朽ち果て棄てられても
「片腕ないってやっぱり不便だねぇー?」
そんな呑気なことを言いながら、高い廃墟の建物の上に座って夜の崩れた街を見下ろす。
しかし、決して真っ暗な街ではない。今度は空を仰ぐ。
「今日はいい月だねぇー?」
満月に近いが、ほんの少しだけ欠けた月。これから満ちるのか、それとも欠けていくのか。誰に語り掛けるでもなく、独りごちる。
独り言ちたつもりだった。
「確かに、今夜は月が綺麗ですね!!」
気づいたら、隣になんか居た。
「もしかしてソレ、意味わかってて言ってるのかなぁー?」
「もちろんですよ!こんな簡単な文章、流石にわかりますよ!!月、確かに綺麗ですもんね!」
「ちなみに、あんた、暗喩って知ってるぅー?」
「……あ、あんよ?」
「それは違う」
「じゃあ、暗夜?」
「少し惜しく感じてしまうのがなんだか悔しい」
そんな馬鹿なことをしながらも、なかなかそれは楽しいものだ。ふと、月を見て思い出す。
「そういえば、大体一か月くらいなのかねぇー?もしくは二か月?」
「そうなんですか?」
「さあ?ただ、あの時見た月に似てたからさぁー?」
「そうでしたっけ?」
特に意識していたわけでもないが、そうだった気がする。だから大体一か月、もしくは二か月だ。
「ていうかさぁー」
「何でしょう!?」
ビシッと背筋を伸ばして、彼女がこちらを真っ直ぐに見る。
「なんでここにいるの?今更だけどぉー?」
「それはですね!」
「あー、やっぱいいやぁー、どうせ勘とか運命とかだろうからぁー」
「全く言う通りでござ……」
彼女の言葉を最後まで聞き遂げず、あたしはその建物から飛び降りた。
「危な……」
上から何か言っているのが聞こえてくるが、そんなものはどこ吹く風だ。
「おっとっと……」
着地したのは、先程よりは低い別の建物の上。バランスを崩して、危うく普通に転落しそうになる。ある程度頑丈とはいえ、体勢を崩した状態で落ちればあっけなく死ぬ。流石にそれは格好悪い。
あたしがここまで下りてきたのは、人影が見えたからだ。何日ぶりかの人影。流石にそろそろ体が鈍ってしまいそうだ。
そんな毎日も、今日で終わり。
「ふはひゃはひははは♪」
嗤いがこぼれる。
人影は、うずくまって何かしている。腹でも痛いのだろうか。
そんなことは関係ない。そんなことは殺せばわかる。
だから。
「おやおやぁー?あれあれぇー?なぁにしているのかなぁー?」
とりあえず声をかけた。
人影が顔を上げる。月明りに照らされ見えたその人影の顔は。
「……あれ?」
小さく声を上げてしまう。
黒い髪、黒いワンピース。血に濡れた手足。そして、すべてを飲み込むかのような、静謐で真っ黒な眼。
その姿は。
「……貴女は誰?」
彼女が口を開く。
いや、違う。別人だ。そもそもあの子は死んだ。消えた。
そうだ。
だから。
「まあ、なんでもいいよねぇー。殺すね」
「……そう。じゃあ、私も、貴女を殺す」
見覚えのある剣を取り出す。それでも別人だ。けれど。彼女は確かに。その容姿も、口調も、雰囲気も。
似ているけど別人だ。
だからこそ。
あたしの口から、笑みがこぼれた。
――朽ち果て棄てられても、あたしたちはここにいる。
いやー、欠きました描きました書きました。適当に趣味ぶっぱで良く書けたもんだと驚いて言葉も出ないですねHAHAHA!まあそんなことはさておき、あまりになろう受けしないし、タイトルもパッとしない内容も人を選ぶようなコレを最後まで読む人がいるかは非常に謎いですけどいらっしゃったらそれはとっても喜ばしいことです本当にありがとうございます嬉しすぎて死ねます。逆に最後から読むという奇特なあなたは……たぶん気が合いますね。
そんなことはさておき、一応続きを書こうとは思ったのですけど、いい感じにタイトル回収してしまったんで、書きづらい……ので!たぶん書くとしたら別タイトルで同じ世界観、主人公は…多分あの子かなぁてな感じで載せることになりますかね。わかりませんけど。たぶんきっと恐らく絶対。確約はできない。全てはやる気とインスピとアイデアの御心のままに。
さて、今回なかなか血生臭いもの書いたから、流石にそろそろ綺麗なお話書きたいなー(脈絡なく話を変える。だって気分のままに書いたからね!)
後、悔やむことがあるとすれば、出てきた道具がたったの4、5種類程度ってことなんですよね!他にも能力とか性格設定等々考えた処刑具拷問具があるのになぁ…それらもいつか出したいですよね!想定外のこととしては思ったよりギロチンがメインになって感情豊かな子になってしまった。サイコパスメインヒロイン枠だったのに。




