終わり
「んぁ……」
7時か……目覚ましなんてなくとも起きれるものだな。それとも、空腹なだけか。
着替えて下に降り、メンヘラの飯を無理やり押し込み、トイレに向かう。
そして、聞こえないようにドアを閉め、便座の電源を入れ、喉に手を突っ込む。
「っぷ……」
ベチベチベチベチっ!という音を立て、ゲボを吐き、丁寧に流す。
締めに口を洗い、脚がフラつくのを隠しながら学校に向かう。
「はぁ……はぁ……」
いい匂いが、する……もう11月の中旬だっていうのに汗ばんできた。
何か食べ……いやだめだ我慢だ。もう手持ちの金が少ない。
学割の効くところじゃないと。早いとこバイト先を探さないと……餓死が、見える。
「……」
これだけ空腹なら水でも満腹になれると思ったが、余計にお腹が減っただけだった。
もう顔を上げる気すら起こらない。
「気を付け、礼!」
「「「おはようございます」」」
「は──」
頭痛がする……目眩もだ。手に力が入らない。この教師話がいつも長いんだよっ!
白露を見る時間が減るだろうが!!
俺はお前みたいに部活中に年下のガキ相手にキレる事しか出来ない違って忙しいんだ!
さっさと話終われ!!
1時間目は……数学。数学ぅ!?
あんな計算しかしない文系の俺には糞の役にも立たないクソ教科がよ!!死ね!
「気を付け、礼!」
「「「「ありがとうございました」」」」
やっと昼になった……。千円じゃ二日しか持たない。
早いとこバイト見つけないと。はぁ……白露に会う時間また減るじゃん。
「おい……あれで終わりと思うなよ」
「……」
「見ろ、この手の震え、お前ごときがこんなことをしてただで済むと思ってるのか?」
「俺にこんな汚点を残したお前が、この先無事生きていけると思うなよ」
せっかく食堂に来たのにさっきから性根の腐ったカスの幻覚が見える。
ご飯タイムにこんな胸糞の悪いもの見せるんじゃな──
「誰が飯を食う許可を出した。お前に許されてる動作なんて何一つ──ない」
「あ……あぁ……あ゛ぁぁあぁ゛ぁぁあ゛」
「汚い声を出しやがって、音階も滅茶苦茶だな。ほらドだ。おぼえろ!」
「お前は嬲って嬲って嬲って!嬲って嬲って嬲って!!最後まで苦しめぬいてやるからな」
「ぁ……はぁ……ぁ」
俺の飯!俺の飯ぃぃぃぃい!取巻すら振り払えないっ!
自分の手は汚さずに実行を任せてお前は高みの見物かぁ?
この性根の腐ったカスらしい陰湿で腰の引けたやり方だなあオイ!!
体育館裏に連れていかれるとはまぁ随分と古典的な……いや
性根が腐ってると発想まで腐ってくるみたいだなぁ!笑わせやがって。
「地獄の100本ノックだ!もちろんボールはテメェだぁ!!」
「……」
ん?見える……見える……!!こいつが次にどこに拳を打ち出すのか見える!!
右脇腹……これなら避けられる。
「ぐっ……な、なんで」
「……ふっ」
「こいつ……!誠也さんに逆らった馬鹿が一丁前に避けてるんじゃないぞ!!」
何発打ってこようが無駄だ……!避けられる。分かる。
これは未来だ。こないだから見えていたのは一瞬先の未来だったんだ!
「ぐぅっ……死ねぇっ!!」
「!?っぶ」
なんで急に見えなく……まずいっ!この位置はッ!
胃!!何も無いのに胃液まで出されたらも──
「けほっけほっ……」
「死ねっ死ねっ!誠也様に逆らった罰だ!!」
「ごっ、ぐぼぉっ!かはぁっ!」
まずい!足が悲鳴を上げ、景色が歪んでいく。これ以上やられたら本当に死ぬ、
こんな所で──
「チッ!」
「はぁ、はぁ……ゴホッゴホッ!ぁあ……」
ふらつく足で教室まで辿り着いた。絶対に屈してたまるか……!!
授業は絶対に受ける。絶対だ。あんなカスに負けない!
授業を耐え抜き、自分の部屋のベッドを見た瞬間、足に力が入らなくなった。
疲れた……目が覚めた──ら白──露に会──
「ん、んんぅ」
自分のベットだった。また今日も地獄が始まる。
メンヘラの圧に耐えながら用意された飯を食い、吐く。
「……」
「っ!知らないっ!」
平手を受け、ふらつく足で駅までなんとか歩き、倒れるように列車の席に座り込む。
周りから肉のいい匂いがする。ファ○チキだ……涎が出てきた。
安全だし、絶対に美味しい。
「ぁあ……」
学校の席にへたり込み、待ち受けを見る。この時間だけは何も考えなくていい。
この時だけは辛い事、苦しい事、全て忘れられる。
『好き♡好き♡会えない時間はずっと君の事考えてる。何してるのかな?とか、今寂しくないかな?とか、辛い思いしてないかな?とか、会いたいなとか……君はどうかな?私のこと考えてるかな?好き……大好き。だいすき!だーいすきっ!!大好きだよ』
会いたい……会って、話して、触れ合いたい……。こんな毎日もう嫌だ。
帰りたい帰りたい。ない!取られた……!どこだっ!
次は1週間後です。




