再戦
「領民は、領主を見限って早々に逃げ出したようですね。」
竜人族の女、オウマガが忌々しそうに言った。魔王のパーティーメンバーとしては、略奪で色々と美味しい思いをしたかったのに、領民は出来るだけ寝てるものを持って既に逃げ出していたのである。
「悪徳領主ですからね。領民に慕われるはずがありませんからね。」
とはトオビだった。オーガの領域で人間に占領された地域である。その地を一時的に管理を任された者をよく言うはずはないし、彼女の心情を思えば当然だった。
燃え上がる屋敷など・・・見覚えはないが、同じ地で同様な記憶がある。ここをまかされた人間は誰だったのだろうか?と彼は思った。
「ここの領主というか、任されていた奴は人間か?」
と尋ねたが答えは人間だった。だが、よく調べてみるとハーフオーガだった。この地は、人間やハーフオーガ、グリーンオーガほどではないが、差別されたオーガの部族もいた。適任だったろう。
勇者が居をすえる館、前回もそうだが、それがはっきりとして情報としてつたわっているのが不思議だった。前回は罠というより、彼はまちかまえていたのである、自分と再戦、彼にとっては4度目、をするために。今回もそのつもりだろう。それであっても、一日も早く勇者を倒す、その館を襲うことが重要なのだが、亜人達もそのことはよく分かっていたはずなのだが、オーが軍からこの地の人間の軍の撃破を要請されたのである。少し前、人間の軍、エルフも他の亜人も加わっていた、に大敗して、このままでは現在の拠点が危ない、それでは後退すればいいのであるが、それでは全体の士気に悪影響があり、戦わずして広い領域を奪われてしまう。その人間の軍には、まだ若いが新たな勇者が先頭にたっていて、さらに新式の銃砲が今まで以上に充実しているということだった。それが大敗の理由である。その軍の補給の中継点を叩いて、牽制して、侵攻を止めたい。ということで、この地の襲撃ということになったのである。
周囲に砦を配置し、野戦陣地を配して防御線を構築していたが、魔王とそのパーティーが合流したオーガの軍には抗することは出来なかった。3日で補給拠点は陥落した。魔道士数百人分の火球を降り注いだのだから当然だったろう。
ただし、そこの人間達の部隊は、これ以上は無理だと判断すると早々に撤退してしまったため、遺棄死体などから見て、さほど損害を被ることなく撤退したようだった。物資には、これまた手際よく日がつけられ、魔王が直ぐに消火したものの、かなりが失われて得る者は期待よりかなり小さかった。だから周辺の村々への略奪を、オーガ軍は期待したのだが、大抵は既に住民の大半ができるだけの荷物を持って逃げ出しておりあまり手に入るものはなかった。一番被害を被ったのは、人間に占領されていなかったオーガの村、部族ということになってしまった。
何か残っていないか、パーティーメンバーが一軒一軒調べてまわった。案の定、農かには地下に穴倉があり、持っていけないものが保管されているのが見つかった。とても満足できるものではなかったが、メンバー達は直ぐに食べた方がいいものは食べ、保存がきくものや金目のものは自分の荷物にした。
農家の中やその穴倉の中身を、魔王はあさるメンバーの後ろから眺めて、観察した。
「ふん。オーガの領内よりちゃんとしているようだな。」
と彼は呟いた。
「勇者よ。お前はこんなことで平和共存ができると思っていたのか?まあ、そもそも平和共存などできると思うところが、お前の甘いところで、馬鹿なところだ。4度目でこんなこととはな。エルフ女とはうまくやっているようだがな。どうやってうまく誑かした?まあ、お前は3回、エルフ並みに生きたらしいからな・・・2000年以上?それならば、吾の10倍以上生きたわけだし、手練手管は大したものだろうよ。教えてもらいたいものだが、そう言う機会はなさそうだな。五度目の生、我が3度目記憶を持って・・・その時には・・・次があったら教えてもらおうか?しかし、自分を殺した、そして殺した女をよく抱いて、愛でることができるな?愛することができているか?それができていたら、お前はとんでもない馬鹿やろうだよ。我は、女というものを愛したことはあったろうかな?抱いて楽しんではきたが?」
魔王は、傍らで満足そうに全裸で横たわり寝息を立てている、神獣系獣人、神馬血筋、のスズ・メイロを見下しながら思いをはせていた。
「だが、今度こそ勝たせてもらうぞ、勇者よ。」
と彼は呟いた。同時に、
「どうしても、ともに戦うことができない・・・ははは、吾も選択を誤ったかもしれんな。あの時・・・未練とかではないが…引きずられるということはあるな。ともに戦う選択がかなうことはあるかな?勇者、お前はそれがあったら、うれしいか?そうなったらどうなるかな?」
彼は自分でも?と思うほどおかしく思えてならなかった。




