マイストーリー
亡くなった宏樹が自分の兄弟だと知った亜子。そして雅矢との別れ。様々な体験が押し寄せてきました。それでも雅矢との楽しかたった日を思い返し前向きな亜子。けれどついに別れる日を迎えます。雅矢が神社に帰る日、亜子は精一杯の愛情表現をしました。それに答え雅矢も亜子を受け入れました。そして千年に一度の大きなゼロ磁場を受けて雅矢はいなくなりました。
雅矢と、どうにもならないことは、わたしも分かってる。 けどまだ雅矢に、すがりつこうとするわたしがいる。まだ雅矢に心揺れている。
「ナミちゃんのお兄ちゃんは、どうして雅矢が見えるの?」
少しでも雅矢とつながりたい気持ちが残っているから、つい口に出た。
「ぼくは霊感が強いんだ。だから学校でも見えないものまで見えて、友達に言ってしまうんだよ。それで、みんなからキモいって。そしたら雅矢と出会ったんだよ」
雅矢はナミちゃんのお兄ちゃんが、言うことを黙って聞いてくれたらしい。そして優しく、ゆっくり心に張り付いた闇を取り除いてくれたとわたしに教えてくれた。
「ぼく将来、霊媒師になってあの世とこの世の架け橋になりたいんだ」
「それで通信制の高校受験するんだね」
「うん」
最初に出会った時に比べナミちゃんのお兄ちゃんは生き生きしてるように見えた。
この話しを月夜のどこかで、雅矢が見守りながら聞いてくれている気にさえなる。
わたしは家に帰ると、ゆっくり寝床についた。
「おかえり」
おばあちゃんが布団の中で待っていてくれた。
「起きてたの?」
「亜子ちゃんと今夜は一緒に寝たくてね。待ってたのよ」
おばあちゃんの顔が笑顔だ。
「おばあちゃんゼロ磁場が、今年くること知ってた」
「これでも、おばあちゃんは社会の先生よ」
「そうだった」
おばあちゃんはゼロ磁場は磁石がクルクルと回り続けることや、千年に一度磁場のエネルギーが爆発することで様々なものに影響がある。だからその年に神社を今までの部分改修ではなく、新たに建て替えることで災いを防ぐと教えてくれた。
「おばあちゃん雅矢のこと知ってたの?」
「えーえ、随分前から知ってたわよ。だって新たなこの地域の神様だもの。しかもあの子は誰かをずっと探してたのよ」
「探してた?」
「それがやっと分かったわ。亜子ちゃんだったのね」
「どうしてわたし?」
「それは分からないわね」
どうしてわたしだったのだろうか。こんなどこにでもいる、しかも東京に住んでるわたしが選ばれたのだろう。でもその答えの真相はもう聞けない。ただ不思議な巡り合わせだと思うしかない。
「きっと亜子ちゃんを待ってたのよ」
おばあちゃんが想像を膨らませた。なんだか恥ずかしいし照れる。話題を変えよう。
「おばあちゃん、ピアノ上手なのに、どうして地理の先生なったの?」
「あはははっ、ピアノは弾かされるものじゃなくて弾くものよ」
まさしくそうだ。おばあちゃんの気持ちが分かる。
そしておばあちゃんが過去を語り始めた。
「わたしの祖父は探検隊だったのよ。その祖父は、このアルプス山岳で亡くなったのよ」
今だ死体は発見されてなく、行方不明のままになってるらしい。
おばあちゃんは様々な地理を覚えて両親を助けたいと決めたらしい。そして気がつくと地理の先生になってたと教えてくれた。おばあちゃんは、お父さんを亡くしから霊感が強くなったらしい。
今だにお父さんが背中にくっついていると冗談で言ってきた。
「おばあちゃんは、わたしを店番させて雅矢と?」
おばあちゃんは笑うだけだ。
「心配しなくても大丈夫よ。いつもみんな亜子ちゃんの味方、一人じゃないわよ」
おばあちゃんの笑う顔が無邪気だ。ほんとにもうすぐ死を迎える人に見えない。可愛い笑顔だ。
「わたしも中秋の名月の頃、あの世に行くわ」
おばあちゃんは自分が死ぬ日が分かっているのだ。
「そんなこと言わないで悲しくなるから」
「亜子ちゃんは、以前に比べ強くなってるから」
雅矢と同じことを言ってる。いったい、わたしのなにが、変わったのだろうかと思ってしまう。
「さぁ、もう寝ましょう」
「うん」
わたしは今日一日、いや長野にきてからの出来事は夢を見てるようだ。
早朝、強い日差しが、まぶたを閉じるわたしの眼球まで届く明るさだった。その明るさで目が覚めた。
おばあちゃんはまだ寝ているようだ。
「パパと離婚して来月、長野に帰るから、亜子はパパかママかどちらからに決めてね」
頭の中でクルクル回る言葉だ。以前から、その話しは聞いていた。だけどまさか長野でこんな話しを聞くとは。宏樹の件が決定的で急転直下で話しが進んだ。
でも急に言われても親都合だ。それでもわたしは東京か長野か決めなければならない。わたしの心は行ったりきたりするだけだ。
今の精神状態で冷静に判断できるだろうか。
わたしは、早朝に雅矢が祀ってある神社に向かった。
今回も閲覧していただきありがとうございます。
雅矢がいなくなった亜子。それでも頑張って前を向いて歩こうします。
いよいよ次回でフィナーレを迎えます。今後亜子は東京かそれとも長野を選ぶのか?
亜子の歩く道を見守ってくださいね。




