緋色の眼を持つ少年第十四話
もう少しで聞き流しそうになったが…
今、透さん…僕が人外の者を連れてきた。
と、言った…
人外の者…
人にあらざる者…
初さんの様に…
この世に未練を残し…
その、未練を成就させるため…
現世を、さ迷う怨霊を僕が玄関迄…
連れてきた。
その口振りは、まるで…
美由紀さんの事の様にサラリと話すから…
聞き流してしまうところだった。
そんな迷いを見透かす様に透さんは、軽く微笑みながら、僕を見つめている。
僕が思案を廻らして居る間にも、浩子さんは僕が部屋に入って来る前の話に戻っていた。
『初さんの事はもう良いわ!…
透…どうなの?今度の依頼を受けるの?
受けないの?』
透さんが浩子さんをたしなめる様に…
『姉さん…和美の前で家業の話は、しないでくれって…
言ってるじゃないか?』
すかさず…切り返すように
『でも…初さんの姿が見えて…
話まで出来るのよ和美は…
永井の本業を知っておく必要が有るわ…』
『姉さん…
いくら和美が…僕の様に才能があろうとも…
家業は継がせない。
家業は僕の代で終わりだ。
和美には、普通の農家としての…
人生を送って欲しい。
そして…
永井の家を継ぎ…
嫁を貰い…
業にさいなやまされる事の無い人生を送って欲しいんだ。』
それを聞いた浩子さんは黙りこむ。
しかし…浩子さんの横から、助け船を出すように、初さんが…
『しかし…和美が、知らずに家を継げば、和美は必ず苦悩する…
家を継がせるならば…
折りをみて教えてやるのも家長の役目と言うものじゃ』
その言葉に透さんは納得したようだったが…
やはり、浩子さんの耳には届かなかった。




