四章 本妻、襲来
ハンナの声がする方へ向かっていくと、3人がバルトを必死に探していた。
「おーい!俺はここだー!」
バルトが手を振ると3人が急いでバルトのもとへ駆け寄ってくる。
「バルト君!無事で本当に良かった。むしろよく魔法もなしで……ってあれ?魔力戻ってない?」
「あー色々あってね……俺も正確には分からないけど、幼女に治してもらった?みたいだ」
「幼女?バルト少し良いかしら?」
リリィがバルトに近付き匂いを嗅いだ。リリィの胸の柔らかい感触がバルトの腕に当たる。
神様、水着様ありがとうございます。
ちなみにこれはラッキースケベであってパーティー内恋愛ではないので問題ありません。
「リリィ!?バルトさんに何をするんですか!?離れてください!バルトさんも満足そうな顔しないでください!」
ハンナがリリィを急いで引き剥がした。
「バルト君?同じ男として次からはそういうのは控えてくれないかな?」
クリスが笑顔で冷たい視線をバルトに送る。
「す、すみません……」
バルトは圧力の強さに思わず謝ってしまった。
国王の圧力にも耐えたのに……
「やっぱり……ママの匂い……」
「ん?リリィ何か言いました?」
ハンナがリリィの様子が気になったのか、リリィを覗き込む。
「なんでもないわ。バルトの幼女さえ手懐ける女たらしさに驚いただけよ」
「俺はそんなキャラじゃない!変なイメージをつけるのは止めろ!」
「あら?そこまで的外れな事は言ってないと思うのだけど?」
そう言うと、リリィはクスリと笑った。
森にいても仕方ないのでバルトは幼女との会話を説明し、ミルコの店に向かって歩き出した。
「それより、何故脱出できたか説明出来る人はいるか?」
「大体はね。正直上手くいったのが奇跡みたいな話だから、説明と言うより結果論になるけど」
そう言うとクリスはバルトに一連の流れを説明しだした。
「あの状況で良く判断できたな……しかも意志疎通もなしでやるとは……」
バルトは話を聞いて思わず感心してしまった。
一連の流れを説明するとこんな感じだ。
まず3人ともあの状況では、逃げるしかないと各自判断したらしい。
そこでリリィの遣らずの雨のタイミングで、クリスはバルトを助けるのにキャスを召喚し効果魔法を付与させた。
しかしこれは、キャスでは強化されても国王には勝てないのは分かっていた上での、戦う意思を示したブラフ。
そしてキャスを国王に向かわせ、わざとやらせて戦力外になったと思わせる。
だが、リリィは密かにキャスの防御力を極限まであげる効果魔法を、雨に混ぜてかけたのでキャスはたいしてダメージを受けていなかったのだ。
後は、キャスがキースにSOSを伝えるまで、ハンナの防御魔法で持ちこたえる作戦だったらしい。
そしてキャスはキースをすぐに見つけた。
事情を伝えた所、キースが即座に転移魔法を発動してくれたため、無傷で脱出出来た。
「あの状況でキースさんが、こちらの味方になるか分かりませんでしたし、本当に賭けでしたわ」
ハンナが軽くため息をつき、胸を撫で下ろす。
「それにしても咄嗟の判断で良くそこまで息があったな?なんかコツでもあるのか?」
バルトは普段の会話から、こんな連携がとれるのが信じられなかった。
「コツですか?私を含めクリスもリリィも、バルトさんならどうするか?って考えただけですわよ?」
「俺なら?」
「そう。バルト君はいつも、最善だけど頭のおかしい作戦を立てるからね。自然と最善の策を考えると、バルト君ならどうするか?に繋がるんだよ」
「それに八方塞がり的な状況は、バルトのような頭のおかしい独特な考え方をしないと切り抜けられないわ」
「ほ、誉められてるのか、貶されてるのか分からないけど、役に立てたなら良かったよ」
バルトは苦笑いしか出来なかった。
街の外れまで着き、物陰から様子を見ると、かなりの数の騎士団員が街を巡回しているのが見えた。
「やっぱり対策されてるかぁ……どうやって切り抜けるかな……」
「思ったより、巡回してる人数が多いですわ。これではミルコさんのお店までたどり着けません」
予想以上の対策にバルトはため息をついた。
「やっぱりバルトさんだ!何してるんですか?」
後ろから急に声をかけられ、バルトは驚く。
「うぉ!フランちゃんか……」
「バルトさんの匂いがしたから来ちゃいました!こんなところで……この人達誰ですか?」
笑顔だったフランがジト目になる。
「ん?パーティーメンバーだよ?フランちゃんは……」
「初めまして!バルトさんの婚約者のフランと申します。夫がいつもお世話になっております」
フランはバルトを遮り、ハンナ達に挨拶した。
この年頃は少し背伸びしたい年頃だもんなぁ……
バルトはフランを見て微笑ましく思った。
「フランちゃんは、ちゃんと挨拶出来て偉いな!」
「妻として当然です!」
フランが嬉しそうにどや顔をした。
何この子……可愛すぎるんだが……
「フランちゃんはバルトさんが大好きなのですね!お気持ちは分かりますわ!」
「え?妻の前でそのような発言は止めてください。不愉快です」
フランが凄いスピードでハンナの方を向き、冷たく答えた。
「はは!奥さんの前でそういう発言は駄目だよ。フランちゃんごめんね?」
「は?バカにしてるんですか?喧嘩なら買いますよ?」
クリスが和まそうとしたが、見事に失敗する。
「わ、私はノーコメントよ」
リリィにしては珍しくフランの圧に負けて引いていた。
「と、とりあえず自己紹介しとく?」
絶妙に重い自己紹介を終えると、フランがバルト達に聞いてきた。
「ちなみに、バルトさん達市民にも指名手配されてますよ?町中その話でもちきりです」
「え!?市民にまで伝わってるのか……国王も相当本気だな……」
「報償金もかなりの額でした。なにせ、罪状が国王への殺人容疑でしたから。私はバルトさんがそんな事をするわけがないのは分かってましたけど」
「ありがとう、フランちゃん。でもそうなるとかなり移動は制限されるな……」
「バルトさん、どこかに行きたいんですか?」
「少しミルコさんに聞きたい事があってね。フランちゃんのお家に行きたいんだ」
「私のお家……良い方法があります!少し待っててください!」
そう言うとフランは森の中に入っていった。
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