表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/20

頬をくすぐる軌跡風は奇跡色

 雅矢と別れた亜子。家に着くとおばあちゃんが布団で待っていてくれた。おばあちゃんに雅矢のことも含め色々布団の中で話しをした。その内容は、おばあちゃんの本心の声だとわかった。そしてナミちゃんのお兄ちゃんも亜子に自分の闇や雅矢との関係を話してくれた。そしてママが離婚することになり長野に戻ると伝えた。亜子は長野か東京の選択をママから伝えられた。

 雅矢やのことを考えて手を合わせた。どうして好きになったんだろうと神殿に心を問う。答えはわたしって大馬鹿野郎と胸に浮かんだ五文字だ。そうわたしは大馬鹿野郎だ。あれから毎日ここにきて雅矢と会話した。自分なりにキモいし呆れる。

 長野にきて、不思議な体験が重なり、忘れていたなにかを気づかせてくれた。長野は空気が澄んで美味しい。その空気の中での水。そしてその水がまたあらゆるものを育ておいしくさせる。わたしも同じだ。いつも勝手にあーだこーだと結論ばかり気にしてきた。

 これからは広い心で、自分を見渡し、前向きな気持ちを全身に送る。するときっと発想や考え方が育つ。

(雅矢、色々ありがとう。わたしは東京に帰ることにしたから)もう一度朝焼けの時間に手を合わせ報告した。

 もう朝晩は、すっかり長野は初秋だ。わたしは最後にピアノを常連客に弾くことも雅矢に伝えた。

 時刻が正午のサイレンを防災無線で流した。わたしは革命、カノン、そしてザローズの思い出深い三曲を弾いた。

「亜子ねえ、東京に帰っちゃうの?」

 ナミちゃんがきてくれた。その後ろには、お兄ちゃんも一緒だ。ほんとに仲のいい兄弟だ。

「これから東京に帰るよ」

「もう会えないの?」

 ナミちゃんがうつむいてしまった。

「なんで長野に残らなかったの? てっきり長野に残ると思ってた。雅矢もいるし、毎日神社に行ってたから」

 さすがナミちゃんのお兄ちゃんはわたしをお見通しだ。

「わたしは東京で、もう一度色々挑戦してみたいのよ」

 それ以上ナミちゃんのお兄ちゃんは、わたしの決めたことに、なにも言わない。

 ママもわたしが東京で暮らすと言ったら驚いていた。パパと暮らすと二人ともゆるーい生活を想像したからだ。    でも陰ながら応援し協力してくれると泣きながら抱きしめてくれた。雅矢と違うけど、こんなに深く愛情を注いでくれていたことに気づいた。(やっぱりわたしは、うとい性格だ)

 おばあちゃんは、多分わたしと雅矢を会わせたいから長野に呼んで店番をやらせたのだろう。そのおばあちゃんとも、もうすぐお別れだ。おばあちゃんもぎゅっと抱きしめてくれた。病におかされた体で、わたしの背中を何回もさすりながら、なにか小声でしゃべり、おまじないをしてくれた。

「わたしが亜子ちゃんをずっと見守ってますからね」

「ありがとうおばあちゃん。わたし頑張るね」

「おばあちゃんも最後まで頑張るからね」

 ほんとわたしは幸せ者だ。みんなから幸せを分け与えられてる。

「亜子ちゃん。東京に帰っちゃうだ。寂しくなるね」    げんさんが声をかけてくれる。その横には、子犬を飼ってもらい抱っこするみどりさんもいる。

「亜子ちゃん色々ありがとうね。わたしもピアノ練習するんだ」

 今度はリナちゃんだ。その屈託のない笑顔がリナちゃんには、よく似合う。

「わたしも亜子ねえに負けないくらいピアノ練習するんだ」

 ナミちゃんもリナちゃんに刺激されてるようだ。

 げんきやに常連客が見送りにきてくれた。

 たったひと夏の関係だったのに、家族のようで温かい人ばかりだ。

「亜子長野駅まででよかったのね」

 ママは東京まで送ると言ってくれたけど、わたしが断った。

「みんなーー、ありがとうねぇーー」

 わたしは助手席から上体を出し手を振った。みんなも車が小さくなるまで手を振り続けてくれた。

 なんだが別れが辛い。

 そして最後に、もう一度神社に寄った。ママは不思議がった。神社に着くとママには車で待ってもらった。

 わたしはスマホを取り出した。

「波留?」

 わたしは波留を許すことにした。色々あったけど、やっぱ一番の親友だ。

「東京に帰ったら、また会おうね」

「亜子。うん! 東京で待ってるね」

 歩きながら波留としゃべっていると雅矢のいる場所についた。

 わたしは鈴をならし手を合わせた。そして雅矢が祀られている神鏡を見つめた。(雅矢またきちゃった。でもこれが本当に最後だよ)わたしは雅矢と会話した。そして左手首のミサンガに触れた。その瞬間、賽銭箱の上に吊るされたしめ縄の紙垂がゆれ、わたしの前髪だけが突如揺れた。

 雅矢に頭を撫でられたようだ。(雅矢ーー、楽しかったよ。バイバイ!)

 わたしは笑いながら大きな声で手を振った。

「ねぇーーなにかぁ(最後に)ーー言ってよ‥‥」

 もう前髪は揺れなかった。

「素敵な思い出ありがとうね雅矢!」


                    完




 人は誰でも奇跡を起こせます。それは自分が気づかないだけです。目の前をチャンスは常に行き来してます。そのチャンスをうまく組み合わせれば小さな奇跡は起きます。まずは小さな奇跡を起こしましょう。

そして行動力や人との出会いなどで、素敵な奇跡が皆様に起きますように!

 今まで閲覧していただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ