一部完結 回想
バルトはサキュバスの国を出てすぐ、一人の男に会った。
痩せこけた顔に長く伸び切った髪の毛。
服はボロボロでもはやもとは何を着ていたのか分からないほどだった。
その男はバルトを見ると、ニヤリと笑う。
次の瞬間にはバルトは絶命していた。
正確には短剣の一度だけ即死するのを回避する効果で一度は生還したが、すぐにまた殺された。
体に2度も大穴を開けられたのだ。
「嘘だろ……」
薄れゆく意識の中、バルトは男の顔が何故か気になり見つめ続ける。
「え……俺……?」
その男は紛れもなく自分自身だった。
男はニヤニヤと笑いながら、少しずつバルトに近づく。
「よう、出来損ない……お前と違って、俺は魔界で最強になれたぞ?魔王とか勝手に呼ぶ馬鹿もいるぐらいにな……
ここにきて、魔力や少しまともな魔法を使える様になった位で勘違いすんなよ?
俺は今からお前の全てを壊す。お前には最後まで見届けさせたかったが……ムカつくから死んどけ」
そう言ってバルトの顔を思い切り蹴り飛ばすと、頭が身体からねじり切れ、バルトの意識もそこで消えた。
くそ……一体なんだったんだ……
俺がもう一人いて……しかも自分自身に殺された。
せっかく楽しく異世界転生して、仲間も出来て、念願のサキュバスとも……
人生これからだって言うのに……
暗闇の中バルトは意識だけ残っていた。
恐らくこれが死後の世界なんだろう。
暗闇の中だが暖かく、居心地が良かった。
これからどうなるか分からないが、何故か安心するし、ずっとここにいたい位だ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
どこからか、耳障りな音が聞こえる。
せっかくの空間を邪魔するような雑音。
しかも次第に大きくなっていく。
〜〜〜〜〜ですよ〜〜〜〜〜ださい
不快感が更に増していく。
誰かこの耳障りな音を消してくれ。
〜〜〜後少し!〜〜〜〜頑張って下さい〜〜〜〜
うるさい!頼むから黙ってくれ!
次の瞬間、バルトはいきなり眩しい光に晒された。
眩しい……一体何が起きたんだ?
バルトは辺りを確認しようとしたが、ボヤけて周りから見えなかった。
「元気な男の子ですよ!お母さん!君も、泣かずに生まれるなんて……流石竜騎士の子だね」
「良かった……バルトもよく頑張ったわね」
聞き覚えのある声に、バルトの心臓は跳ね上がる。聞き間違えるはずがない、母さんの声だ。
2回目と言うこともあり、バルトはすぐさま理解する。
俺は2度目の転生をした。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
一旦一部としてはここまでとなっております。二部の開始はなるべく早くしたいですが、平行して描いていた新作の方が先に出ると思います。
ここまで長くお付き合いして頂きありがとうございます。
またお会い出来る日を楽しみにしてます。




