20話 初めての外(3)
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驚く程簡単な手続きを得て冒険者の身分を得た私とエル。
ただし、依頼を受けるといっても独占契約といった感じではないようだ。つまり私たちが盗賊討伐を狙っていても、別の誰かが盗賊を退治すれば自動的に私たちの依頼は破棄される事になる。早い物勝ちだ。
因みに依頼の完了をどうやって判断するのかと言うと……貰ったカードが判断してくれるらしい。この石細工のカード自体が魔道具のようで、貰ったあとエルが熱心に裏返したりして、観察していた。
嬉しそうなエルには悪いが無料で、しかも簡単に発行してくれた事から価値は高くない魔道具なのだろうと判断せざるえない。
機嫌の良いエルに水を差す事もないので言わないが。
「んで? どーする?」
満足した様子のエルは、カードを仕舞いながら笑顔を真面目な顔に変えた。全然誤魔化せてはいないけれど。やっぱりエルは魔道具その物が好きなんだろうな。それが趣味なのか実用性からくるものかは判断し辛いが。
「うん。私に考えがある」
「……それ、やめろって」
「……ゴメン。まぁ考えがあるのはホントだから」
(このセリフがあんまりいい感じに聞こえないのは確かだけれど!)
エルがカードを眺めている間、ギルド職員に話を聞いておいた。因みにあの態度のよろしくない中年女性がギルド職員である。
「一先ず付いてきて」
エルと共に村の中を歩く。広い村ではないので直ぐに目的の場所は見つかった。
扉を叩いて、少々。中年も終盤と言った――初老に差し掛かった男性が顔を見せ、私達を見ると厳つい顔を顰めた。
「なんだ? アンタら?」
渋い顔のエルも頭に? が浮かんでいる。
「狩人のジーモさんですよね?」
「あぁ……」
「突然失礼します。盗賊退治の為に――私達に狩人の技術を教えてくれませんか?」
「え? なんで?」
疑問は隣のエルから。それは目の前の人も同じだったのだろう、エルの言葉に同意した様に頷いた。
「当然……生きる為だわ」
言いながら、依頼書を思い出す。そこそこよれていて、新しくはない物だった。それなりに時間が経過しているのだろう。国境は通行券があれば通れるので、あの道を通りたいのは訳アリが多い筈。しかしこの紙の状態から未だに依頼を達成した冒険者はいない。だから自分たちで解決しなければ通れるのはいつになるのか分からない。ならば少しここで準備を整え、自分たちの戦力を底上げした方がいいと判断したのだ。
ジーモの自宅の傍、切り株に座り事情を話す。
「なるほどな……あの盗賊団を倒す為にか……」
私は彼に盗賊を倒す為、と説明した。森に詳しい人に技術を教わった上で、策を練る。相手は森の中に陣取っていて、当然襲撃者に対しての備えがあるだろう。そして同時に今後必要であろう、サバイバル技術の獲得も兼ねている。
「確かにあの盗賊団には迷惑している。あの森から隣国に物を卸す事もしていたんだが……すっかり最近はダメになっちまってたからな」
白い色が混じる顎髭を撫でながらジーモは厳めしい顔を更に厳めしく歪ませて悩む様に唸る。
「この国は色々規制が厳しいからな……。ここはそんな抜け道の1つだった。正直に言おう。お嬢さんらに倒せるのかね? あの盗賊が。何か凄い魔道具でも持っているのか?」
「魔道具だよりではなく実力で解決してみせます。こう見えてもそこそこ戦いには慣れてきたので」
少し生意気に聞こえるかも知れないが、自信を持って答える。こういう場面ではハッタリも必要だろう。
私の言葉に疑いの混じった視線ではあるものの、ジーモは静かに頷いた。
「確かに……その腰に下げたハンマーなどを見れば分かる。その歳で結構な戦いを経験しているのだろう。……悪いがワシに教えられるのは狩人の技術だけだ。それでもいいかね?」
「もちろん! よろしくお願いします」
私が頭を下げると、エルもそれに倣って頭を下げる。
こうして私達は狩人の見習いになるのだった。
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