一章 目的を失った英雄
バルトはベッドに寝転びながら考えていた。
「これから、何を生き甲斐に生きていけばいいんだろうか……今はやることがあるからいいが……」
リリンとの一戦を終え、賢者モードに入っているせいももちろんあるが……正直サキュバスとの対戦は思い描いた程のものではなかったのだ。
勝手に想像を膨らまし過ぎていた自分が悪いのだが、前の世界で体験した行為とそんなに大差はなかったのだ。
確かにサキュバスならではの良さは色々体験出来たが、想像を越えるようなものではなく……人生をかけるには正直値しない。
「正直…、通いつめる程のレベルじゃないですよねぇ……まぁ、そんなアホな事言ってる状況じゃないんですけど……」
「散々楽しんでおいて、ずいぶんな言いようじゃな」
リリンがお風呂からバスタオル姿で出てくると、バルトの横に座った。
「いや、めちゃくちゃ良かったですよ!?本当に感謝してもしきれない位に!ただ……なんと言うか……意外に普通だったと言いますか……」
「はぁ……本当にバカだね。これはわしの魔力を兄ちゃんに分けて回復を早めるためのプレイじゃぞ?サキュバスの本領を発揮してどうするんじゃ……絞り切るのを目的としてる時の1/100程度の内容じゃ」
リリンは溜息をつきながら、首を横に振った。
「なん……だと……じゃあオレが体験したのは……遊びのレベルですらないと……でも言うのか……?」
「そのとおり……こんなレベルでわしらを語ってもらっては困るわ。回復が終わった、最終日本気を見せてやるから覚悟しておくと良い」
「リリン……俺の仲間の無事は分かってたりするのか?」
「あれ、意外に反応が薄いね……兄ちゃんの仲間は全て軽症で各自兄ちゃんと合流出来る様に備えてるよ。身内からの情報だから間違いない」
「母さんは……大丈夫だろうし、シトリー達も魔界にいる分には大丈夫だろう……なら……リリン、回復を無理をしてでも明日までに終わらせてくれ」
「仲間の安否が分かったのに、ずいぶん急ぐじゃないか。さては、何か考えがあるんだね?」
バルトは真っすぐな目でリリンに応える。
「俺一人で……魔王を叩く。魔界に来て分かったが……俺は魔界での魔力や技術はドラシナと同等のレベルだ」
「分け与える量が異常に多いから、なんとなくは分かっていたが……そこまでだったかい。仲間を巻き込みたくないんだね……」
リリンは優しく笑って、バルトのバルトを指で弾く。
「兄ちゃんのここが、保てばいいけどね。今日の夜から明日の朝まで寝ないでするけど、覚悟はいいかい?」
「望むところだ」
バルトはニヤリと笑うとリリンは、食事の用意をしてくると部屋から出ていった。
「リリン、流石に俺を見くびったか……」
もちろん仲間の安全は大事だが、それはあくまで理由の一つだ。
最大の理由は……さっさと平和にして異世界の夜の店に行きたいから。
サキュバスの遊びのレベルが、前世で体験した高級店レベルだった事を考えると、本気は想像さえ出来ないレベルだろう……
命をかけるには、十分過ぎる理由だった。
「……皆、悪い……魔王を殺してから探しに行く」
バルトは魔王を最短で殺し、一日も早くエロい事が安心して出来る日を取り戻す事を固く決意した。
次の日の朝、バルトは身支度を整えていた。
「わしが言うのもなんじゃが……兄ちゃん、いや……バルトは本当に化物じゃな……あれだけシて、休憩なしで出発は流石に驚きを隠せんわ……
魔力を渡して、体も回復させてはいるが、ヤる体力は別の話なんじゃぞ?」
リリンがベッドの中から、疲れた顔でバルトを見ながら呟いた。
「あと10回位なら全然大丈夫ですけどね?」
「バルト、もし仕事がなくなったらこの国でそっちの店でも開いたらいいぞ……多分今の100倍は稼げると思うわい……」
それもありか……バルトのやる気が更にあがり、今なら魔王でも瞬殺できそうな気までしてきた。
「とりあえず出発しますね。リリン、帰ってきたら本気で戦いましょう」
「流石にわしも不安を覚えるレベルなんじゃが……」
バルトは格好良くリリンに握手を求めていたので、握手をするが……リリンはバルトのバルトが元気な事に気付いた。
「仕方ない……時間がないからさっさと済ませるぞ……」
バルトは最後までバルトらしく、サキュバスの国を後にした。




