表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
緋色の眼を持つ少年  作者: カモメ
26/59

緋色の眼を持つ少年第二十六話


『いいですか?

たとえ、相手の家を破滅させても…

たとえ…相手を殺しても…福島陽子さんと生活を共にしている。拓美さんにも災いが降りかかるのです。


貴女が…福島陽子さんを

呪い殺したと、ご主人に告げない限り…

ご主人は、陽子さんと、その三人の子供を全力で護るはずです。


決して…

貴女の行動には理解を示さないはずです。』


『でも…私はあのメス豚が許せないのです。

あんなメス豚なんか…


死んでしまえば…

いつかは…拓美は私の元へ帰ってくるはずです。』


透さんは無機質に…

『結果のいかんを問わず…

福島陽子さんを呪詛すれば良いのですね?』


『覚悟は出来てます。

ただ…あのメス豚が幸せに暮らしていくのが許せないのです。』


『わかりました。

では…

福島陽子さんを呪詛しましょう。』


僕は…

透さんが呪詛をする。呪いをかける。

その言葉よりも、靖子さんが

『死んでしまえば良いのに』

と、口にした辺りから…


靖子さんの背後から、青とも紫ともつかない光が吹き出していることに、心を奪われていた。


それは…美しくもあり…

近寄りがたい光でもあった。

透さんにもこの光は見えているのか?

一体この光は何なのか?

僕には解らなかった。


『では…お代は如何程でしょうか?』


『お代の話は、姉の浩子と相談して下さい。

では…私はこれで…』と、透さんはソファーを立った。

僕もそれにつられる様に立ち上がり…


浩子さんと、入れ替わる様に、透さんの後を追って、居間へと入った。


居間には初さんが困った様な顔をして待っていた。


透さんはレギュラーコーヒーを淹れに台所へと、向かう。

マグカップを手にして居間に入ってきた透さんに向かい。


『あの女…既に堕ちているのか?』と、初さんは尋ねた。

透さんは湯気の出るマグカップに口を付けて

『ああ…彼女は既に堕ちている。』と、口にした。


僕には不可解な事ばかりだ…

透さんの口から呪詛の言葉を聞いただけでも、驚愕なのに、既に靖子さんが堕ちている?


一体堕ちるとはなんなんだ?

重い…沈黙が…続く…

やけに、長く感じる。


そして…応接室で、靖子さんの

『解りました。』の声が聞こえる。

どうやら、金額の交渉が終わったみたいだ。


靖子さんの背後に見える不思議な光は幾分収まっていた。

その靖子さんを、浩子さんと共に玄関で見送り…

僕らは居間にまた、入った。


テーブルの上にマグカップを置き、無表情に、真っ白な髪を手櫛でかきあげる透さん…


それを少し不機嫌そうに見詰める初さん…


《うちの家業を語るならば、依頼人に会ってからで無いと、理解は難しいだろうな》

と、初さんは言った。


家業が呪い屋と言うのは、何となく理解した。


大人しく温厚な透さんが、呪詛を行うなんて信じられない。


その時…

透さんが…

『着替えて来る』と居間を出た。


浩子さんは何か、手が空かないようだ。


僕と、初さんだけが、居間に取り残された。


聞きたい…初さんならば、知っているはずだ。

僕は思い切って…


『初さん…一体どうなってるの?』

と切り出した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ