再戦➂
「もし、我が勝ったら?」
再び魔族の上に魔法として自分が君臨する。君臨したら、多分人間達を支配した亜人達に侵攻するだろう。亜人達は、そうはさせまいと、戦いが終わったら、自分も、傭兵にした魔族も、今各地に輩出した自称魔王ととの配下を潰そうと動き出すだろう。勇者を倒すとともに、新たな戦いが始まることになる。どこまで用意周到に準備、計画して、魔王を復活させたのかがわかるだろう。
「多分、大してん考えていなかったろうがな。まあ、そうなったらやっぱり復活させなければよかったと後悔させてやる。」
と魔王は心の中で考えていた。
「まあ、吾が勇者に勝てば、かなりの者達が態度を豹変させるであろうよ。」
「はい。まことに。」
「その時のあ奴らの顔が楽しみです。」
と言う彼らに、
「万が一だが、吾が勇者にまた敗れた場合だが。」
「は?」
「勇者の下に降れ。あ奴は、それを受け入れる。そういう馬鹿な男だ。」
「はあ?」
「万が一だと言ったであろう?吾は負けるつもりはない。」
「は、はい。」
二人は魔王の言葉に励まされたかのように、明るい笑顔を向けた。
「理解ができたら行け。そして、吾が勇者を倒した後のための耕作を始めておけ。若き勇者もいる。そう、簡単に人間達が幸福、屈服はしまい。我をまだ、連中は必要とせざるを得ない。人間達の屈服がまじかになったら、吾をお払い箱、つまりは抹殺、処分しようとするはずだ。その裏をかくのだ。人間達をこちらに引き入れるのもいいだろう。亜人どもに、吾とお前達魔族の恐ろしさを再び、あの貧弱な頭の中に叩きこんでやるのだ。分かったな。」
「はい。」
二人はハーモニーした返事で、駆けだした。
「そうだな。勇者を殺せば・・・。」
とその後のことを思い浮かべた。
「他のとるべき方法はなかったのだろうか?」
魔王は思わずつぶやいてしまった。
「本当に勇者の奴を笑えないな。」
と言って苦笑した。
「勇者様。どの戦線でもはっきりと我が方の優勢が見えてきております。オーガの屈服はもう目の前といえるでしょう。オーガの王の大半は戦死、捕虜・・・中には裏切りにあって首が届けられた者もいますが、もう抵抗できるものはわずかねそれも降るのは・・・もう既に降っているかもしれません。ドアーフ、オーク、吸血族は既に幸福の使者がきております。他の種族も後退を続けております。こちらも、雄姿や様の領地を確保、その線を越えて拠点、砦を作りつつ侵攻し続けています。既に、亜人種族で連合軍を組織して構成をかける余力はないかと思います。」
ダークエルフのエン・チュウは、勇者センシュウをはじめとする妻のスン・イン、勇者側近カンブの前で地図を指し示しながら戦況を解説した。彼女は、勇者直属の軍の親衛隊長でもあり、勇者に次ぐ勇者の軍の幹部でもあったし、ダークエルフを統括する地位にあった。前回も同様な、魔王の侵攻を前に、似たような状況を彼女が彼の妻でもある立場から説明していたのを思い出した。この場に大聖女ノアケ・ボノボもあの時いた、参謀長のような立場で、同時に妻として。彼女のいた場所に。彼の妻としてではなく、聖女としてサーヨ・スガラがいた。まだ若い聖女だった。彼女は、最初の生の時、暗殺され30年後に転移したのか、再生したのかわからない彼が出会い、妻とした聖女である。一人前になって、彼の元にいると言うだけだった。彼女は彼の妻だった記憶は当然ない。彼には、彼女の若い体を抱いた、そしてその後ずっとエンとともに妻として愛した記憶、感触も含めてもあるが。
「全く、もっと早く降っていれば・・・。」
とセンシュウは呟いた。
「あなた。もう、そういう感慨は捨てなさいよ、かつてのパーティーの仲間だったということでの同情は。あいつも、私とあなたを殺そうして、それを許してあげたのに、私達との戦いを、反対したならともかく、積極的に進めたのよ。責任者の一人として処刑されてもらわないと。まあ、私に言わせればドアーフのセツだって許すなんて甘すぎると思うけどね。」
と冷たく言い放ったのは、スウだった。これには、他の面々も同意するように小さく頷いた。
かつての勇者パーティ―の7メンバー達、誰一人として、彼との、人間との戦いを止めようとする者は誰一人いなかった。ドアーフのナア・ナッも、オークのエイ・ケツも、吸血鬼族のカー・エルも、センシュウの説得と脅し、状況の不利から彼との開戦にはかなり消極的な動きをみせ、戦況が不利なのを見て早々に彼との和平を画策したのである。だからこそ、彼らの種族投稿では彼らは処刑ということはしなかった。だが、オーガのメーカ・リドキはそうではなく、積極的に開戦を主張し、高専はをリードしてきたのである。ここで投稿しても、部族の長ともども処刑せざるを得なかった。投降を主張した者を暗殺したということもあり、投降したオーガの軍の中での評判はかなり悪い。
「そうだな。」
と彼が言うと、
「まあ、そういうところがあなたのいいところでもあるけど。」
とスンが身体をすりよせてきたので、優しく肩を抱いた。いかにもバカップル、未だに熱いカップルということで、いつもの情景に誰もが、そこにいる者達は苦笑した。
「それで、魔王はどうします?」
との声が人間の騎士から、彼の側近の一人である。
「予定通りだ。」
「各地に分かれている舞台は、殲滅させた砲火がいいのでは?」
「いや、まとめて殲滅した方がこの場合はいい。」
とセンシュウは主張した。




