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勇者よ、それがお前が望んだことなのか?  作者: 安藤昌益


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再戦➁

 人間側の傭兵を装って、村や都市に時には入りつつ進んでいた。パーティーは5つに分かれて進んでいた。前回と同じではあるがパーティーの人数が違うし、前回は2つに分かれていただけである。数は40人ほどだった。少数のグループ、部隊で後方に入り込み、後方攪乱を行うことはよくあることであるから、そのための警戒体制を作るのが当然である。時には、自分達がそういうグループであり、進行方向を欺くために、村や軍の拠点や物資の集結地などをいくつか襲撃した。それも前回と同様だった。ただ、異なったのは一人ほど一旦捕虜にして、尋問したみた、今回は。前回は、パーティーメンバー達の殺戮を笑って見ていたものである。種族が違えばこれほどまで残酷なことができるのか、いや、同種族であってもここまで出来るのか、魔族と変わらないな、と思ったものである。こいつらが魔族が残虐だと言って、一致団結して自分を倒したのである。おかしなことだ、と彼は思ったものである。

「勇者は、とんでもないことをやったものだな。自分がやった残酷な行動で、全てを残酷な者にかえ、自分にそれが返ってくるのだからな。」

と笑った、前回はだ。

「あの時は、勇者が勇者パーティ―の仲間全員を殺して、亜人達を抑圧したことしか知らなかったからな。」

と今回は心の中で苦笑した。


 前回は気にしなかったが、最後には気付いたのだが、どこでも彼らに対峙した人間達の部隊は、他仕様の抵抗はするものの、早々に撤退した。まるで、出来るだけ被害を少なくし、安全に村人などを避難させようとしているように見えた。実際その通りだった。勇者が最後に語ったのであるから。今回も多分同じであろう、と彼は思った。

「わかっているぞ。」

と心の中で呟いた。

 そして、勇者は己の館の大広間の、魔王の玉座に似せた座に腰をかけて待ち受けていた、前回は。屋敷に侵入する時も、侵入した後も出会う兵士達は、早々に逃げ出したものである。

「あの時は、勇者は人間の間でも人望がないな、見捨てられつつあるようだな。」

と笑っていたものである。

「全く、吾ながら目で見えていることだけで判断できなかったのだから、何とも情けないことよのお。あいつは、あの時笑っていたな。あいつだけではない。両脇に、ダークエルフの女聖騎士と大聖女が立っていたいたが、その2人も笑っておったな。あの時は、あの2人があいつの妻だった。今回は、あのハイエルフ女が右か左にたっているということか。あの2人と溺愛の仲だったらしいが、今回はエルフ女と溺愛と言うことらしいが・・・器用な奴だ。」

と言って、自嘲気味な洞井が愉快そうな笑いに変わっていた。


 そう思いながら、天幕を出て少し離れたところに彼は歩いていった。不可知結界魔法を張っていたから、見張りをしているメンバーも気が付かなかった。

「来ていたか?」

 彼の前に2人の魔族が立っていた。


「魔王様。」

 2人は跪いた。彼と同じ人間型魔族だった。人間型といってもかなり広く定義はあいまいである、ケモ耳とかあっても、かなり人間的な要素があれば人間型魔族とされる場合もそうでない場合もある。この二人は、魔王同様に純粋な人間型魔族である。二人とも男だった。

「全く色気がないな。」

と不満に思う自分が少し面白かった。

「魔界の具合はどうだ?」

と彼が問うと彼らは、残念そうに首を横に振った。

 魔界では魔王どころか四天王の次席にすら準じる力を持っている者はいない。そして、そのような連中が新魔王を称して、乱立しているというのが魔界、魔族の状態なのである。魔王が復活した、ということで彼らのどのくらいが、復活した魔王の元に馳せ参じるか、ということなのであるが、それがほとんどいない、ということなのである。

 その一方で、亜人達の傭兵になって、この戦争に加わっている魔族の部族もいる。それは、人間達も同様だった。同様ではなかった。

「勇者の領内にいる魔族はどうなのだ?」

 魔界の占領地にも勇者の領地があった。勇者は、魔族に自治を与えていたし、援助もしてきた。魔族の地、魔界に侵攻して広げた領地であっても、拡大した土地は欲しいが魔族のいる、それがまだ多く残存している地はあまり欲しくはないという本音を利用して?勇者は、その最前線と言うところに領地を求め、それが認められた。彼は、魔族達に自治を認め、寛大なというか、緩い統治体制を取った。税負担はできるだけ少なくし、それすら、領民、つまり魔族達のために使った。人間の技術を導入したりして、無理に農地を作るとはせず、魔樹すらも利用して、魔族は魔樹を毒の採取くらいにしか利用していなかったが、色々な利用方法を提案して、ポケットマネーでその利用を実行させて、結果としてその地を少しづつ豊かにした。他の亜人達のように、魔族を奴隷にして、絞りつくした方が簡単だったろうに、とも思っていた。

「全くあ奴らは、魔族の誇りも忘れて・・・。魔侯爵などとおだてられて・・・。」

 一人が忌々しそうに言ったのを、もう一人が大きく頷いた。

 勇者は、彼らに身分を与えることも熱心にやってきた。侯爵、伯爵の地位を与えられた者もいる。そうなると、かつての魔王様が復活してもむ、迷惑なだけなのである。



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