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勇者よ、それがお前が望んだことなのか?  作者: 安藤昌益


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魔王の復活➃

「全く、人間の奴隷の方がすっと生活水準が高いではないか?」

と魔王はため息交じりに呟いた、心の中で。


 竜人族の領域、オークの領域、オーガの領域を通過している中で奴隷達、一般の領民達の姿を、夜な夜な調べてまわったのである。はっきり言えることは、前回の勇者の人生と時、自分が再生に成功した時と比べると、亜人達の奴隷の待遇、それは前回の、人間達が占領していた地域の亜人奴隷と現在の亜人地域内のそれと比べると、後者の方がすっと悪い。総じて、その比較が現在の一般領民に拡大されても結果は同様である。

「全く勇者の奴は甘いのだからな。」

と魔王は心の中で笑ったものである。あれだけ亜人達を抹殺する、そこまでは言わないが徹底的に支配下に置くと言いながら、亜人達の暮らしに気を配っていたということがわかる。それに人間側に加わった、いや取り込んだというべきかのダークエルフ、黄色ドアーフ、グリーンオーガ、極楽色有翼族、月光ドラゴン、湖竜人などとは友好関係を維持し、彼らの生活向上には積極的に協力すると同時に、人間達も含めて服属かにある亜人達の不法な行為を許してはいなかった、規制していたのはかすかながらも感じていた。服属させる亜人といっても、例えばエルフにしても、ダークエルフ同様に認められたエルフの部族もかなりあると言う具合だった。

「わしなど徹底的に奴隷化して死なない程度に搾取して、こき使ってやるのだがな。」

と言って小さく笑った。

 

 オーガの町は、人間達が本来かなりいるのであるが、オーガの経済を支えている面が大きいが、人間達は縮こまって生きているようだった。亜人達を戦々恐々としている状態たった。このような状況だからしかたがないともいえるが、全くその人間達に考慮をオーガの上層部は考えていないようだった。

「勇者、人間は何かしなかったのか?何か支援とか、協力とかしていればオーガも和平を望んだのではないか?」

 同時に油断もさせられるだろうが、と思いながら、無立ち寄った屋台の果物屋がリンゴを買って尋ねた。すると屋台の男が、周囲をキョロキョロ見回してから、小声で、

「だんな。色々と・・・水車とか風車とか色々作ってきたのですけど・・・結局はそういうことでは・・・むかなり壊されたりしてね。」

と教えてくれた。

 飲み屋に入って酒を呑みながら、そこの女将に都市の政治はどうなったか聞いてみると、同様な態度でかつ、耳元で囁いた。

「本来の市長さんは追放・・・本当だか・・・生きているかどうか、という噂だよ。幹部も役人も、いつ殴られるか、時には殺されるかで・・・という噂で、オーガの軍人とかがやりたい放題だって・・・もう怖くてねえ・・・。」

 彼女らが魔王の質問に答えたのは、彼がハーフオーガながらかなり身分が高そうな人物に見えたからである。オーガ風に姿を魔法で装っているし、貴族としての待遇を与えられているのである。

 こういう時の定番という、

「おい、何をこそこそやっているんだ。何か、オーガの悪口を言っているんだろう?そこの半オーガの糞貴族やろうと一緒によ。」

と怒鳴って、歩み寄って来る巨漢のオーガがいた。

 騎士だろうが、さほど身分が高そうではないが、戦場に近いということとしたたか酔っていることで気が大きくなっていた。さらに、魔王が小柄で、かなり若く見えたからである。つまり弱弱しく見えるということだった。

「大したことは話していない。うるさい男は、嫌われるぞ。静かに酒を呑んで、食べていろ。」

と言った。魔族、魔王軍の宴会も騒がしく、至る所で酔って喧嘩とかは日常茶時だったことを思い出し、つい笑ってしまった。それを自分を笑っていると感じたのだろう。いきなり、

「この野郎。ばかにしやがって!」

と殴りかかってきた。

 がしっ、と男の拳を手で受け止めて、一気に握りしめた。

「うわっ。い、痛い・・・や、止めろ。」

と悲鳴を上げたが、流石にそのままで負けてはおらず、蹴りを繰り出した。それをもう一つの手を叩きつけた。

「ぎゃあ。」

と叫んで倒れた。それをすかさず、誰の目にも見えない動きで、男を吹っとばした。音を立てて男は床に倒れた。

「すまなかったな。」

と言って金貨を置いて立ち上がった。この後、店を出ると、案の定男の仲間が追いかけて来た。彼らは、自分が気が付かないうちに叩きのめされてしまっていた。

 そして悠々とかえってきたのである。

「流石に魔王様ですね。」

と苦笑するトオビは苦笑した。

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