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生命魔法使いに転生したので、聖者の皮を被って気ままに生きようと思います  作者: aramakid
冒険者編

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第113話 秘宝級

 食事を終え、地上階にある錬成の祭壇にやってきた。


 黒とも銀ともつかない不思議な金属で編まれた台座に、ライルのバスタードソードと写し身の魔石を一つ乗せる。


「エレナが先にやってみますか?」


「私で大丈夫かな?」


「エレナの魔力なら問題ありませんよ」


 僕の言葉に背中を押され、エレナは意を決したように祭壇の前へ立った。

 台座の前に据えられた球体へ手を添える。


「……くっ」


 球体がエレナの魔力を吸い上げ、そのまま祭壇へと流し込んでいく。


 それに合わせて、祭壇の表面を覆う紋様が脈動するように明滅を繰り返し、その光は次第に強さを増していく。


 そして、光があふれた。


「はぁ……はぁ……。どう?」


 エレナが息を整えながら台座を見つめる。


 光が収まると、そこには白銀の鞘に収まった一振りの剣が横たわっていた。


 ライルが剣を手に取り、ゆっくりと抜き放つ。


 鏡のように周囲を映し込む美しい刀身が姿を現した。


 何度か軽く振ったライルが首を傾げる。


「振りやすいな。でも前より細身だ。威力は落ちてないか?」


 その瞬間だった。


 刀身が水面に広がる波紋のように揺らぎ、一瞬で元のバスタードソードの形へと変化する。


「うお!なんだこれ!?」


 ライルが驚き、危うく剣を取り落としかけた。

 

 僕はすかさず『鑑定』を発動した。


【名 称】変幻刃・ミスティルテイン

【等 級】秘宝

【効 能】写し身の力を宿した剣。その形状を自在に変えることができる。


「どうやら、好きな形状へ自由に変化させられる剣のようですね」


 鑑定結果を伝えると、ライルの顔がぱっと明るくなる。


「見た目だけじゃないな」


 ライルはそう言うと、剣先を見つめながら意識を向ける。


 すると、刀身は音もなく細く伸び、鋭い刺剣へと姿を変えた。


「軽い……重さが刺剣のそれになってる」


 手首を返すように何度か突きを繰り出したライルは、今度は大きく横へ薙ぐ。


 その動きに合わせるように刀身が幅を増し、瞬く間に両手持ちの大剣へと変化した。


「おおっ!」


 勢い余って床に叩きつけそうになり、慌てて踏みとどまる。


「重さまで変わるんですね」


 僕は思わず感心する。


「みたいだな。形だけじゃねぇ。ちゃんとそれぞれの武器の使い心地になってる」


 ライルは刺剣から大剣、曲刀と次々に形を変え、そのたびに満足そうにうなずいた。


「こいつは使いこなし甲斐があるぜ」


「ねぇねぇ。次はリサのもやってよ!」


 リサは腰に装備していた八本の投げ斧ごと革のホルダーを外し、台座へ載せる。


 僕は写し身の魔石を添え、魔力を流し込んだ。


 勢いよく吸い上げられた魔力がまばゆい光となって弾ける。


 光が消えたあとに残っていたのは、半透明の投げ斧が収められた革製のホルダーだった。


 すぐに『鑑定』する。


【名 称】オクト・パラシュ

【等 級】秘宝

【効 能】写し身の力を宿した八本組の投げ斧。放たれた斧は一定時間後に魔力へ還元され、同時に複製が手元へ補充される。


「投げても自動で補充されるみたいですね」


「やってみる!」


 リサはホルダーを装着すると、両手に斧を構え、一息に投げ放つ。


 床へ突き刺さった二本の斧は、透けるように薄れてそのまま消えた。


 同時に、ホルダーには消えたはずの二本が音もなく補充される。


「おおっ!便利!」


 リサは目を輝かせると、ホルダーから次々と投げ斧を抜き放つ。


 硬い音を立て、斧が次々と床へ突き刺さる。


 だが、数秒も経たないうちに一本、また一本と透けるように輪郭を失い、そのまま空気に溶けるように消えていく。


 それと同時に、空になっていたホルダーへ半透明の斧が補充された。


「すごい! 本当に全部戻ってきた!」


 リサは嬉しそうにホルダーを撫でる。


「補充されるまで少し時間差がありますね」


 僕は消えた斧と戻ってきた斧を見比べながら口を開く。


「投げ続ければ隙はできますが、普通に使う分には気にならない程度でしょう」


「これなら回収を気にしなくていいね!」


 リサは満面の笑みを浮かべる。


「投げ放題じゃねぇか」


 ライルが苦笑すると、リサは得意げに胸を張った。


「えへへ。明日はいっぱい活躍しちゃうからね!」


「さっそく明日から潜ろうぜ」


 ライルが剣を振りながら言う。


「明日からは何層に潜るの?」


 新しい装備を試していたリサが振り返る。


「不測の事態で六十層を突破したとはいえ、まだ進むには位階が足りないでしょう」


「じゃあ――」


「ええ、五十九層で位階を上げましょう」


「よし!俺の魔剣の力を見せてやるぜ!」


 ライルが剣を高々と掲げる。


「相手の写し身もその魔剣を持って出てくるわよ」


 エレナの一言に、ライルはぴたりと動きを止めた。


「……あ」


 一瞬だけ固まったものの、すぐに口元を吊り上げる。


「望むところだ。相手は強いほど燃えるからな!」


 ライルらしい言葉に、思わず口元が緩む。


 新しい装備を手に入れ、皆の士気は目に見えて上がっていた。


 装備の性能は確かに重要だ。

 だが、高い士気は時として実力以上の力を引き出してくれる。


 これなら、五十九層での位階上げも順調に進められるだろう。




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