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カノジョのユメ

 もう、そこはふわふわとした、そんな曖昧なところではなくなっていた。

 もう、そこがどこなのか、私には完全にわかってしまった。

 もう、ほとんどわかっている。

 ここがどこなのかも、誰なのかも、何なのかも。

 全てが。

「殺せッ!殺せッ!」

 そんなことは、とうにわかっている。でも、やっぱりわからない。

 この光景は。この原風景は。けれど、何もかも見覚えがない。

 ただひたすらに、力強く、ただ一つの存在意義が、私に叩きつけられる。されど、それは私ではない。

「殺せッ!殺せッ!」

 うるさいな。

 以前にここを見た時、私はとても心地よく感じた。それは今でも変わらない。

 とても。とても。

 でも、なぜだか。


 そこにあるのは誰かのユメ。誰かの欠片。

 そこにあるのは私の過去。私の願い。

 私には何もわからないけれど。私にはすべてを理解する必要があった。

 理由なんてない。

 強いていうなら。

 それが私の願いだった。

 でも。

 全て忘れた。

 全て忘れていた。

 いや、違う。

 そもそも、そんなもの、ありはしなかった。

 私は伽藍洞。

 ただ、他者の皮を被っただけの偽り。

 そこにある死も、苦痛も、嘆きも。

 私を満たす、血も、痛みも、孤独も。

 全て、何もかもが。


 そんなものは、どこにもなかった。

 それらはただの、誰かの過去だった。


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