緋色の眼を持つ少年第十二話
女の子の声に驚き背後を振り返ると、まるで市松人形の様に綺麗なオベベと、綺麗な帯を胸元の高さに締めた…
オカッパと言うか?
どちらかと言えば禿に近い…稚児の姿をした…
無表情な女の子が立っていた。
恐る恐る…
『君は誰?』と尋ねた。
当然だろう…
襖も開けずに、僕の背後に立てる…
僕より前にこの部屋に隠れて居たのか?
若しくは人外のモノノケの類いか?
問いたださなければ落ち着かない。
そんな僕の様子を他所に…
彼女は表情も変えず…
『案ずる事はない…
俺はこの家の者だ…』
『えっ!!この家の人?
僕はこの家に引き取られて一ヶ月位になるけど…
君を見かけた事ないし…』
『当然じゃ!
オレは、この家には住んで居らん…
浩子はオレが見えんし…
言葉も聞こえん。
オレが見えるのは…
透位の者だ…
お前は、その左目でオレを見ることが出来るのじゃろう…
オレの声が聞こえるのは…お前の才能じゃろうな?』
『えっ!!えっ!!…
じゃあ君は…物の化や、幽霊の類いなの?』
『それは少し違うな…
物の化とは…人が作り出した自然現象に名と形を与えた者で…
たわいも無い者じゃが…
幽霊等はこの世に存在なんぞせん』
『えっ!!…幽霊は居ないの?』
居るはずが無かろう…
仏教では…死者の魂は直ぐ様転生する。
ならば…
神道ならば…神や精霊になるじゃろう…
現世には幽霊なぞ…
入り込む隙間は無いのだ。』
少しの沈黙の後…
稚児姿の彼女は…
『ならば…今…こうしてお前の前に居る…
オレは何なんだ?
と、言うことになる。
お前が連れてきた得体の知れないあ奴もオレも…
怨霊だ…』
『怨霊?』
『そうじゃ、怨霊じゃ…
人は息が絶える時はとても…苦しい。
その苦しみの中でも意識の中が…全てを占めると、人は魂が転生しても念が残る…
これを怨念と言う…
この転生も出来ず、生前に意識を占めておったわだかまりを、成し遂げるまで、さ迷い続けるのが…
怨霊じゃ!!
じゃが怨霊は…生前に意識を占めておった事を成就すれば…
全くの無害じゃ。
お前の連れてきた、あの得体の知れない奴は
まだ…
成就出来ておらん怨霊じゃ…
努々…侮るでは無いぞ…
お前の緋色の眼の力に引き寄せられたのかも知れんからのう』
『僕の左目の能力って?』
『そんなに焦らんでも良かろう。
急ぎ伝えねばならぬ事は伝えた。
これからもちょくちょく遊びに来るからな…
その時に話せば良い
ところで…
小僧、名前は何と言う…』
『和美…』
『そうか?
では和美、オレの名は初…
この永井の呪われし家業の始まりだ…』
とユックリと襖を開け、
居間の方へ歩いて行った。




