表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者よ、それがお前が望んだことなのか?  作者: 安藤昌益


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/31

亜人達の動向➂

「エルフなんぞが脱落したってたいしたことはないだろう。」

と言い出したのは、神獣銀狼系獣人のオシ・アケは、座っている豪華な椅子、ソファーではない、柔らかい物ではない、ただι(´Д`υ)アツィー藁かな敷物が敷かれていた、の上にふんぞり返るように座っていた。獣人といってもかなり幅広い。神獣の末裔の部族は、また各系統、多岐に分かれていたし、同一種族としての感覚はなかった。勇者パーティ―には、神獣の末裔の獣人が何人かいた。彼はその一人だった。顔は、銀狼その彼が、酒の入った杯を口元で弄びながら声をかけた、やはり豪華なテーブルの向こう側に座っているの

が、こちらは背筋を伸ばして、酒の杯を傾けていたが、座っていた、有翼族、それは人間等からの呼び名で、当人達神翼族、神人族とも称していたが、のセイ・ソウだった、彼も勇者パーティ―の1人だった。白い羽をもった、その羽根が輝いているようだったし、堂々とした体格の持ち主でもあった。

「だが、エイ・ケツも言っていたが、内部で人間・・・いや、勇者になびいている部族がどの髭右族にもいるようだ。エルフが種族として人間の側に与したことは影響が大きい。迷っている連中が動揺する。」

 2人の頭には、豚顔というか猪顔というかのオークの女が現れた。オークの中ではかなりの美人と言うことになっているらしいが、2人にとっては?でしかない。彼女は大柄でもあり、大楯使いのだった、勇者パーティ―では。それでも、彼女は頭脳明晰、情報分析は的確だという認識だった、2人にとっても。

「ふん。そんな臆病者や汚れた血の連中など大したことはないさ。」

「そういう連中でも数が多ければ厄介だ。それに荷物運びかせいなくなるのも、捨て駒がなくなるのはこまるだろう?」

「まあ・・・確かにな。」

 アケは、一気に杯を飲み干して、

「くそ、あの淫乱エルフ女のせいだ。あいつがうまくくやって勇者を殺せていれば・・・裏切りやがった・・・。」

と忌々しそうに言うと、

「勇者と夫婦仲はいいらしいな。お前が彼女も殺そうとしたのか?」

 ソウはかまをかけるように言った。

「俺は知らんぞ。勇者の奴には言ってやったさ。あいつときたら、とにかく彼女も自分と一緒に死んだ、の一点張りなんだよ。誰が、あの糞エルフ女も殺そうとしたんだよ。俺じゃないぞ。」

「俺でもないぞ。しかし、とにかく、あいつはそう信じている。俺達が、勇者を殺そうとしていたのは事実だしな。みんなの一致した考えだった。」

「全くその通りだよ。」


 何故勇者を殺そうと思ったのか?彼無しには魔王は倒せなかった、魔族の軍には勝てなかったのは事実である。彼は傲慢で、強欲で、我がままで、屑だった、ということは全くなかった。どちらかというと気のいい奴だった。完璧な奴とは言えなかったかもしれないが、他の意見はよく聞き、よく塾考して、大抵正しい判断を下したし、過ちは直ぐに改めた。他種族に対する差別感はなかったし、異なった種族からなるパーティーをまとめる役にはちょうど良かった。それに、戦闘力は素晴らしく、慢心せず、鍛錬を怠らることはなかった。かつ常に新しい技、魔法の習得に努力していた。本当であれば勇者を暗殺する理由はなかった。

 いやあったかもしれない。勇者が、彼が人間だったことだ。どうしても、あの弱い、卑しい種族の下でともにいることには嫌で嫌で仕方がなかった。ハイエルフのスウ・インなどは、彼に好意を向けられていることに、いつも、

「怖気を感じるわ。」

と言っていたし、

「聞いてよ。今日なんて触られたのよ。」

と怖い顔をして訴えたものである。 ケツが、自分がそうなったら、本当におぞましいわ、という顔で同意したものである。

勇者がみだらなことをしたわけではない。挨拶で肩に手を触れたり、隣り合って座って肩や腕がふれあった、戦いの際に彼女をかばって2人の体が触れ合った、疲れ切った様子の彼女に手を差し伸べただけのことである。だいたい彼女の方から媚びすら籠った笑顔態度で彼に接して、近づいたりしていたのである。もちろん彼女は、彼に好意を持っていたわけではなく、彼の好意を得て油断させるためだったが。

 他のメンバーも、彼が彼らに友、信頼できる仲間として接せられると、実に嫌なものをいつも感じていた。

 ただ、エルフがオーガに、獣人たちに、ドワーフに、有翼族に、鳥翼族に、竜人族に感じていたものより多少とも大きな嫌悪感だったかもしれない程度で、他の種族にとつても同様だった。

 人間が自分達以上の力を持っている、自分達が頼らざるを得ない力を持っているということに嫌悪感と殺意を感じていたのだ。


 人間。ハイエルフにしても、その直轄領の中に人間の都市、村落がある。彼らに、経済的その他で依存しているところは大きい。確かに、彼らとの紛争、領内に領民、ダークエルフよりは上という程度に低い地位ではあったが、との紛争はかなりあったが、他のエルフ族、いや、ハイエルフの部族間、同部族内の紛争より少ない、同程度のものだった。中には、同族より信頼できるからと人間の側近、使用人、護衛を置くエルフの貴族、部族長もいるほどだった。それはもちろんハイエルフも同様である。そして、他種族も大なり小なり似たような状態にある。エルフ、ドワーフ、オークの一部が、その関係が大きいとはいえるが、程度の差である。

 そうして増えていく人間、ハーフ○○と言いながら人間に近い者が増えていくペースは早い、そのことで人間に対して警戒感も、時々強く喚起することがある。

 だが、それ以上に個々では弱弱しい存在である、実際かならずしもそうとも言えないこともあるのだが、人間というものに対して亜人達は差別感を持ち、実は見下していた。

 その人間に勇者が現れ、自分達ではどうしよもない魔族、魔王に対して、勝利を得ている、その勇者に勇気倍増した人間達が奮戦して魔族を退ける、自分達にできないことをし、自分達がその風下に立つ、自分達が彼らの後ろに立っているということが我慢できなくなっていた。魔王、魔族に対して反撃、魔王城に向って侵攻が始まった時点で全てが決まった。

 魔王を倒し、魔族の軍を壊滅させた時点で、人間達が慢心する原因である勇者を排除する、つまりは殺す、暗殺することを密かに集まった亜人達の指導者は、そこで一致して決めた。勇者パーティ―に参加する自分達種族の精鋭、代表にはその意が伝えられたし、彼らに異論はなかった。

 勇者は魔王と相打ちで死んだことにして、勇者の葬式が終わり、完全に人間達がホッとし、油断した時点で亜人達が一斉に襲い掛かる。人間達の諸国、都市を全て落とし、王族、指導者は皆殺しにして、自分達を支える農奴、奴隷としての存在にする、彼らの分際をわきまえさせる。

 その予定だった。それが全て、完璧なはずの計画が全て砕け散った。ハイエルフまスウ・インが、魔王ほ倒し、油断しきっている勇者の後ろから、抱きつくふりをして毒のついた魔剣、短剣である、を突き刺す、はずだった。その前に、勇者に毒薬の入った薬を回復薬だと言って飲ませることになっていたが、それを彼は軽く断ってしまった。それが、勇者と手に手を取って行ってしまったのである。


「何時、あいつは心変わりしたんだ、あの淫乱エルフは?」

「今考えると、魔王城を目前とした砦にいた時からのような気がする。少し奴の雰囲気が変わっていた。あの時、特に問題に感じてはいなかったが・・・それが失敗だった。」

「勇者に告白でもされて、のぼせ上ったか?それとも抱かれて、変わったか?よっぽど勇者がよかったのかもしれないな。」

「知らん。ただ、とにかく勇者は死なず生きて、そして、エルフが人間の側にいるということだ、現実は。忌々しいが、それは認めなければなるまい。」

「それで、勇者が老いるまで、そして新しい勇者が未熟なうちに一斉に攻撃をかけるために準備をするということか?しかし、勇者はエルフの寿命、そして長い若さも得たという話もあるが・・・。」

「そんな魔法などあるわけないだろう、聞いたこともない。ただ、それだけでは弱い。だからもう一つ秘策を考えている。」

「なんだそれは?」

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ