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心芽

 宏樹の葬儀に向かうため亜子は、東京に戻った。そして波留から妊娠したことを知らされた。相手は宏樹だった。その理由は亜子への嫉妬だった。波留は宏樹が好きだった。その嫉妬から波留が宏樹を自殺に追い込んだと伝えた。親友の波留に裏切られた亜子はショックを受けた。そして亜子は東京から逃げるように長野に帰った。

 体育座りで山の展望台に、わたしは、じっとしてる。なにもやる気がおきないからだ。

 長野に帰ってきた理由は、東京に居場所がないような気がしたからだ。

 わたしは波留に守られここまできた。でもその信頼していた波留に裏切られ、そして宏樹までいなくなった。今、わたしは無防備な状態だ。

 涙が枯れるくらいここで泣いた。

 けど不思議に、まだ涙が残っている。汗と涙が口元に塩っぱい味覚の感覚を残した。それでもこんな状態でも意識が、わたしにあるのだ。

 ここまで追い込まれるとパニック症候群なども起きない。究極の精神状態なのかもしれない。絶望感だけが重くわたしを染めていく。切り裂かれ傷心した心身には、未来などと言う言葉など想像つかない。

 それでもわずかながら山並みから、吹く山風の香りが、癒そうとしてくれる。これが人工的な世界で育ったわたしでも、受け入れてくれる自然の雄大さなのか。わたしは自然に身を置いて我が身をまかせた。

 五感が鋭く反応する気分だ。自然はどんな状況でも日々淡々と月日を刻み繰り返しすことだけを教えてくれる。わたしのこんな状態でも、また平穏な日々が戻ってくるだろうか。ゆっくり立ちあがろとする気持ちにさせてくれる。

 わたしは今すぐにでも死にたい。けど死ぬ度胸がない。

 でもこれから生きても一歩進み三歩退がる生きかただ。

 ましてやこれからひとりぼっちで生きる。そんな生きかたに自信もない。

 山風が強く吹き始めると頭の中で、波留と何年も過ごした日々が勝手に回想された。何度も静止しようとしたが、リピートを続けた。(もうやめてーー)わたしは目を閉じて何度もつぶやいた。

 回想する波留がわたしを励まし背中を押してくれる。そんな波留は、もう存在しない。でも頭の中は優しく包んでくれるような波留のシーンばかりだ。(お願いだから、もうやめて!)その場に座り込み、耳をふさぎ何度も自分にいい聞かせた。(誰か••••••助けて)何度も払拭できないわたしは、誰もいないこの場所から助けを求めた。

「亜子!」

 誰かがわたしを呼んだ。

「ひっ宏樹••••••」

「どうしたんだよ?」

 目の前に宏樹が立って笑っていた。

「亜子はひとりぼっちじゃないよ。おれがいるじゃん!」

 宏樹のまぶしい笑顔は、今のわたしには飢えたポジティブだけを与えてくれた。

「さぁ、こっちにおいでよ。一緒にディズニーランド行こうよ」

 宏樹の後ろに、わたしはついて歩いた。でも宏樹に追いつけない。だからわたしの歩く速度も徐々に速くなった。

「待って、宏樹!」

 その声で宏樹は立ち止まり、振り返った。宏樹は笑顔でうなずき両手を広げ、わたしを待っていた。

 わたしは宏樹の胸に吸い込まれるように駆け寄った瞬間だった。

「いったらダメだ」

 わたしは背後から両手で抱きしめられ止められた。

「••••••雅矢」

 雅矢は必死に、わたしを止めた。

「わたしは宏樹に、ついて行くの。離してよ」

「いったらダメだ!」

 必死に、抵抗したが雅矢は握った両手を離さなかった。

「離してよ。雅矢って、わたしにとってなんなの?」

 わたしは抵抗しながら唐突に、雅矢に聞いた。

「一緒に花火を見にいく、大切な人だよ」

「••••••」

「亜子、なにしてる早くおいでよ」

 わたしは宏樹を見つめると宏樹は空中に浮いた。

「もう宏樹は死んだんだーー!」

 声をはりあげた雅矢の声が山並みに響き渡った。

「宏樹は死んだ。宏樹は死んだ」

 わたしはその場に、しゃがみ込み何度も声にした。上空を見上げると宏樹の姿は消えていた。

 わたしは、ふと我に返った。もう数十センチで展望台の落下防止用フェンスから飛び越える寸前だった。下を見下ろすと崖だ。わたしは、もし飛び越えたら死んでいた。

「助かって、よかった」

 力の入った雅矢が両腕の力を抜いた。

「宏樹は?」

「あれは幻覚だよ」

「わたし幻覚を見てたの?」

 雅矢はうなずいた。

「もしや心の病?」

「違う。亜子は見えないものが見えるんだよ」

「それって••••••」

 もしやそれはTikTokの何で視覚に映ったらシリーズだ。

「どうして急に?」

「この磁場が吹き出すエネルギーを吸収したんだよ」

「それって千年に一度の?」

「丁度、このタイミングでエネルギーが爆発したんだ。それを眠っていた亜子の体内が科学反応して覚醒されたんだよ」

「雅矢って何者なの?」

 雅矢は黙り込んだ。


 今回も閲覧していただきありがとうございます。

亜子は宏樹の死で、波留に裏切られたことを知り心身とも崩壊する。そして生死を彷徨う亜子を雅矢が助けた。そして雅矢から亜子は自然界から偶然、千年に一度の磁場パワーを吸収したと告げられた。自分でも気付かない潜在意識が、動き出す。そして雅矢とは何者なのか。

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