者パーティ―のメンバーは、勇者センシュウ・イチジツを湛えた。イチジツも、他のメンバーも皆多少の傷がいくつもあった。全員疲れてもいた。そのメンバー達は、勇者に気が疲れないように目くばせしあっていた。そして、ハイエルフのスン・インに彼らの視線が集中した。彼女も微かに頷いた。

「勇者。」

と彼女が歩み寄った。

 同時に、

「勇者様。回復薬を。」

とメンバーの一人が小瓶を差し出した。回復薬が入ってるはずの瓶だが、居間は一時的に勇者の力を激減できる毒薬が入っていた。効果は本当に一時的だが、インが次の毒を、毒と毒の効果を出す短剣、聖具であるを突き刺す。インの行動を助けるためのものだ。その後全員で一斉にと全員が考えていた。

「スン。」

とイチジツは彼女の両手を両手で握った。

「は、はい。」

「結婚式をやるぞ。」

「え。え・・・。は、はい。」

「あ、回復薬はいいよ。私は元気いっぱいだから。誰か、必要な者が飲んでくれ。私とスンはこれから結婚式を挙げる。修道騎士に約束させてあるから。みんなも後からでいいから、駆けつけてくれ。行くぞ。スン。」

「は・・・はい。」

戸惑う彼女をやおらお姫様抱っこ、半ば無理やりに、というようにも見えた、して、いきなり勇者センシュウ・イチジツは凄い勢いで駆けだしていった。呆然とするパーティーメンバーを残して。

「ゆ、勇者・・・殿・・・待って・・・。もういないか・・・。」

「あそこまで能天気の馬鹿だとは・・・色ボケやろうとは思わなかったぞ。」

「全く、淫乱エルフのどこがいいのか分からないわよ。」

「あの馬鹿女、何を考えているのかしらねえ。」

「まあ、勇者があれじゃあ、どうにもならないだろう?」

「なんだい、エルフに同情するのかよ?」

「ちょっと待ってよ。あの女、私達を裏切って・・・、エルフの連中、私達を出し抜こうとして・・・。」

「自分達も勇者の暗殺に加担していたんだぞ?裏切ったとしても、そのことを勇者が知っていたら、あんな態度を取れるか?」

「勇者のあの態度なら・・・知らないっていうところでは?」

「知っていたら我々を皆殺しにしていただろうなあ、きっと。」

「とはいえ、計画を練り直す必要があるわね。エルフは抜いて、直ぐに話あいましょう。」

「賛成。それと俺達も行った方がいいんじゃないか?阿保勇者と淫乱エルフの結婚式に?俺達は、勇者と互いに強い絆で結ばれた勇者パーティーの仲間なんだからよ。」

 この言葉に全員が頷き、その場を後にした。


「諸~君~、もう分かっていると思うが、魔王は倒した。君達の協力のおかけだ。それで、私は彼女とここで結婚する。修道士騎士長殿、こちらに来てください~。」

と魔王城の城壁の一角の上に、インをお姫様抱っこしたままで勇者センシュウ・イチジツは周囲に立っている、座っている攻城軍の将兵に向けて叫んだ。

 既に二人の関係を噂や伝聞を通じて知っている者が大半であったから、何が起こっているのか、行われているのか、勇者が何を望んでいる、何をしようとしているのかは容易に想像できた。

「修道士騎士長殿、早く言ってあげて下さいよ~。」

という声がところどころから上がったほどだった。

「ほらほら早く~。」

「お~い、未知をお開けしろー!」

「あんた達ね、邪魔よ!」

という声すら上がった。既に中年に差し掛かっている修道士騎士長が息を切らして駆けているのが、誰からも、見えなくてもわかるという雰囲気になっていた。戦いが終わった、勝ったという安心感、血の臭いが立ち込める中での興奮が異様なほど意識を高揚させていた、将兵達の。


「みんな、私達の結婚を熱く祝福してくれているよ。嬉しいじゃないか?」

とイチジツが囁くが、流石にスウは、

「でもさ、何もここで・・・。恥ずかしいよお。」

と真っ赤になっていた。

「このくらい盛り上げて勢いがつかないと、お互い色々と煩いことになるから、でっかく既成事実を作っとこうと思ってね。君を失いたくないからさ。」

「う・・・まあ、そうだけど・・・。」

と小さな声で同意とも抗議ともわからない言葉を口に出した。

「全くこいつ私にべたぼれなんだから・・・。困っちゃうわ・・・。」

とスウは心の中で嬉しくもあり、戸惑いもし、困ったと思ったりしていた。


「はあはあ・・・。全く・・・はあはあ・・・勇者様は・・・時と場所を・・・私のことも考えて・・・はあはあ・・・下さいよ。はあはあ。」

と肩を上下して荒い息をする修道士騎士隊長は抗議してみせた。

「申し訳ありません。しかし、この、今がいい機会だと感じたので・・・。よろしくお願いします。」

と、イチジツはスウをお姫様抱っこしながら頭を下げた。

「融資や様のお気持ちはよく分かりますよ。・・・少し待って・・・はあはあ・・・生きが落ち着いたらすぐに・・・はあはあ・・・。」

 彼の息が平常に戻るりを待って、イチジツはスウを降ろして、傍らに立たせた。

 修道士騎士長は、息が整うと近くの騎士達を呼び、

「結婚式の証人を務めてもらいたい」

ということを要請した。彼らが快諾したのはもちろんだった。彼らも整列すると、厳かに、2人の結婚の近いの言葉を言わせる一連のやり取りょ終わらせて、

「二人の正式な結婚に神の祝福を与えるものである。」

と言った。

 それが終わると、勇者が城壁の上で、

「私達は結婚した。ありがとう。」

とスウの片手を握って叫ぶと、続いて

「私達結婚しましたー!」

という叫びに答えるように、大きな歓声があがった。


「よし、第一段階は完全に終わったな。」


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