復活の魔王➂
一番最初に大きな戦果を挙げたのは、前回は、本来はオーガの領域に領地を持っていた人間の領主だった。オーガを主体とする解放軍とともに、その領主の館を襲撃した。その領主は、領地のオーガ達からひどい地代を取り立て、労役に借り出して、地代が払えないのであれば即奴隷に売るなどという酷政を行っていた。領民は飢え、その日の暮らしもままならない状態だった。そして、彼に、人間に対して起こる反乱には過酷な弾圧で報いた。多くの勇気あるオーガの解放軍の兵士が戦死し、捕らえられた後ひどい拷問の上、処刑された。処刑台に死体がつるされない、晒されない日はなかった。各地で反乱が起こっているという状態であったことから、彼は兵士を多く雇いいれ、館の警備、守りも堅固だった。だが、魔王が先頭に立つ解放軍には、その程度ではないに等しいものだった。瞬く間に騎士、兵士は倒れ、領主は重傷を負い倒れたところを捕らえられ、憎しみに燃えた解放軍の兵士や加わっていた農民達から寄ってたかって殴る、蹴る、斬る、突き刺すの果てに絶命した。その死体は、八つ裂きにされた吊り下げられた。
それでは終わらなかった。密かに逃げた領主の妻、息子を早速捜し、農家に匿われていた2人を密告で捕まえ、妻は寄ってたかっての凌辱の上で殺し、息子も散々に打ち据えて殺した。領民達のあいだに放り投げた結果だという。それだけ、2人も恨まれていたのだ、と解放軍の若い指揮官は言った。その殺された領主の息子が、知っている顔を見つけて、
「助けて。」
と言ったらしい。その、声をかけられた男女は、躊躇なく、
「お前を助ける義務なんかあるかよ。」
「恨みしかないんだよ、豚野郎。」
と罵って、救いを求める彼の息の根を長い時間かけて止めたという。自分がどれだけ恨みを買っていたか、自分がどれだけひどいことをしてきたか理解できていなかったのだ、と誰もが笑った。もちろん、2人の死体は領主と並べて吊るした。
この後、解放軍の指揮官が臨時の領主になって、この地を守り、皆が幸せな地を作ると、すがすがしい笑みを浮かべて語り、魔王達と別れた。そして1か月後、他の地域を転戦していた魔王のパーティーが、この地方に勇者の軍が侵攻してきたという話を聞いた。そして駆け付けた時には、勇者はその地方のオーガの解放軍を一掃、というより皆殺しにして引き上げて、他の戦線に向った後だった。
魔王が、園地で見たものは、無残な殺され方をした死体が、延々と吊るされている情景だった。あのすがすがしい顔で未来の希望を語った若い指揮官や希望に満ち溢れた解放軍の男女達、そして領民も、女子供も同様な死体となって吊るされていた。
この時には、戦いというものはこういうものだと知っていたはずだが、怒りを感じた。勇者よ、お前の正義とは何なのだと。
「魔王よ。お前の真実はそうなのか?」
と対峙した勇者に抗議した時、まず言い放ったのは、その一言だった。
「何が言いたい?」
とそのせせら笑うような表情に怒りを感じた魔王が言い返した。
「あの地に私が侵攻する時に、先頭にたつことを志願したのはその領主の家臣達、騎士や兵士、果ては庭係、料理人、さらに侍女達だったんだよ。さらに、あの解放軍となのる盗賊団の略奪から逃れてきた領民達だったのだよ。嘘じゃないよ。恩あるご主人様、ご領主様、そして奥方様と坊ちゃまの仇を取らせてくださいと言って、泣いて懇願するだから断れなかったよ。彼はね、善政をしていたんだよ。領民の大部分はあの領主を慕ったいたんだよ。それに比べて、解放軍は、もう少し待っていたら状況は変わったのかもしれないけど、直ぐに略奪のような行動をはじめたんだよ。それはそれは、酷いものだったらしいよ。彼らを殺したのは、処刑したのは、家臣達や領民達だったんだよ。恩ある方を殺した罪を、というのが開口一番だった。領民の中にも殺されたのがいたよ。領主夫人、息子の隠れ場所を密告した奴とか、3人の殺害に加わった者達とかね。ちなみに領主夫人はハーフオーガでね、使用人にもオーガもいたんだよ。ご領主様、仇を討ちました、と号泣していたよ。まあ、信じるかどうかは魔王様の勝手だがな。」
と勇者がせせら笑う様に言った。
魔王は、それには答えなかった。解放軍の連中は気のいい奴らのように思われたが、それが善人の証ではないことはよく知っていた。笑って過去の友人、仲間、恋人を売る、裏切る、殺す者達はいるし、そういう連中は気のいい笑いを浮かべることが上手い者達が多いものだ。
「彼らの中には友達が多くいたのよ。」
「自分の手で殺せなかったことに、嘆いている奴らも多かったよ。」
そんなやり取りもあったとを思い出した。
本当のことはよく分からないものだ。だから、、今回はどちらがより大義名分があるか、真実に近いことを言っているのか、調べに度々出たのである、密かに。そして怒られてしまったと言うわけである。




