表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぶち切れ聖女は激マズポーションを置き土産に逃亡する  作者: 嵐華子@【傾国悪女】3/5発売予定
2章~魔国での生活

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
55/58

53.イカレ女には同意するが…~ガルヴァウside

「兄君。ウォルフはこちらで引き取る」


 そう申し出たのは、相変わらずの美丈夫っぷりを発揮するザケルバード。片手でテレスの首根っこを掴み、隣にはとんでもないエルフ系美女を侍らせてる。


 長い銀髪にマゼンダピンクの瞳をした美女は、名をリビアと名乗った。どうやら俺の妹が師匠と仰いでる人物らしい。


「ウォルフ……まさか貴方を浄化できる日がくるなんて」


 リビアは目を潤ませ、気絶しているウォルフを見つめて語りかける。


 自分よりずっと大柄なウォルフをお姫様抱っこして……。


 クリスタルから出たウォルフのフードはめくれてて、隠れていた蛇顔が顕わになってるが、リビアは気にする素振りがない。


 当初はザケルバードがウォルフを抱えようとしたが、リビアがそれを制して現在に至る。


 リビアはザケルバードと俺、そしてザケルバードが本当に言葉そのまま、服の後ろ側(首根っこ)を鷲摑みし、まるで荷物を持っているかのように宙へ浮かしているテレスの存在など目に入ってないんじゃねえか?


 そう思うくらい、リビアは感無量な様子で蛇顔を熱く見つめてる。


 麗人と野獣ってタイトルが浮かびそうな画ずらだ。


「コレは兄君に……いや、そこの連絡鳥の主に任せる」


 ザケルバードはそう言うが早いか、俺が立っている近くの草むらにテレスを放り投げた。


『ああ、手間をかけたね。私としては、君にならその女を殺されても良いのだけれど』


 俺の肩に停まってた隼タイプの連絡鳥が、カリエルの声で喋る。


 草むらの方からはドサッという着地音と同時に、「ぐへっ」とくぐもった声が聞こえたが、気のせいだな、きっと。


 テレスはリビアの魔法で深く眠ってるはずだ。


 両手両足首に着けっぱなしの枷で魔法を封じられたテレスが、魔法による睡魔に抗えるはずねえしな。


「ふん、殺しても殺し足りぬが……そちらの法で観衆の前で裁かれる方が、その女にとって苦痛であろう」

『ふうん……君も記憶があるんだ。確かにそうだろうね。それより……()()()は元気かな』

「ああ。()()()はお前が心配する必要がないほど元気だ」

『ひと目――』

「会いたくないらしいぞ」


 各々、互いの愛称で妹を呼び合った末に、ザケルバードがマウントを取るかのように、隼へと意地悪くニヤリとほくそ笑み、カリエルの言葉を遮る。


『……ううっ……フィー……』


 おいおい、カリエルのやつ、泣き出してねえか?


 思わず肩に停まる隼を流し見るも、連絡鳥である隼に変化は見られない。


「あー……ザケルバードとリビア。来てくれて助かった。俺だけじゃ封緘魔法を解除したり、中にいる奴らを傷つけないようにクリスタルから出すのは至難の業だったからな」


 話題を変えつつ、素直に礼を言う。


 そう。ウォルフとテレスを一見すると卑猥でしかねえ見た目の構図から救い出したのは、ザケルバードとリビアだ。


 クリスタルに閉じ込められたウォルフとテレスを前に、どうする事もできずに途方に暮れて小一時間後。


 リビアを伴ってザケルバードが再び現れた。


 結界外部の人間だけでなく、結界内部の住人を外に出す事にも慎重な様子のザケルバードだったが、どうやらリビアは結界の外に出しても問題なしと判断してるらしい。


 妹が師匠と仰いでるらしいし、信用できる人物なんだろう。


 ここへ到着するなり、卑猥な構図になったクリスタルをひと目見たリビアが……キレた。


 『ウォルフったら……他所の女にそんなところを……そこの貴方、どきなさい』って歯ぎしりしながら俺を押し退け、封緘魔法に干渉して一瞬で解除。


 あの時のリビアの顔……昔、うちの領を訪れた流民の誰かが持ってた、遥か遠い東方の国の巻物って書物に描かれてた【般若】って魔物の顔にそっくりなやべえ顔に、内心びびったのは秘密だ。


 リビアは即座にクリスタルから顔面だけ出してるテレスに向かって『私のウォルフに手をだすなんて……受けてたつわよ、このイカレ女!』と叫びながらグーパンチ。


 イカレ女には同意するが、テレスからしてもこの件に関してだけは自業自得ながらも、さすがに不可抗力的な経緯だったし、マジで殺す勢いの、魔法で身体強化したパンチだったから慌てた。


 幸いザケルバードが、テレスの鼻先に拳が当たる直前にリビアの手首を掴んで止めた。


 だけど何がどうなったのか……多分、拳が風を纏ってたのか? 拳そのものはぎりぎり当たってなかったのに、微細なカマイタチ()でテレスの頬が薄く切れた。


 戦闘能力がそこそこ高い妹の師匠だけはあるなと、こっそり感心したのは秘密だ。


 その後はザケルバードが『クリスタルが弾みで砕けたら、ウォルフも砕けるかもしれないだろう』とかいいながら、クリスタルに干渉して土に戻した。


 クリスタルから解放されたテレスは、先に地面に倒れたウォルフに向かって倒れそうになった。


 だけど憎々しげな眼差しをテレスに向けたザケルバードが、その首根っこを掴んで阻止。


 テレスとザケルバードに大きな接点はなかったはずだ。


 なのにザケルバードがテレスに向けるこの反応。そしてさっきのカリエルとの会話。


 もしかするとザケルバードにも、回帰する前の記憶があるのか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ