緋色の眼を持つ少年第二十二話
透さんは振り返り、僕の姿を確認すると、また初さんへと向き直した。
初さんは
『和美…犬は家に入れてくれるな…
オレが、この家を自由に動け無くなる。』
『うん…解った…
でもあんな生まれたばかりの子犬でも駄目なの?』
その疑問を引き取る様に透さんが答える。
『犬や狐はな、狐狗狸と言ってな…
霊力が高いんだ。特に犬は人類が樹の上の生活から地上に降りた時…
人間と暮らすようになった。
それほどに強い霊力を持ちながらも、狐や狸の様に人は化かさない…
それは人間との結び付きの強さにある。
災厄は、玄関から入って来る。
だから…普通犬は玄関脇に繋いで飼うもんなんだ。
うちは、初さんが居るから門の所で飼ってるがな。
例え、生まれたばかりと言えど、破魔の使命を持って生まれたチョコには、
やはり初さんでも苦手意識があるのだろう。』
僕は納得がいったような?いかない様な不思議な気分で初さんを見た。
初さんは、軽く頷き…
僕はそれを汲み取りはしたが…
『じゃあ…
トイプードルなんかの座敷犬なんかも駄目なの?』
『座敷犬は、自分の事を人間だと思ってるから破魔の力は無いよ。』
『そうなの?』
『吠えはするがな…
あれは自分の縄張りを主張してるだけだ。
あまりに飼い慣らされた犬は、人間と最初の頃の本分を果たせない。』
『ふぅ~ん、そうなの?』
『あくまでも距離感が大事なんだ。
でも…お前は犬に対してタップリと愛情を掛けてやるべきだ。』
その透さんの言葉に…
初さんが
『やはり…お前は…
この呪われし永井の業を、お前の代で終わらすつもりなのか?』
初さんの問い掛けに、軽く頷き
『最初からそのつもりだし…
僕が施設からこの永井の家に引き取られて来たとき
初さんが言ったんじゃない…
オレを、縛り付ける業からと解き放ち終わらせるのは…
透…お前かも知れんって
さ…』
と、初さんに答えた。




