閑話 ドラシナとの日々と知らない卒業式
記憶を無くした俺は、ドラシナに勧められるがままドラシナと一緒に暮らし始めた。
ドラシナは毎日俺につきっきりで、身の回りの世話をしてくれていたのもあり、俺はすぐにドラシナに懐いたのを覚えている。
「バルトの記憶が戻らないのは、恐らく魔界にいるからじゃないか?多分現世界に戻れば、記憶も戻ると思うよ」
「そうなの?でもドラシナといるの楽しいし、今のままでもいいな」
「バルト……今のあと100回言ってもらって良い?鼓膜に焼き付けるから」
他愛もない会話をしながら、毎日が楽しくて仕方なかった。
「へー、バルトは全属性使えるんだね。しかも魔界での魔力量は私以上ときたか……これは今のうちに唾をつけとくか……」
「そうなの?よく分からないけど魔法の練習は楽しいから好きだな。ドラシナはもっと好きだけど!」
「やば……バルトが可愛すぎてまじで頭おかしくなる……」
「あはは、ドラシナは大げさだな。ドラシナみたいに綺麗な人なら皆好きになるにきまってるよ」
「落ち着け自分……本当に落ち着け……まだ早い……まだ早い……」
笑わない日はなかったし、永遠に続くと疑わなかった。
しかし、終わりは突然やってくる。
ドラシナが急に少し出掛けると言い残し、3日後に帰ってきたある日……
ドラシナは帰ってくるなり、家の地下室に僕を連れて行った。
「バルト、色々不幸が重なってね……このままじゃもうすぐ死んでしまうんだ……」
「え……い、いきなり冗談いわないでよ!全然面白くないよ」
「冗談なら良かったんだけどさ……本当はゆっくり説明したかったんだけど、時間がないんだ」
ドラシナの肌は徐々に黒ずんでいき、明るく振る舞ってはいるが事態が深刻な事はバルトも分かっていた。
「私の残りの魔力で、現世界まで繋がる空間を展開する。バルト……寂しいけれど……」
そこからは魔界に来て思い出した記憶の通りだ。
俺は現世界に戻り、全てを忘れて生活していた。
戻った時に、魔界の影響のせいでそれまでの記憶が殆ど消えていてた。両親にめちゃくちゃ怒られた後に、抱きしめられた記憶が最初の記憶になった。
そこからは挫折し、諦め、冒険者になる道を選び、今に至る。
「はぁ……俺……魔法めちゃくちゃ使えたし、上手だったわ……」
リリンが部屋を出て、一人になったバルトはベッドに横になりながら記憶を整理していた。
恐らく初級魔法しか使えなくなったのは、魔界に来たことが原因だろう。
「これからどうしたもんか……ドラシナはもちろん助けたいけど龍疫病の治し方なんて分からないし、クリス達や、シトリー達とも合流しないと……でも体は動かせないし……」
体の調子も悪い上に、問題も多すぎて目が回りそうだ……
考えても何も解決しそうにない……ならば、こんな時は……
「とりあえずシこ……ん?」
バルトは下半身の違和感に気づく。
金玉が妙に軽いのだ。
「おかしい……腰が妙に軽いし、なぜかスッキリした感覚がある……」
バルトには嫌な予感がした。サキュバスの国にいて、この感じは本当にヤバい。
バルトの額から滝の様な汗が流れ出す。
「そんな汗をかいて、どうかしたかい?」
「うわっ!リ、リリン!脅かすなよ」
幼女の様な姿に戻っているリリンがバルトを急に覗き込んできた。
「兄ちゃんが勝手に驚いただけじゃろ、何をそんなに焦ってるんじゃ?」
バルトはリリンを見つめ、深呼吸をして覚悟を決める。
「リリン……下半身が軽い……何かしたか?」
「ヤッただけじゃが?」
バルトは一瞬フリーズしたが、自分を叩き起こし質問を続ける。
「嘘だよね?」
「マジじゃ、魔力が枯渇しかけておったからわしのを分けた。繋がって分けるのが早いし、効率が良いしな。
この姿じゃしづらいから、成長させた姿でな」
そう言ってリリンがくるりと回ると、Theサキュバスな金髪の美女に変身した。
「緊急事態じゃったし、兄ちゃんの夢も叶ったし、一石二鳥じゃな!」
リリンはバルトの肩を叩く。
「記憶がねぇぇぇぇ!別にリリンとヤる、それはいいよ!?でも覚えてないなら、意味ねぇだろ!何年楽しみにしてたと思ってんだよ!15年だぞ!?
ふざけんな!もう一回体験させろ!サキュバスの国に来たからには、俺は絶対にヤるからな!」
バルトの思いが爆発して、バルトは泣きながら叫びだした。
「体験も何も、回復を早めるのに今からヤるぞ?早く服を脱ぐんじゃ」
「え?」
リリンは怪しく笑いながら、バルトをベッドに押し倒した。




