第2章 まかれた媚薬
波留が東京に帰って寂しい思いをした時、雅矢がふと現れた。雅矢に盆踊り祭りと花火大会を誘ったらオッケーしてくれた。
珍しく波留からLINE電話だ。今朝は霧が出て辺りが見えない朝早くだ。
「もしもし」
「亜子ーー」
「どうしたの?」
「••••••」
いつもならシャキシャキしてる波留から返答がない。
「どうしたの波留? こんな時間に」
「宏樹が••••••死んだ」
「えっ?」
「昨日夜遅くに自殺した」
わたしは耳を疑った。
宏樹が死・ん・だ。しかも自殺。信じられない死んだなんて••••••うそでしょ。
「ごめんね。朝早くから」
長年一緒にいるが、今まで聞いたことない落ち込んだ波留の声だ。
宏樹に、なにがあったのだろう。
波留のLINE電話を切ると、宏樹からLINEが届いていたことに気づいた。
『ありがとう』『好きだった』
短い文章が連続で届いていた。
昨日の昼頃にメールが届いていた。
宏樹がわたしを好きだったとは信じられない。
『好きだった』過去形になった時には、もう死ぬ覚悟を決めた時だ。その頃わたしは雅矢と一緒にいる時だ。わたしの頭は真っ白になった。
「ただいま。どうしたの亜子」
「ママ、宏樹が死んだ」
「えっ! 宏樹くん病気かなにかで?」
「自殺。波留から連絡がきたの」
ママの顔が険しくなった。その後方からおばあちゃんが笑顔で入ってきた。なんとも対照的だ。
「ただいま亜子ちゃん」
「おばあちゃん」
わたしはおばあちゃんのに顔を見た途端涙が出た。
「どうしたの? 」
「友達が死んじゃった」
突然の訃報に、わたしは戸惑うばかりだ。
「今日は久しぶりに店番をおばあちゃんがするから。亜子ちゃんゆっくりしなさい」
「おばあちゃん店番できるの?」
「できるわよ」
『好きだった』その五文字が宏樹から届いただ最後の言葉だ。そんな宏樹にわたしは、なにもしてない。
あんなに明るく振る舞っていた宏樹が悩んで、この世去るなんて信じられない。
「東京に帰らないといけんじゃない」
「••••••おばあちゃん」
「わたし宏樹にディズニーランド誘われていたの」
「そうなん」
「うん。でも返事をしなかった迷ってて」
「そうだったの」
わたしはおばあちゃんに『好きだった』の宏樹から 届いたLINEも伝えた。
「亜子ちゃんは好きだったの?」
「宏樹といると安心した」
「でも好きにまで••••••」
おばあちゃんは鋭い。わたしは思い切って雅矢の話しをしてみた。
「あんまり、その子は見かけたことないね」
「そうなの」
わたしは雅矢から聞いた磁場の話しをおばあちゃんに聞いた。
「よくそんな話し若い人が知ってるわね。しかも今年は千年に一度の大きな力を蓄えているの、それで神社の建て替えもしたのよ」
その後もおばあちゃんが色々話してくれた。さすが元中学社会の先生だ。でも似たことを雅矢も言ってた。おばあちゃんも知らない雅矢は何者だ。
「おばあちゃん死んじゃうの?」
「知ってたのね」
おばあちゃんは笑顔だった。
「死ぬこと怖くないの?」
「もう充分生きたわよ」
「まだ七十なのに?」
「年齢は関係ないわよ。どう生きたかよ」
おばあちゃんは、そのまま店番に行ってしまった。
わたしは雅矢に会いたい。でもわたしは雅矢のことを知らない。唯一、盆の時に花火を見に行く約束をしてるだけだ。
「ここにいたんだ」
「うん。なんだかここにくるとホッとする」
「この展望台連れてきてよかった」
「雅矢!」
「どうしたの? なんだかいつもと違うね」
「ううん」
ぎゅっと背中を雅矢が抱きしめてきた。さっきまで考えていた全てが真っ白になる。
雅矢がそばにいると、どうしてこんなに安心するのだろう。
「雅矢••••••」
気持ちを整理して聞きたいことを整理するが、なにから話していいか分からない。
「どうした?」
急に雲ゆきが変わり太陽が隠れ、どす黒い雨雲が上空を覆った。
「どうした?」
雅矢が何度も聞いてきた。わたしは得意のもじもじするばかりだ。雨が降り出すと雨粒は徐々に強くなった。なにか言ようとすると自分の中で制御される。
「あの••••••」
緊張が頂点に達しそうだ。息が苦しい。
雨は強くなるばかりだ。
「ひとまず帰ろう」
上空から雨が強くなばかりだ。雅矢に手を握られた瞬間、わたしは朝からの精神的疲労とパニック症候群で意識がもうろうとする。
「亜子さん大丈夫?」
雅矢の声が小さくなっていく。
今回も閲覧していただきありがとうございます。
宏樹の死は亜子にとって今後どのように変化するだろうか。また雅矢と距離は縮まっていくが、亜子はどうなっていくのだろうか?




