亜人達の動向
「ハイエルフ達は、揉めているようですよ。」
「流石に大聖女様。よく情報を集めていますね。」
「人間はハイエルフの間にもいますし、ハーフエルフ達も協力してくれていますから。」
「スウが・・・私の妻が奮闘してくれていますし、恩恵は各ハイエルフ達の部族にも届いています。あいつも正攻法だけではなく、個別の、海面下での工作もうまくやっていますからね。私もやっていますしね。」
大聖女ノアケ・ホノボと勇者センシュウ。イチジツは、大聖堂の一室で密談していた。密かに訪問したのではなく、最近保護されたハイエルフの奴隷を引き取りにきたのである、イチジツは。法に反した違法奴隷が保護された場合、それが亜人の時は大聖女の管轄に一時的になり、勇者が変える先のない者を引き取ることとなっていたからである。
「全く彼らは、平和器用損ということができない、考えない連中ですね。我々も内部で争っているわけですから、あまり言えませんが。時々、かつてあなたがやったように、あなたのお話ですが、彼らのような亜人達は殺してしまった方がいいのではないか、とおもってしまうことがあります。」
彼女は、それが本心ではないという風だったが、大きなため息をついた。
「その場合は・・・かなりの犠牲を出しましたからね。私は一人ですから。私のいないところでは、多くの人々が犠牲になった。あいつらは血も涙もない情け容赦のない連中ですから。かといって平和共存を信じたものの、30年後、私も初老で力が衰え、時代の勇者がまだ成長過程の時期を狙って一斉に襲い掛かってきました。返り討ちにしましたが・・・。全員を殺し、彼らを屈服させるために大きな損害をだし、30年後復活した魔王とともに・・・少なからず被害がでました。」
「それで、エルフをこちらの側に取り込んで分断させて・・・。流石にそれで、彼らは諦める、平和共存にとの期待は見事に裏切られましたね。」
「そのとおりです。ただ、ドアーフは、もしかすると効果があったかもしれませんよ。」
「そうですか?お話いただけますか?」
少し前、勇者パーティ―メンバーだったドアーフのナア・セツと話をしていた、イチジツは。話というより交渉、いや脅迫だったかもしれない。
「別に、私はドアーフを・・・亜人達と敵対しようとは思っていないよ。平和共存したいと思っている。君達が、私達を攻撃しようとしなれれば、戦争はない、平和しかないよ。」
「亜人とだと。エルフはどうなんだ?」
「私の妻の同族だ。つまり人間と同じだよ。」
「屁理屈を。」
イチジツの領地に居住して、事実上人間として保護されているドアーフ達の部族、黄色ドアーフ達のことでの取り決めで彼自身がドアーフの諸部族長達との会談に乗り込んだ。内容そのものは今までの合意事項の再確認に過ぎず、ドワーフ側の奴隷狩りに従事しイチジツの領内に拘束されていたドワーフの引き渡し、処罰を約束した上での、の協定をまとめただけで、特に大きなことはなかった。その夜、イチジツから、懐かしい話でもしようと、彼の宿泊している場所に呼び出されたセツは、彼とパーティーの思い出話をするどころか、彼の自分達との対立について食って掛かろうとした。
彼がだしたワインをぐっと呑み込んで、もうしたたか酔い始めていた。だから、つい言ってしまった。
「なんで、エルフに、をあの女に肩入れする。あいつらもあんたを。」
とまで口に出してしまったのだ。次を慌てて飲み込んだが、
「エルフも、インも一緒に私を殺すことに同意していた、と言いたいのか?」
にこやかな顔のままだが、彼の殺気にも近いオーラに背筋が冷たくなった。
「い、いや・・・。」
「それでもお前達は私とインを殺した。彼女は死の間際、私に謝った。いくら私が彼女を愛していても、私を一緒になって殺し、死にゆく私をあざ笑った女を妻にしないし、エルフ達を許すことなどはしないさ。」
「ば、馬鹿な・・・どうして俺達があのハイエルフ女を殺すんだ?まるで見て来たようなことを。」
「見たさ。君がどう聞いていようと、そういうことは思っていなかったとしても、彼女も殺された。誰が殺したかはわからないがね。」
「ど、どういうことだ?」
「君はドアーフの安全を約束してくれたと思っているのか?インの後は君だと思われていなかったと断言できるのかね?私は妻に何かしでかさなければエルフを大切にする。戦争わのぞまないのであれば、それで自由文だ、ともに平和器用損しようじやないか?私はかつての仲間は・・・ともに苦楽を共にした仲だ、情を感じるのだよ。そういう私と、何を考えているか分からない連中のどちらをしんしたいのかね?あいつらが君と友好関係を恒久的に網としていると思うのかね。」
といったん言葉を切った。かれが言葉を返さないので、
「30年もすれば私も老いる。その時まで待てば、勝てるなどと思っていないかね?私は、インと結婚した。そして、彼女の、ハイエルフの長寿と若さを貰ったんだよ。だから、30年とかは、君よりもいみがない短さなんだよわかっているかい?私と敵対して部族を滅亡させるか、かつての友人への気持ちをすてていない私を信ずるか?私に敵対できる、勝てるとは思わないことだ。」
セツは冷や汗を流して黙り込むしかなかった。




