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第6話「自殺者N・その6」

だが、一つだけおかしな点があった。

遺体は刺されてから服を着ている。

この際、加害者が服を着させる必要がある。

ボタンとその付近に大量に同一の指紋があった。

これは海斗本人のものでなく、これまで出てきた人物のものではなかった。

この指紋は海斗の姉、天音の指紋であった。


取り調べだ。

マジックミラーの前には検察官と天音さんがいる。

天音さんは大学生で周りからの評判もいい。

海斗との衝突もないが、指紋がやはり気になる。

私は死体遺棄が成立するものと見込んでいる。

「君には黙秘権がある。取り調べに対して黙秘できることもあるが、君を見る目は悪くなる」

天音さんは小さくうなずいた。

「海斗君にいじめがあったことは知ってた?」

「はい」


検察官は耳を抑え視線を斜めにしていたのを前に向く。

「弟の死亡時に来ていた服に、ボタンやその周辺に姉であるあなたの指紋が大量にありました。あなたは弟の着替えを手伝っていたのですか?」

「・・・ええ、たまに手伝ってました」

「どんな時にですか?」

「・・・ほんとにたまにです。部活で頑張ったときとか、誕生日とか」

「本人の指紋より濃く残っています。一応伝えますが、あなたは死体遺棄の疑いでここにいます。死体遺棄の刑は最高で懲役三年です。これは十分に社会復帰できます。あなたが協力的なら、一年、いやそれ以上にに短縮できます。あなたには両親がいます。それも一年後ならまだ崩壊もしていないと思います。このままでは、あなたが殺人者、および死体遺棄になる可能性もあります。最低でも五年は刑務所ですが。死体遺棄なら一年の拘禁になります。どうですか?私達の調査ではあなたの弟への殺害はないと思っています」

「えっと、何が言いたいんですか?」

「私達はあなたを死体損壊、死体遺棄の罪で告訴するつもりです。死因が絞首による窒息、その後に切り傷が作られ、制服を着されられ、樹海の中で自殺に見せかけるように放置された。自殺以降に起きたことの理由が不明なんです。なぜそのようなことを起こしたかの動機が不明なんです」

そうだ、今回見つけたのは遊歩道の近く、比較的一般人でも見つかりやすい場所だ。

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