再戦➃
「魔王様。全員、全パーティー、全て無事に集まりました。」
「誰も欠けずにか?」
「各地を襲撃したのだろう?快勝だったとは言え、被害がでないとは限らないからな。それに脱走した者もいるかもしれない。当初の人数通りか?」
「ええと・・・。」
「取り合えず数えさせておけばいい。」
魔王は、笑いながらトオビに命じた。実際、別れて侵攻していた、勇者討伐パーティーはオーガの領域の勇者領にある彼の砦まで今一歩のところで終結した。欠けた人数がいるかどうかは別にして、前回も同様な感触だったが、たまたま数えてみると3人欠けていた。2人が脱走したらしい、1人が負傷してそのままその場に置いてきたという。その1人が、どうなったのかシルすべはなかった。
「多分今回も同様だろう。」
と魔王は言ったが、人数のことだけではなかった。前回も同様に順調に砦迄やって来れた。各地を襲撃した時でも住民の退避の援護はしても、積極的反撃、攻勢をかけることはなかった。あの時は、砦の中に入ってもそうだった。警備の兵士達は、すばやく逃げ去った。勇者は人望がないのか、と笑ったものだった。おかしいとは思ったが、彼にとっては勇者と戦えるだけしか頭にはなかった。今回は200名である、前回の30人ほどとは異なる。砦内の大広間で戦うというわけにはいかない、勇者はどうするつもりだろう、と彼は返って面白く思っていた。
「勇者よ。お前はどうしてこのような世界を作ったのだ?お前が我を倒したのは、こういうことだったのか?仲間を殺し、亜人達を奴隷にすることが勇者の吟じにのか?」
と玉座に似た椅子に座って待ち構えていた勇者センシュウ・イチジツは、魔王の問に苦笑した。
「お前は私の奴隷か?」
と横を向いた。そこには、どこからともなく、隠しドアから出てきたのだろう、エルフが立っていた。褐色の肌、栗色の髪、ダークエルフだとわかった。長身の美しい女だった。
「私達ダークエルフは、奴隷にされてませんわ。そして、私は勇者様の親衛隊長、側近、副官・・・そして・・・妻です。」
と響き渡る声で言った。
「卑しいダークエルフが偉そうなことを言うんじゃないわよ。この裏切り者。」
パーティーメンバーのエルフの女が叫んで罵った。
「ダークエルフを虐げていたハイエルフにそのようなことは言われたくはありません。」
と彼女は冷たく返した。
「魔王よ。私の側についているのは、人間だけではないのだが、そのことは聞いているか?」
聞いていなかったから、何も言えなかった。こういう場合は、敢えて下手なことを言わない方がいい。
「なお、魔王よ。私は、今お前に会っているのは4回目なんだよ。」
「?」
「最初。お前を倒した後、仲間達に、勇者パーティ―の仲間達に殺されたんだ、私は。彼らは勇者を擁して、魔王を倒した人間の存在を恐れ、勇者、私を殺して、人間達を抑圧することをかんがえたのだよ。突然の裏切り、侵攻に、勇者を失って失意に落ちていた人間達は抗する術はなかった。だが、私は30年後蘇ったのだ。そして、事実を知りかつての仲間達を殺し、亜人達の国を滅ぼしてやった。そして、生を終えた後にまた転生したのだ。魔王を倒す前にな。そしてお前を倒し、彼らが私を殺すのを知っていたから巧によけて、いかにも偶然を装ってだ。だが、その仲間達を罰することもせず、亜人と戦うことはしなかった。だが、30年後私が老い、時代の勇者がまだ若い時を狙って連合して人間達に襲い掛かった。だがな、私はそうなった場合の備えを密かにしていたんだ。自身がエルフと同様な不老長寿を得てな。かつての仲間ともども返り討ちにしてやった。かつての仲間達は、罵り、死んでいったよ。そして、これが3度目だ。四度目の生とも言えるが。もう、奴らを信じられなかった。だから、殺してやった。ただ、こちらも人間達の準備が不足していたし、勇者は1人であったから、完璧につぶせなかった、ある程度は妥協せざるを得なかった。多分また私が老いるのを待つだろうから、私自身も同様に準備して待ち構えさせてもらったんだ。それから言っておくが、私が人間達だけの世界を作ったわけではないぞ。そいつらは言っていないようだが、3回ともダークエルフ、ハーフエルフ、黄色ドアーフ、ハーフドワーフ、グリーンオーガ、ハーフオーガなどと共存する世界を作ったんだよ。彼女、エンは3度とも私と共に、戦ってくれた、そして妻だった。ああ、もう一人、妻がいる。魔王には紹介しておこう。」
すると、反対側に若い人間の聖女が立っていた。彼女も美人だった。
「お前もハーレムが好きなようだな。」
と笑ってやった、魔王は。
「お前のハーレムとは違うよ。二人だけ。二人をこよなく愛している。まあ、魔王様は政治的理由もあっただろうけど。その中の1人でも、満足させるくらいに愛したことはあるか?自分の満足だけではなかったろうな?」
「自分の満足のために抱くのがどこが悪い?抱く相手のために労力をかけて何があるというのだ?」
「う~ん、難しい質問だが・・・相思相愛、愛し愛され、くんずほぐれつして、お互いともに満足し合うのは・・・そういう営みはこの上なくいいものだぞ。」
「勇者め。この世界では、自分を殺した、自分を殺そうとした、そして自分が殺したハイエルフ女を妻にしたようだが、同じことを言えるのかな?吾は・・・ああいうことは、わからないな。」
と呟いて、また笑った。




