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ニセモノのユメ
全ては偽りだった。
私がそこにいたことも、貴方がそこにいたことも。
それは確かに傷跡を残したけれど。だけど全て幻影に過ぎなかった。
なくなったものもすぐに誰かが埋めて、世界は廻る。
棄てられた苦痛の道具たちも、己の存在意義を果たすため、必死になって、すぐに忘れるだろう。
だから。
全てはただの幻想。ひとときの夢だった。誰かにとっては悪夢。でも、誰かにとっては幸せだったかもしれないユメ。
私はその小さな欠片に過ぎなかった。
でも、それでも私は世界の一部になっていた。
私こそがセカイだったと、自信を持って言えた。
それは傲慢かもしれないけれど。
でも。
私は。
もう、何も聞こえない。
当然だ。全て、貴女のモノだったのだから。
私には何も残されていない。
ただの残滓。すぐに消える、泡沫の欠片。
もう、時間すらも残されていない。瞬く間に消えてしまう。
それでいい。
本来、いないのだから。
私は偽りだった。ただの空虚な影だった。
けれど。
そこにいた私は、確かに本物だった。
私に笑ってくれた。怒ってくれた。泣いてくれた。
確かにそこに存在していた。
だから。
もうこれでおしまい。
夢は覚めるものだ。
――さようなら。




