緋色の眼を持つ少年第二十五話
まるで、縛り付けられた様に身動きが取れなくなるほどに…
僕の体は凍りつき…
いきなり、核心に触れてきた靖子さんを、凝視していた。
そんな僕を気にも止めずに…
靖子さんは、身を乗り出したままだ…
その靖子さんを、穏やかな微笑みを浮かべ…
『まあ…落ち着いて下さい。
貴女のお話しを直接伺い…どうするか?
どの様な手段を取るかを決めるため…
今日、お越しを願ったわけです。
どうか…ソファーに、お座り下さい。
和美…早くお茶をお出ししなさい。』
その言葉に僕の呪縛は解けて、居間へのドアを開けて中に入ると浩子さんがお茶を淹れていた。
その隣では、何かを言いたそうな初さんが立っていた。
初さんは何かを言いたそうだったが、何も言わす…
浩子さんも無言でお茶を盆に乗せて、僕へ手渡し…
僕は応接室に入った。
靖子さんは漸く落ち着きを取り戻した様で、ポツリ…ポツリと口を開き始めたようだった。
お茶を出し…
透さんの隣に腰掛けた僕を静かに靖子さんの話を聞きながら、視線で構わないよ、と許可をくれた。
靖子さんは…
『私の主人は清水拓美と言います。
職業は運転手をしております。
運転手と言っても、長距離等ではなく…
コンビニ等にルート配送をしております。
センターでカーゴに詰められた荷物を時間通りに各店舗へ納めています。
そこで…拓美は…あの女…
メス豚の福島陽子と、であったのです。』
それから…暫くうつむき…唇を噛み締めた靖子さんは、確りとこちらを見据える様に…
私は最初の妊娠で流産してしまい。
流産してしまい。
流産癖が着いてしまい。
中々子供を授かりません。
拓美は大変子供を欲しがりそこへ…
あの、メス豚…福島陽子がつけこんだのです。
福島陽子はセンターでパートで働き
三人の子供と暮らして居ました。
子供好きの拓美をたらしこみ…
ことあるごとに、拓美を家に誘い込んだのです。
そして…
拓美はあのメス豚にたらしこまれ…
私の元へと帰って来なくなったのです。『
『事情は良くわかりました。
ところで…清水さん…
貴女は、その福島陽子さんを、どうしたいのですか?』
『勿論!!呪って欲しくてコチラに参りました。』
『そうではなく…
どうしたいのですか?と尋ねています。
ただ…相手の体調を崩すだけなのか?
それとも…破滅させたいのか?
はたまた…
殺したいのか?
と…尋ねているのです。』
その言葉に僕も靖子さんも息を飲む。
そんなことを、お構いなしに…
『いいですか?
呪いをかける以上、福島陽子さんの周りにも被害は及ぶのです。
それは、呪いの被害により…
比例するものなのです。
覚悟はおありですか?』
『どの様な事が起きるのでしょう。』
『例えば…相手を衰弱させる呪いを掛けます。
当然相手は、ノイローゼ状態になります。
その結果、一家心中を引き起こす事もあり得ると言うことです。』
『私は拓美がうちに帰ってくれば…』
『それは無理な相談です。』と無下に靖子さんの希望を透さんは打ち砕いた。




