表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋人に浮気されて意気消沈した俺はお隣に住むデカすぎる美人三姉妹に死ぬほど溺愛される  作者: かくろう
第3部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/78

第77話 再出発の朝


会議室を出た後、俺は白峰家に向かう車の中で、胡桃ちゃんの顔を思い浮かべた。


彼女はこれから、父親の逮捕という現実と向き合わなければならない。

それでも、彼女はもう一人ではない。


白峰家に着くと、胡桃ちゃんはリビングで三姉妹と一緒にいた。

彼女は俺の顔を見て、少し心配そうに微笑んだ。


「悠真ちゃん……どうしたの?」


俺は彼女の前に座り、静かに息を吸った。


「胡桃ちゃん……大事な話がある」


彼女の瞳が、わずかに揺れた。


俺は覚悟を決め、できるだけ穏やかに、しかしはっきりと伝えた。


「黒峰グループと……桃峰グループの両方で、粉飾決算が発覚した。

黒峰の蓮太郎をはじめ、経営陣が逮捕された。

そして……胡桃ちゃんのお父さんも、逮捕された」


胡桃ちゃんの顔から、血の気が引いていくのが分かった。


彼女は小さく唇を震わせ、静かに目を伏せた。


「……そう、なんだ」


その声は、驚くほど落ち着いていた。

でも、その瞳の奥に、長い間抑え込んできた感情が、静かに揺れているのが見えた。


俺は彼女の手をそっと握った。


「もう大丈夫だ。

胡桃ちゃんは、ここにいる。

俺たちと一緒に」


胡桃ちゃんは小さく頷き、涙を堪えるように目を閉じた。


長い沈黙の後、彼女はようやく小さな声で言った。


「……やっと、終わったんだね」


その言葉に、俺も三姉妹も静かに頷いた。


黒峰も、桃峰も、両方の不正が明るみに出た。


胡桃ちゃんの父親は逮捕され、会社は事実上破綻した。


これで、彼女を縛っていたすべての鎖が、ようやく解けた。


◇◇◇


白峰家のリビングは、夜明け直前の薄暗い闇に包まれていた。


窓の外はまだ黒く、遠くの街灯だけがぼんやりと光っている。

胡桃ちゃんはソファの端に座り、膝の上で指を強く絡めていた。

昨夜、父親の逮捕を知らされてから、ほとんど一睡もしていなかった。

彼女の瞳は腫れ、頰はまだ赤らんでいた。


俺は彼女の隣に腰を下ろし、静かに声をかけた。


「胡桃ちゃん……少し、話聞かせてくれないか」


胡桃ちゃんは小さく息を吸い、震える声で答えた。


「私……お父さんが逮捕されたって聞いても、悲しくない自分が怖い。

ずっと、ずっと我慢してきたのに……今はただ、胸の奥がふっと軽くなったような気がするの」


葵が温かいお茶をテーブルに置き、穏やかな目で彼女を見つめた。


「それは当然よ。

胡桃ちゃんがどれだけ長い間、苦しめられてきたか、私たちも少しずつ感じていたから」


澪が無言で胡桃ちゃんの隣に座り、静かに手を重ねた。


雛が反対側から寄り添い、明るく、でも優しい声で言った。


「もう一人で抱えなくていいよ。

ここは胡桃ちゃんの居場所なんだから」


胡桃ちゃんの瞳に、ゆっくりと涙が浮かんだ。


「私……お父さんに認めてもらいたくて、ずっと頑張ってきた。

でも、お父さんにとって私はただの道具でしかなかった。

それが今、ようやく分かった……」


彼女の声が震え、涙が一筋、頰を伝った。


俺は彼女の肩にそっと手を置き、静かに言った。


「もう大丈夫だ。

胡桃ちゃんはここにいる。

俺たちと一緒に」


胡桃ちゃんは涙を拭いながら、初めて柔らかい笑顔を見せた。


「ありがとう……みんな」


その夜明け前のリビングは、静かで温かい空気に満ちていた。


胡桃ちゃんの長い苦しみが、ようやく終わりを迎えようとしていた。



白峰家のリビングは、朝の陽射しでぱっと明るくなっていた。


胡桃ちゃんはソファに座り、みんなの顔を順番に見回した。

俺は彼女の隣に腰を下ろし、柔らかく尋ねた。


「胡桃ちゃん、これからどうしたい?」


胡桃ちゃんは少し照れくさそうに笑いながら、元気よく答えた。


「分からない。でも、自分の人生を歩むって決めたから、まずは働いて、社会勉強をして、何かの資格を取って、それから……悠真ちゃんの、お嫁さんになりたい」


「胡桃ちゃん……それは」


俺が言葉に詰まると、胡桃ちゃんは悪戯っぽく目を細めて続けた。


「えへへ、分かってる。だからね、まずはお妾さん候補ってことで!」


「はい?」


その瞬間、葵が突然立ち上がり、にこっと笑顔で宣言した。


「そこで発表です!」


「え?」


葵は胸を張って、明るく続けた。


「胡桃ちゃんには、我が白峰家のメイド見習いとして働いてもらう事になりました!」


「な、なんだってっ!?」


胡桃ちゃんが目を丸くして驚くと、雛が飛び跳ねながら手を挙げた。


「えへへー! 雛が考えたんだよ!

胡桃ちゃん、毎日一緒にいられるし、家事も覚えられるし、一石二鳥でしょ!」


澪が無表情のまま、しかし口元を少し緩めて言った。


「……制服、似合う」


胡桃ちゃんは真っ赤になりながらも、嬉しそうに笑った。


「え、えっ!? メ、メイド見習い……?

私、そんなのできるかな……」


葵が優しく微笑みながら、彼女の頭を軽く撫でた。


「もちろんできるわ。

私たちみんなで教えるから。

それに、胡桃ちゃんがここにいてくれるだけで、私たちも嬉しいのよ」


俺は三姉妹の急展開に呆れつつも、笑いが込み上げてきた。


「みんな……急にハイテンションすぎるだろ」


雛が俺の腕に絡みつきながら、元気いっぱいに言った。


「だって、ようやく胡桃ちゃんが正式に白峰家の一員になるんだもん!

お祝いしなくちゃ!」


胡桃ちゃんは照れくさそうに頰を赤らめながらも、嬉しそうにみんなを見回した。


「ありがとう……みんな。

私、頑張るね。

メイド見習い、精一杯やるから!」


リビングに、明るい笑い声が響き渡った。


これまで重くのしかかっていた暗い空気が、一気に吹き飛んだような朝だった。


胡桃ちゃんの新しい人生が、ここから始まろうとしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ