六章 断罪
「ベルゼは死んだのか?」
バルトは城へ駆け足で移動しながら、シトリーに問いかける。
「普通はそうなんだけど……ベルゼ位になると間違いなくとは言えないかも。どちらにせよ、すぐには現れないと思う」
「そうか……厄介そうな奴らだな……」
ベルゼの余裕そうな表情から……おそらくは死んでない……
バルトは魔界のレベルの高さを改めて感じ、アズリエル王女に対しての警戒を強める事にした。
城につき、急いで中に入るとノクターナルの人間さえおらず、静まり返っていた。
「シトリー……みんなの魔力反応は変わらず無しか?」
「うん……もっと気になるのは魔力を使った痕跡さえ何も感じられない。この空間だけ魔力が全く無かった様な……」
「……魔力がない?バルトはん!今すぐここから出ないと不味い事になります!」
ダフネは慌てて、シトリーとダフネの手を引いて城の外に連れ出すと、空を見上げる。
空には全体を覆い尽くすの魔法陣が展開され、少しずつ光を増していた。
「嘘やろ……こんなん防ぎようがないわ……」
ダフネは腰を抜かした様に尻もちをつく。バルトを握っている手が激しく震えていることから、相当不味い状況に置かれている事がバルトに伝わった。
「ダフネ、何が起きてるんだ?」
バルトは強くダフネの手を握り返し、少しでも落ちつくように冷静に尋ねる。
「て、天界の魔法で唯一、禁忌とされた魔法があって……名前は『断罪』。対処の人物の存在から消し去る魔法で……恐らくは現世界全体にかけられてると思う……」
「嘘だろ……?」
バルトはあまりの事態の大きさに言葉を失い、シトリーも悔しそうに空を眺めながら、拳を握りしめる事しか出来なかった。
「それがさ、断罪もどきになっちゃったみたいなの!消失までは流石に難しかったみたいな?みんなどっかに飛ばされたのかな?」
バルト達の後ろから声がして振り返ると、金髪の長い髪をした黒いワンピースの女が立っていた。
端正な顔立ちに、猫の様な大きな目。バルトは見ているだけで吸い込まれそうだった。
「アズリエル、お前の仕業か?」
「あら?何で私の名前を知ってるのかな?あ!もしかして……君がバルト君?」
アズリエルは不思議そうに、バルトを見つめると急に何か思い出したようにパンッ!と手を叩いた。
「城の中で実験した時に、みんな『バルト君がいなくて良かったー』って騒いでたよ!
結局、断罪は失敗したから……もしかしたらまた会えるんじゃない?
うん、うん!良かったね」
そう言って、アズリエルは一人で納得したように頷くと、バルト達に手を振った。
「それにしても、みんな何処に消えたんだろ?……何が起きてるか、私にも分からないや!
また断罪を使う魔力をまた貯めきった時……次は人間も、それに賛同してるクズ達も……ちゃんと殺してあげる!じゃあ……バイバイ!」
アズリエルが話し終えると、魔法陣は更に赤く光だし地震の様な地鳴りが聞こえ始めた。
「バルト……僕達、魔界に戻れなくなってるみたい……もし生きてたら、次会えるまではお別れかも……」
シトリーとダフネの方を見ると、二人とも悲しそうに笑っていた。
シトリーとダフネは一度影響のない魔界に戻り、断罪を受けて俺が生きていたら、すぐにそばに来て助けになりたかったのだろう。
「こんな時に……みんな……自分の心配しろよ」
バルトは小さく呟くと、自分の顔を思い切り殴った。辺りが白い光に包まれ出し、バルトは大声で叫ぶ。
「全知無能!」
素早く短剣を抜き、アズリエルに切りかかるが、軽くあしらわれ踏みつけられた。
物理攻撃が効かないはずのバルトは驚き、アズリエルを見ると、厭らしい顔で笑っている。
「さっきベルゼに使った魔法ね?はじめは驚いたけど、既に対策済みなの!
私のなら……魔法も物理も効くから、バルト君もみんなと一緒にさようならね!何も出来ないのが……本当に惨めで可愛いわ」
バルトはダフネの顔に唾を吐きかけると、中指を立てた。
「パンツ黄ばんでんだよ、ブス……」
バルトは白い光に包まれ、ノクターナルから消失した。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
展開的にはかなり変化がある回だったのですが……どう……思います?
評価等でもいいので、参考にさせていただければ嬉しです。




