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鉄槌の優等生~勉強だけの人生だった彼女は自由に生きる事を決意する~  作者: 鳳翔雨月


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18話 初めての外(1)

お読みいただきありがとうございます!


再び区切りの話まで更新再開します。よろしくお願いします。

「あー……」

 御者台に立ったエルは望遠鏡を覗き込み、何度目なのか分からない気の抜けた声と発した。

「また?」

「あぁ……」

 うんざりした声のエルに私も投げやりに答えるしかない。

 ルルミナス国の首都を出て数日。幸いにも追手は来なかったが、大きな問題が立ち上がっていた。

 その問題とはルルミナス国は現在複数の国と戦争状態にある事。それ故に街道の至るところで検問や要塞があって、その度に引き返す事を繰り返していた。

 追手は来ないのではなく、国境の検問で待ち構えていればいいから現れないのかもしれない。そんな考えもあって大きな都市や町に入るのは、余計なリスクを取らない為にも避けていた。

 そのため、検問所などに不用意に近づく事も出来ずに国から出られずルルミナス国内をウロウロしているという状況だった。

 1番気になったのは遠くの相手に状況を伝えられる方法があるかと言う事。携帯に準じた物があれば確定で待ち構えられている筈である。私と同じ世界の異邦人が居るのなら当然あるのだろうと思って、エルに聞いたところ——

『遠くの相手と? 無理だろ。そんな魔道具があるのかも知れないけど……ワタシは知らない』

 異邦人が多く召喚されるのに、そんな事があるのかなと不思議に思ったが、そんな手段がないと思われていれば、対策を考える事すらしない。異邦人から携帯の様な話を聞いて、そのような魔道具を作っていたとしても一般には周知されてないのかも知れない。国の重要な秘密という事だろうか。

 私達はルルミナス国の首都で大暴れしたが、国総出で追いかける程ではない……と思う。ルルミナス国は複数の国と戦争状態だし……。

 だから今すぐ軍隊が追いかけてくることはないと判断した。けれど安全を取り、都市などは避けて進んでいる。

「いっそ馬車を捨ててワタシたちだけなら国の外に出られるかも……」

「折角の拠点だし、惜しい……」

「だよなぁ……ワタシの荷物も捨てたくないし……」

 拝借した馬車だが移動拠点として愛着が湧き、捨てるには惜しくなっていた。そんな理由もあってなんとか抜け道を探してさ迷う日々である。

 街道の外れ、川の近くでキャンプをしているのだが結構楽しい。とエルに言うと微妙な顔をされた。

「こんな野宿何が楽しんだが……」

 

 二人で焚火に目を向けながら今後を考える。

 横髪を手で撫でながら出来る限りの案を出すけれど、妙案はない。

「検問とか戦場とか避けながら、ダラダラと進んでるけど……いずれ持ってきた物資も尽きるぞ。金になりそうな物も換金できないと意味ないし」

 エルの視線が荷車にいく。私も視線を向け、次に引いてくれている馬に目を向けた。穏やかな馬たちで、今は水辺で水を飲んでいた。

「この辺の地理は分からないのよね?」

「ワタシもあの首都から出たこと、ないからな」

 頼りの現地人も首を横に振った。ルルミナス国と言うのは自国民が外に出るには結構な許可がいるらしい。

(闇が深いな……)

 なんにせよ、既に首都の外だ。今更どうでもいい。

「街道を外れて山の中を行くしかないかな。辺鄙な場所なら兵の配置も薄いんじゃないか」

 自身の曖昧な推理に自信がないのか空中に視線をさ迷わせながら曖昧な言葉尻で腕を組むエル。

「山賊とか出ない?」

「ううん……」

 この世界は私の住んでいた元の世界の様に法律が守ってくれる訳じゃない。自分の身は自分で守らなくてはならない。

「町の中みたいに、戦う相手を絞る事も出来ないし……困ったわ」

 あの国でチンピラたち相手に立ち回ったように、狭い路地などであれば大人数でも実質戦う相手を制限する事ができる。けれど平地や山の中じゃ、遮蔽物もなく簡単に弓や魔道具の魔法の的になってしまうだろう。

「「はぁ……」」

 二人してため息を吐く。

「あ、焼けたぞ」

「!」

 話ながらも焼いている魚から目を離していなかったエルが木の枝で焚火をつつきながら言うと、私は素早く魚を取った。

「ん……塩だけなんだけど……おいしい」

 キャンプを経験した事のない私には新鮮なのだが、エルはお気にめさないらしい。

 魚を食べながら覚悟を決める。

「馬車が通れる道を探して、山間部を抜けよう。ただし……最大限、警戒と偵察をしながら」

 無表情で焼き魚を食べていたエルも頷く。

「それしかないか……わかったよ。澄がリーダーだし」

「いつリーダーになったのよ……」

 私が眉根を寄せるとエルが悪戯っぽい笑みを浮かべた。

「お前がワタシを無理やり連れてきたんだろ? だったらお前がリーダーだ」

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

次回は明日【19:20】に更新予定です。


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