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恋人に浮気されて意気消沈した俺はお隣に住むデカすぎる美人三姉妹に死ぬほど溺愛される  作者: かくろう
第3部

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第71話 黒峰の怒り

黒峰邸の広いダイニングルームは、酒の臭いと苛立ちで淀んでいた。


蓮太郎はソファにだらしなく体を沈め、部下を前にして声を荒げた。


「まだ見つからねぇのか!!」


部下が青ざめた顔で頭を下げた瞬間、蓮太郎は手元の酒瓶を勢いよく投げつけた。

瓶は壁に当たって派手に割れ、琥珀色の液体が床に飛び散った。


「胡桃のガキが車から逃げ出したって報告が来た瞬間から、お前らは何をやってたんだ?

あんな小娘一人、捕まえられねえのかよ!」


部下は肩を縮めながら、震える声で答えた。


「申し訳ありません……駅周辺と主要な路線を重点的に探していますが、まだ手がかりが……」


「手がかりがねえ?」


蓮太郎は鼻で笑い、立ち上がって部下の胸倉を乱暴に掴んだ。


「お前ら、俺の金を食ってるくせに、それだけか?

あのガキは俺のものだ。

逃げられたままじゃ、俺の顔が立たねえだろうが!」


彼は部下を突き飛ばし、再びソファに腰を下ろした。

新しいグラスにブランデーを注ぎ、一気に喉に流し込む。


「桃峰の親父にも連絡を入れろ。

『娘を早く寄越せ。さもなくば会社ごと潰す』ってな。

それと、白峰の連中や高見沢のガキも怪しい。

あいつらが胡桃を匿ってる可能性もある。

全員、監視を付けろ」


蓮太郎はグラスを握りしめ、目を細めた。


「俺が気に入った女を逃がすなんて、絶対に許さねえ。

見つけたら、すぐに連れてこい。

今度は逃げられないように、しっかり締め上げてやる」


部屋に、蓮太郎の苛立った息遣いと、部下の緊張した足音だけが響いていた。


その夜、黒峰の影はさらに濃く、街全体に広がり始めていた。


◇◇◇


高見沢グループの本社ビル、夜遅くの会議室。


父さんはデスクに広げた資料を軽く叩きながら、俺に声をかけた。


「黒峰の経営は、かなり危うい状況にあるようだ。

海外事業で大きな損失を出しているらしいが、それを何とか隠している節がある。

詳しい中身はまだ調査中だ」


俺は資料を睨みながら、拳を強く握った。


「それが胡桃ちゃんを狙う理由か……」


「そうだ。桃峰家の新素材技術を欲しがっているのは間違いない。

蓮太郎本人はその過程で、会社の金をかなり私的に使っているという話も出ている。

ただ、まだ決定的な証拠は掴めていない」


父さんは少し声を落として続けた。


「監査法人とも繋がりがある可能性が高い。

お前は三姉妹と一緒に、胡桃ちゃんの安全を最優先に動け。

俺はこちらで時間を稼ぐ」


俺は頷き、すぐに白峰家に戻った。


リビングでは、三姉妹が待っていた。


葵が少し難しい顔で言った。


「生徒会の知り合いから、黒峰の関係企業に不穏な動きがあるって話が少し入ったわ。

特に、廃棄物処理関連の会社が最近慌ただしいらしい。

白峰家と取引のある企業ネットワークでも、黒峰の支払いが遅れ気味だという声がちらほら聞こえてきているの」


澪が腕を組み、低い声で続けた。


「……運動部の先輩が、黒峰の息子が派手に遊んでいる現場を何度か見ている。

高級クラブや女性関係で、金を使い込んでいるらしい。

先輩の親が金融関係の仕事をしているから、そういう金の流れには敏感なんだ」


雛がスマホを握りしめ、悔しそうに言った。


「雛の友達ネットワークでも、黒峰の社内で後継者問題で揉めているって噂が広がってるよ。

蓮太郎が会社のイメージを悪くしてるって話も出てきた。

うちのクラスの子のお兄さんが黒峰の取引先で働いているんだけど、最近社内の空気がすごく悪いみたい」


俺は三人の顔を見て、静かに言った。


「父さんからも、同じような情報が来た。

黒峰に何かヤバいことがあるのは間違いない。

胡桃ちゃんを助ける鍵は、そこにあると思う」


葵が資料を閉じ、決意を込めて頷いた。


「なら、私たちはそれぞれのルートで情報を集めましょう。

悠真くんは胡桃ちゃんの居場所を探すことに集中して」


澪が短く、力強く言った。


「……絶対に、助ける」


雛が俺の腕を軽く叩きながら、明るく、でも目に強い光を宿して言った。


「うん! みんなで胡桃ちゃんを助けて、黒峰の連中をぶっ飛ばそう!」


その夜、俺たちは4人でテーブルを囲み、具体的な行動計画を立て始めた。


黒峰の闇を暴くための小さな糸口が、ようやく見え始めた。


胡桃ちゃん……もう少しだけ、待っていてくれ。


必ず君を助けに行く。


◇◇◇


胡桃行方不明から数日後。


夜の街は冷たい風が吹き、街灯の光がアスファルトに長く影を落としていた。


悠真は一人で歩きながら、スマホの画面を何度も確認した。

胡桃からの連絡はまだなく、胸のざわつきが止まらない。

三姉妹とは別行動を取り、それぞれが持つ人脈を頼りに情報を集めているはずだったが、進展は遅かった。


一方、黒峰邸の奥まった一室では、蓮太郎が苛立ちを隠さずに部下を睨みつけていた。


「まだ見つからねえのか?

あの小娘が逃げてから何日経ってると思ってるんだ」


部下は額に汗を浮かべ、声を震わせた。


「申し訳ありません……引き続き駅周辺や主要な路線は徹底的に調べましたが、足取りが途絶えています。

白峰家や高見沢の周辺も監視を強化していますが、まだ確証は……」


蓮太郎はテーブルを叩き、グラスを乱暴に倒した。

琥珀色の液体が床に広がるのも構わず、彼は低い声で吐き捨てた。


「時間がないんだよ。

桃峰の親父も、もう限界だ。

胡桃を早く手に入れなければ、全部が台無しになる。

お前ら、もっと本気で探せ。

必要なら、強引な手を使っても構わん」


部下が慌てて頭を下げて部屋を出ていくと、蓮太郎は一人残り、窓の外の夜景を睨んだ。


「逃げられると思ってるのか……

俺のものを、簡単に逃がすわけにはいかねえ」


その頃、白峰家の近くの路地では、澪が一人で夜の街を歩いていた。

無言で周囲を観察しながら、運動部の人脈から得た情報を頭の中で整理していた。


同じ時間、葵は自宅の部屋でノートパソコンを開き、生徒会の知り合いから送られてきたメッセージを読み返していた。

画面に映る文字は、黒峰関連企業の不審な動きを示唆するものだったが、決定的な手がかりにはまだ届いていなかった。


雛は公園のベンチに座り、スマホを握りしめながら友達に連絡を入れ続けていた。

明るい声で話しながらも、表情は真剣そのものだった。


悠真は三姉妹と別行動を取ったまま、街を歩き続けていた。

胡桃ちゃんの笑顔が頭に浮かび、胸が締め付けられる。


「胡桃ちゃん……どこにいる?」


夜の風が冷たく頰を撫でる中、4人の想いはそれぞれの場所で、静かに、しかし強く繋がろうとしていた。


黒峰の影は、確実に彼らの周囲を狭め始めていた。


◇◇◇


夜の白峰家は静まり返っていた。


俺はリビングのソファに深く腰を下ろし、スマホを握ったまま天井を見つめていた。

胡桃ちゃんが連れ去られてから、数日が経過していた。

三姉妹はそれぞれの方法で情報を集め続けているが、決定的な手がかりはまだ掴めていない。


突然、スマホが震えた。


見知らぬアドレスからのメッセージだった。


俺は眉を寄せ、画面を開いた。


差出人は不明。

内容は短く、しかし衝撃的だった。


――『桃峰胡桃さんを保護しています。住所は――』


俺は思わず立ち上がった。


「なんだってっ!」


メッセージには、具体的な住所と簡単な地図が添付されていた。

そこは街の外れにある、静かな住宅街のアパートだった。


心臓が激しく鳴る。

これは罠か? それとも、本当に胡桃ちゃんを匿っている誰かからの連絡か?


俺はすぐに三姉妹に連絡を入れた。


数分後、葵、澪、雛がリビングに集まった。


葵がメッセージを見て、静かに言った。


「差出人が不明……でも、胡桃ちゃんの名前が正確に書かれている。

これは無視できないわ」


澪がスマホを睨み、低い声で続けた。


「……行ってみる。

罠なら、その場で判断する」


雛が俺の腕を強く掴み、興奮と不安が入り混じった声で言った。


「胡桃ちゃんが無事ならいいけど……

とにかく、早く確かめよう!」


俺は三姉妹と目を合わせ、深く頷いた。


「行こう。

胡桃ちゃんを、絶対に取り戻す」


四人は夜の街に飛び出した。


メッセージに書かれた住所に向かう車の中で、俺は胸の内で静かに考えていた。


この連絡の主は誰なのか。

なぜ今、突然こんな情報を寄越してきたのか。


胡桃ちゃん……

今、どこで何をしている?


車は夜の道路を走り続け、未知のアドレスへと向かっていた。


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