復活の魔王
「ああ、思い出した。あの時もここに立っていたな。」
魔王ツヨノマは、林の中に立っていた。自分が多分少年の姿なのだろうとと思った。手、足などを確認してみた。それで一応納得した。自分は、また、復活したのだと。そして、以前に復活した記憶をもったまま復活したこと、その記憶がないまま、また勇者に倒され、5度目の敗北、今、多分30年後に復活した、そして以前の記憶を、4度目の敗北の際の、思い出していることをほぼ確信していた。
「ここで、しばらくしてオーガ女が、亜人の奴隷狩りに追われているところに遭遇したわけだが・・・勇者の奴4度目はどうしているのだろうな。」
と思って、思わず笑ってしまった。
「?」
そうこうしていると騎馬魔一隊らしい音が聞こえてきた。それが次第に近づいてくる。振動も感じるようになる。視界に騎馬の一隊が入ってきた。先頭の、多分指揮官らしい、逞しいオーガの女騎士には見覚えがあった。
「ヒール・トオビか。今回はかなり出世しているようだな。勇者の奴、今回は亜人どもをも取りあえず潰してはいないということか?」
彼は楽しくなるような思いを感じた。
彼の近くで騎馬の一隊は止まり、トオビは馬を降りると、1人駆け寄ってきた。そして、彼の前で膝まずいた。そして、
「魔王陛下。復活おめでとうございます。お迎えに参りました。どうか、私たちにご同行いただけないでしょうか?魔王様に相応しい待遇でお迎えする用意が整っております。そして、ともに憎き勇者を倒そうではありませんか?」
と言上した。
人間達に殺されかける魔族の子供を助けようと飛び出したみすぼらしい、かつて?の彼女とは別人のようであったが、そのことはおくびにもださず、あの時もそうだったが、傲岸不遜な顔を敢えてして、
「今度はわし、この魔王に勇者を倒してくれと頼み事か?まあよい、勇者とはもう一度戦って、今度こそは倒してやろうと思っていたところだ。よろこんで手を貸してやろう。」
と言った。すると彼女は深々の頭を下げ、
「ありがたきお言葉。」
と言ってから、後ろを向いて、
「魔王様に何か上に羽織るものを。」
と部下に命じた。
「ああ、裸だったな。」
と彼は今気が付いたように言った。実際そうだった。騎士二人が持って来た上衣を羽織り、連れて来た馬に彼が乗ると、彼とともにオーガの騎士達は出発した。
「形勢は不利なようだの。勇者の奴やるではないか。」
と魔王はいかにも愉快そうに言った。彼の前には、人間の領域から各亜人達達の領域とそれぞれの最前線の砦、陣地、駐屯地などが書き込まれていた地図があった。エルフを除く亜人達の領域の中に人間達の砦などが描かれていた。つまり、完全に勇者・人間が優勢に戦いを進めているということだった。
「勇者め。あのエルフ女をものにしていようとはな。そいつと毎夜乳繰り合っているというわけか。今度はそうでたか。そうやってエルフを引き込んで亜人達を分断したというわけか。そのことでドアーフもオーガもオークも・・・。流石勇者よ、4度目はさらに考えたな。」
とも心の中で思っていた。
「勇者の領地は、攻略しないのか?」
地図で示されている各亜人領域内のすく勇者とその妻エルフの領地はそのままであり、その中に築かれている砦はないようだった。逆に、人間、エルフ、ドアーフ、オーガの領域内の勇者パーティ―メンバーの領地は人間・エルフに占領されているようだった。
「卑怯にも秘密裡に防備を固めておって、容易に落とせないのだ。」
と亜人の竜族の勇者パーティ―メンバーが答えた、苦虫を潰したような顔で。
「攻め入ったが完敗して、引き上げたということか。勇者の奴は本当にやりおるな。」
これも心の中で感心するように呟いた。嬉しかった。これだけ強い、賢い相手と相まみえる、戦えると思うだけでうきうきしてきたのだ。
「魔王よ。嬉しそうだな。宿敵が上手くやっていて喜ぶところではあるまいに。」
「まあ、そう言うな。それだけ強い奴を倒せることが嬉しいだけだ。そう思わないか?」
竜神族のキュウのいかにも不満そうな顔、勇者の後ろにいるのを見た記憶が残っている、オーガの女にも、同様な記憶がある。彼らは、魔王が敵愾心丸出しではなく、勇者を誉めているようで、そこが気に食わなかったし、自分達が馬鹿にされているように思えた、それだけである。魔王の心の底をそこから違和感なりを感じたわけではなかった。それでも、魔王ツヨノマは少し言葉遣いは注意しようか、と思った。
「それで、我をどのように使うつもりだ?決戦の軍の先頭に立たせたいか?それとも、勇者と同様に、パーティーを率いて勇者のいる場所に乗り込んで、雌雄を決して、つまり勇者を殺すか?どちらにしても、我は勇者と再戦できればよい。」
とニヤッとして2人とさらにさの後ろにいめ者達を見た。




