第3話「自殺者N・その3」
石和南高校。
国道20号線を少し外れたこの高校は普通科のほか総合学科、食品化学科、果樹園芸科を設置している。
全校生徒1200名の大型高校だ。
事務所で用務員に伝える。
「大山様に用があるのですが」
「大山教頭ですね。しばらくお待ちください」
少しふくよかな初老の男性はマイクへ向かう。
「大山教頭、事務所で訪問者がお待ちです」
そしてこちらに一礼すると、本来の業務に戻っていった。
しばらくすると、スーツ姿の老女性がやってくる。
白髪と顔のしわには経験の長さがうかがえる。
私は警察手帳を見せる。
「山梨県警の一瀬です」
「大山教頭です。こちらへどうぞ」
大山教頭はそう言って歩き始める。
大山教頭に案内された先には、重厚な扉があった。
校長室だ。
大山教頭はドアを叩いて、ドアを開けた。
「校長先生、警察の方です」
私が中に入ると、校長先生が私に向かって頭を下げた。
そして顔を上げる。
気の優しような、温厚なおじいさんのようだ。
「どうぞ、お座りください」
校長先生が伸ばした手の先には高そうなソファが置いてあった。
私はそこに座る。
「山梨県警、刑事部、樹海探索課の一瀬です」
目の前には校長先生。
大山教頭は部屋を出ていった。
「刑事さん、私の生徒が何か?」
「本日11時ころ、青木ヶ原樹海で一人の男子が首を括った状態で見つかりました」
顔がアップの写真を取り出し、机に置いた。
校長先生は写真を手に取り、まじまじと見つめる。
「男子生徒の制服を着ていて、石和南高校のボタンでした。御校の生徒の名簿と今日の出席、顔写真があればそれを閲覧したい」
「分かりました、しばしお待ちください」
そう言って校長先生は、棚からいくつかファイルを取り出し、机に置いた。
分厚いファイルだ。
「どうぞ」
私はファイルを開く。
「今年の全生徒の名簿と入学時の顔写真です。学年別で乗っています」
パラパラとめくる。
クラス別の名簿、そして顔写真。
「こちら本日の出席確認の表です」
小さいファイルを手渡される。
名簿とチェックリストだ。
「チェックしてあるのが出席で良いですか?」
校長先生は頷いた。
私は調査を進めた。
休みの子が死体の写真と同じかどうか見る。
一人目、違う。
二人目、違う。
三人目、違う。
休みの生徒は少なく、以外にもすぐ見つかった。
2年3組、普通科、中村海斗。
少し成長しているが、とても似ている。




