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オボロげなユメ
そこは、数えきれないほどの死と、数多もの苦痛と、幾多もの嘆きと、そしてたった一つの己の存在意義だけが支配する場所だった。
いくつもの叫びが聞こえる。
私にたった一つの言葉をかける。
「――ッ!――ッ!」
それが何と言っているのかは、よくわからない。曖昧な、けれど強烈な感情が私に叩きつけられる。
それに従い、私は何かをしなければならない。でも、何をすればいいのかがわからない。
それはなんだったのか。たった一つ、私に残されていたモノのはずなのに。
「――ッ!――ッ!」
それは、いつかに見た夢の記憶。
壇上で消費される私の存在意義。
だから、その時私は幸せだった。
そして、きっと今も。
けれど、今は。
消費された存在意義は、何処に消えて。求めていたものは、誰かが奪って。
それでも私は何かにすがって。
何も残されていないから。
伽藍洞の、自分を引きずって。
そして私は幸せの皮を被るのだろう。
血と痛みと孤独に溺れながら。




