緋色の眼を持つ少年第二十七話
初さんは、ニコリともせず。
『和美…お前は我が家が、呪詛を、生業としている事は理解出来たか?』
『そりゃ…目の前で呪詛だの…呪い殺すだの、まず普段耳にすることが無い
物騒な言葉が飛び交えば、いくら僕でも理解せざるを得ない。
それは…理解した…としても…
まだまだ僕の理解の及ばない事が幾つかある。』
『何が理解出来ない。』
『まず…あの靖子さんの背後から吹き出す、美しくも、近寄りがたい光は何?
透さんと交わした…
既に堕ちている。…
の意味って何?…』
『そうか…やはりお前にも見えたか?
あの光は、念じゃ…
それも…恨みから引き出される…怨念じゃ』
『怨念…』
『そうじゃ怨念じゃ
あれを見て美しいと口にしたのは、透とお前だけじゃ…才能というのかのう』としみじみ呟き…
『怨念を抱えたまま、意識が全てを占め…死を迎えると怨霊になる。
とは、以前にも話したろう?』
『うん…それが…初さんの様に怨念の元を成就してさ迷うのは聞いたよ。』
『では…生きながらにしてその怨念が意識の全てを占めたとしらならば…』
僕はゴクリ…と唾を飲み…『占めるとしたならば…』と、初さんに尋ねた。
『生きながらにして意識を怨念が占めたならば…
生き霊となる。』
《生き霊!!》
『生き霊となった靖子さんは、どうなるの?』
『どうもこうも無い、あの女の生き霊は、相手の女に絡み付く様に…
取り憑く…』
『取り憑くって!?』
『そうじゃ…相手の女が破滅するまで、取り憑く、相手を破滅させるまで取り憑く代償として…
あの清水とやらの女も破滅を迎える。
いいか?和美…人間はな?六道と言うものを輪廻しながら生きておる。
地獄界…餓鬼界…畜生界…修羅界…人界…天界…
この六界を絶えず、輪廻しながら人間は生きておる。
しかし…地獄、餓鬼、畜生、修羅のいずれかに留まり続ける事を堕ちると言う…
あの清水とやらの女は修羅界に堕ちておる。』
僕は言い知れぬ不安にかられ…
『清水さんはどうなるの?』
『人を呪わば穴二つ…
我が身を削りながら…
生き霊となり…
やがて…あの女も破滅する。
じゃから…透は覚悟はあるか?
と、聞いたのじゃ…
まあ…透が呪詛なぞせんでも、あの女はいずれ、相手の女を呪い殺す。』
『なのにお金をとるの?』
『ああ…金は貰う、貰った上で…
呪詛はせんだろうな?』
『透さんは、そんな人じゃない!!』
『和美…お前が透の何を知っておる。
普段の温厚な姿も透だが…
こと…
冷酷にかけては、永井代々の中でも飛び抜けて冷酷だ。』
僕はその言葉に、頭を何かに打ち付けた様なショックを受けた。




