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勇者よ、それがお前が望んだことなのか?  作者: 安藤昌益


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再戦⑤

「今度は、外でお待ちかねか。」

 魔王は呟いた。魔王とそのパーティーをはじめとした勇者討伐隊200名余り、落伍者というか減数は10名、が勇者の館に迫った時、その館の前に陣を敷いて、その先頭に立つ勇者の姿を見付けたからだ。

「こ、これは・・・。」

 総勢は200名弱くらいのように思われた。同じくらいだが若干少ない程度のように思われた。

「一気に行くぞ。」

「し、しかし・・・。」

「我らは包囲されているはずだ。だからこそ、雌雄を決するために突っ込むのだ。勇者さえ倒せば、この戦いは勝利だ。皆は、死なないように見を守りつつ、吾が勇者と一騎打ちできるように可能であれば助ければいい。」

と笑って命じた。それしかないし、勇者を殺す、倒すことが、この作戦の目的なのだから。

「私は、魔王様とともに戦います。」

「私もです。」

と次々に彼のパーティーの女達が口にして前に出た。男も不承不承前に出てきた。

「仕方がないな。お前達むは吾に続け。死に急ぐなよ。」

「はい。」

と女達は叫ぶように、自分達を鼓舞するように叫んだ。


「皆。死ぬなよ。魔王は私と妻とで倒す。」

「あなた達、命を大切にして、私達を援護してね。」

 スンは、ダークエルフ達にも声をかけるように言った。

「奥様・・・。いいですか、母は構わずイン様を守るのですよ。」

と彼女は自分の息子に命じた。

 インが、完全にダークエルフまで、自分の身内というか、信頼する部下、家臣と見ているというかねとにかく自分の仲間だと意識していることに、かつてのハイエルフとしての見下す感覚がなくなっていたことをかんじることができた。

「私も、奥様を守らせてもらいますよ。」

 聖女も応じた。


「勇者。ハイエルフの女を連れて戦うのか?」

「妻が離れてくれないのでね。」

「もう一度、私と彼で殺してあげるわよ。」

「勇者よ。その女を愛しているのか?人間ではない亜人を?」

「ちょっとエルフを亜人呼ばわりしないでよね。」

「愛しているさ。激しい営みと愛する心でな。彼女だけを、彼女が死んでも・・・だ。」

「全く・・・。お前は律儀な奴だな。」

「そろそろ始めようか?魔王様?」

「そうだな。では。」

 いろいろと言ってもいいことはあったが、何となく野暮なようであり、自分達の戦いを汚すようなので、それ以上言うことは止めた。


 前回は、勇者がやったこと、亜人達への殺戮、抑圧、そして、魔王がともに戦った者達への残虐な処刑について、魔王は勇者に問い質した。

 彼からは、その時以前の彼の2回の生での出来事を説明された。そして、悪徳領主として彼がともに倒した者が実はそうではなく、彼と彼とともに惨殺された家族を慕う領民達の願いを聞いて、解放軍という名の盗賊団を壊滅して、領民にその幹部達とその家族の八つ裂きの処刑わ任せたことなどを言い返された。ただ、奴隷狩りについは、

「そういうことは禁止してあるのだけれどな。ちゃんと取り締まりをしていたが、十分ではなかったようだ。今後改めるようにさせるよ。」

と答えたものだった。

 そして、過去、ずっと昔のことだ、人間が数が少なく、弱かった頃、人間達は亜人を敬い、助けてもらっていたこと、そして次第に傲慢になり、このままでは大変なことになると、亜人達が感じていることを指摘したところ、

「ああ、亜人達の独りよがりな捏造の歴史か。」

と勇者は一蹴した。

「そのことは、歴史は何百年も、それを何回も調べたよ。竜族だってひ弱だった。皆同じさ。彼らは、人間もそうだが仲間の中で争い、時には人間を隷属させたりもしていた。それは、しかし、過去のことだ。同じことさ、過去を調べると。みんな同種族のいくつもの部族を亡ぼしている。自分達を善良な神のように仕立てる。滑稽なことさ。」

と言って笑った。


「ほう。まずはあれか。勇者も芸のないことを。」

 前回はまず、連発する銃で銃弾、魔力を込めた特別の銃弾だった、を放ってきた。それで、いくらかダメージを受けたのは事実だった。今回はそれには十分対処できる自信があった。

 が、かれが右手で持った銃が全開とは違うものだということを感じた。そして、そこから、というよりその上部にあった小型の砲弾のような物が飛んできた。それが近くで炸裂した。そして、その直後、前回とは比べ物にならない発射速度で銃弾が飛んできた。威力もずっとあるように思われた。

「く。」

 前回以上のダメージを受けたのを感じた、致命傷にはほど遠かったものの。

「卑怯者!」

という声が上がるのが聞こえた。

「心配するな。こんなもの、なんともない。」

と少し強がりを仲間達に言った。

「おい、前回にどうしてこれを使わなかった?」

「島から何百年も先の兵器を、この時代にはなかなか作れなくてな。前回はあの程度までのしかできなかった、ということだ。今回は前回の経験を生かして、さらに進んだものを作れたというだけのことさ。」

と苦笑して言い返した勇者だった。


 魔力、魔法のぶつけ合い、その間の近接戦、剣と剣、拳と拳の工房が何度も繰り返された。次第に、最初のダメージが効いたのか、魔王がはっきり押され始めた。

「魔王様!」

と何人もが魔王に助太刀に飛び込んだ。が半ばは勇者に一蹴され、その他は、

「あんたは私が相手で十分よ。」

と言うインやその他の面々に軽く倒された。

 銃砲隊も揃えていた勇者側は、前回も同様だが、銃砲の性能も、練度も上のようだった、今回の方が。次々に仲間?が倒れる中、魔王は押され、追いつめられながらも勇者と戦い続けた。


「ぐわー!」

 勇者の魔力を込めた拳の一撃がみぞおちに決まって、大地に魔王は倒れた。体力も、魔力も尽きかねていた。

 その姿を見て、

「こ、この見せかけだけの魔王・・・役立たず。」

「抱かせてあげたのに・・・損したわ。」

との罵り声が聞こえた。そして、直ぐ後に、

「うぎゃー。」

と声があがった。

 それも前回通りだった。ただ、彼女らに止めをさしたのは、ハイエルフ女のスン・インだったということが違っていた。


「勇者よ。今回の成果は?」

と魔王は最後の気力を振り絞って尋ねた。。

「ん?前回の記憶を持っていたか?ああ、犠牲者がかなり少なくなった・・・と思う。それだけで。」

「そうか。我の何ばいもの時間を生きたお前に性の手練手管を教えてもらいたかったが・・・ともに同志として戦ってみたかったな。」

「魔王よ・・・。次があったらな・・・。教えてやるし、ともに新しい世界を作ろうか?お前となら、より犠牲を少なくできそうだしな。」

「ははは。お前は相変わらずだな。」

と言って2人は笑った。笑い終わって、魔王はこと切れた。

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