第59話 朝チュンの朝……賢者の時間?
朝である……朝チュンである。
我が童貞よ……夜の闇に溶けて消え去り、安らかなる眠りにつくがいい。
……いやすまん、嘘だ。俺は結局三姉妹とセックスはしなかった。
俺はまだ立派なチェリーボーイのままである。
ヘタレと笑わば笑え。
朝日が部屋に差し込み、柔らかな黄金色の光がベッドを優しく包み込んでいた。
その光は、昨夜の熱く激しい緊張と甘く溶けるような葛藤を、ゆっくりと溶かし、優しく洗い流すように部屋全体を照らしている。
まるで俺の心の中を映し出すかのように、穏やかで温かく、しかしどこか新しい始まりを予感させる、胸の奥まで染み渡る光だった。
俺はゆっくりと目を覚まし、ベッドに横たわったまま天井を見つめた。
胸の鼓動が、まだ昨夜の余熱を残している。
◇◇◇
~昨夜のこと~
「さあ、皆で一緒にセックスしましょう。大丈夫、3人ともヴァージンだからね」
「お、落ち着くんだ3人とも。冷静になれ!」
「ゆーま、問題ない。天井の模様を数え終わるまでに終わる」
「だからそれすんげぇいっぱいあるんだって! あ、待って、ズボン脱がさないでっ」
「雛達だっていっぱい我慢したんだもん。油断してたら奪われちゃうくらいなら、全部雛たち3人で分け合いたいもん!」
「あれは俺も油断してたんだ。それは謝るから! ともかくまずは落ち着けーーっ!」
俺が大声を出すと、一瞬の隙ができてなんとかベッドから抜け出す。
「悠真くん……私達とエッチするの、嫌?」
「はぁ、はぁ……あのな。嫌とかそういうのではないんだよ。物事には順序ってもんがあるんだ。勢いだけで大切な初めてを捧げてもらっちゃ、俺は俺が許せなくなる」
「ゆーま……」
「俺の油断でキスを奪われたのは、本当に悪かったと思ってる。だけど、俺の気持ちは3人に向けるって所は変わってない」
三姉妹の熱い想いと欲情に包まれながらも、俺は「まだ早い」と伝え、
代わりに、言葉を交わし、抱き合い、互いの心を深く重ね合う時間を過ごした。
その時間は、昨夜の激しい衝動を、もっと純粋で、もっと強い絆に変えてくれた。
「俺は……葵、澪、雛……3人の事が同じくらい大切だ。……皆には自分を大切にしてほしいんだ」
「悠真くん……」
「ゆーま」
「悠真ぁ……」
俺はベッドに並ぶ3人を一緒に抱き寄せた。
この小さな体と短い腕では3人の頭を抱え込むのもギリギリだ。
「葵、こっちを向け」
長女の葵。俺はまず彼女の頬をそっと包み、真剣な瞳で見つめる。
「ぁ……ゆ、悠真、くん……ん♡ んんぅ……ふ、んぅ♡」
唇にそっと口づける。柔らかくて甘い感触がジンワリと伝わり、熱い息遣いが伝わってくる。
数秒なのか、数十秒なのかも分からない時間を唇同士触れあい、そっと離す。
「澪……」
「ゆーま……んちゅ……♡ ふ、んぅ♡ ゆーま、うれ、ふぃ♡ んちゅ♡ はみゅ♡」
前のような強引な態度は鳴りを潜め、トロンとした表情で大人しく唇を受け入れた。
「雛」
「悠真ぁ♡ キスゥ♡ んん、ちゅーー♡ 悠真ぁ、しゅき♡ しゅき♡ しゅきしゅきぃ♡」
「ふぅ……これが今の俺の気持ちだ」
今度は順番を逆に。
雛を抱きしめ、澪を抱きしめ、葵を優しく、強く抱きしめる。
この日から、俺たちは約束をした。
1日1回のキス、そしてハグを、欠かさずすること。
それは、ただの約束ではなく、
互いの存在を毎日確かめ合い、愛情を重ね合う、甘く大切で、胸が熱くなる儀式になるはずだ。
「ふわぁ……これが、男前キスの味」
「ゆーま……美味」
「えへへ~、あまーい♡ 雛しあわせぇ」
「ねえ悠真くん」
「ふぅ……な、なんだ?」
「やっぱり物足りない」
「え?」
「私達が悠真くんの最高だって、刻みつけておきたいの」
「ゆーま、ムチムチお肉、3倍、お得」
「三姉妹全員の味を覚えておいてね」
「な、何を仰ってるんですか……ちょ、お三方っ!?」
「大丈夫。セックスじゃないから……」
そうして俺は……いや、詳しくは言うまい。
3人同時って……凄かった。
◇◇◇
なんて事があり、俺達は確かな絆を確かめ合った。
(まだ余韻の熱が残ってる……)
あんなのを味わってしまったら、忘れられないかもしれない。
いやいや……肉欲に溺れてはならぬ。
俺はベッドから起き上がり、まず雛の寝顔を見つめた。
雛は俺の右側で、幸せそうに体を丸めて眠っている。
栗色のセミロングが枕に広がり、柔らかい頰が少し赤らみ、唇がわずかに開いている。
その寝顔を見ているだけで、胸の奥が甘く疼き、守りたいという想いが溢れ出す。
俺はそっと身を乗り出し、雛の額に優しく唇を寄せた。
柔らかい肌の感触が、昨夜の熱を優しく思い出させ、心を震わせる。
「ん……悠真……?」
雛が目を細めて俺を見上げ、すぐに嬉しそうな笑顔を浮かべた。
その笑顔は、昨夜の悔しさと欲情が溶け込んだ、甘く輝くもので、俺の胸を強く締め付けた。
俺はさらに彼女の唇に軽くキスをし、温かいハグで包み込んだ。
「えへへ~♡ ゆうま~♡ 好き♡ 大好きぃ♡」
雛の体が俺の胸にぴったりと寄り添い、大きな胸の柔らかさが伝わってくる。
彼女の心臓の鼓動が、俺の鼓動と重なり合うように速く感じられ、甘い幸福感が全身を駆け巡った。
次に澪。
澪は俺の左側で、静かに、しかし穏やかな寝息を立てている。
漆黒のストレートヘアがシーツに流れ、クールな横顔が朝の光に照らされている。
その寝顔は、昨夜の激しい想いを静かに抑え込んだような、深い安心感と愛情に満ちていて、俺の心を優しく溶かしていく。
俺は澪の頰に優しくキスをし、彼女の体をそっと抱き寄せた。
冷たくて細い指が俺の背中に回り、強く抱き返してくる。
その抱きしめ方は、静かで、しかし昨夜の欲情を抑えきれない熱を帯びていて、胸が熱くなった。
「……ゆーま……おはよう……」
澪の声が低く、甘く響く。
彼女は目を細め、俺の胸に顔を埋めてきた。
その瞬間、昨夜の欲情がまだ残る熱い息が、俺の肌に触れ、背筋を甘く震わせる。
澪の体温が、静かで深い愛情と共に、俺の全身に染み込んでくる。
最後に葵。
葵は一番優しい寝顔で、俺の胸の近くに体を寄せている。
蜂蜜色のゆるふわロングヘアが朝日を受けて輝き、穏やかな表情がとても愛おしく、胸が締め付けられるほど美しい。
その寝顔を見ているだけで、昨夜の激しい想いが蘇り、心が甘く疼いた。
俺は葵の唇に優しくキスをし、彼女をしっかりと抱きしめた。
大きな胸が俺の体に柔らかく押しつけられ、甘い香りが鼻腔を満たし、昨夜の熱が再び胸の奥を熱くする。
「悠真くん……おはよう……」
葵の声が、朝の光の中で優しく溶けるように響いた。
その声には、昨夜の激しい欲情と、今日からの新しい約束への喜びが、溢れんばかりに込められていて、俺の心を強く揺さぶった。
三姉妹を順番に起こし、キスとハグを交わすこの朝の儀式は、
昨夜の激しい想いを、静かで甘く、胸が熱くなるような絆に変えてくれるようだった。
まだベッドに横たわったままの三姉妹が、俺を見つめる瞳は、
昨夜の熱を残しつつも、今日からの新しい約束に満ちていた。
その瞳の奥には、俺を独占したいという強い想いと、
これからもずっと一緒にいたいという、溢れんばかりの愛情が、輝きを増して輝いていた。
俺は三人の温もりに包まれながら、心の底から、この甘く幸せな朝が、これからもずっと続いていくことを、胸が熱くなるほど強く願っていた。
「胡桃ちゃんには、今日正式に断りを入れてくるよ」
「うん。ありがとう、悠真くん」
気持ちを向けてくれるのは嬉しいけど、やっぱりそれは恋じゃないし、三姉妹同時にとはいえ、既に大切な恋人がいる状態だ。
変に気を持たせるようなことをして、余計に胡桃ちゃんを傷つける前に終わらせるべきだろう。
だけど、そんな考えとは裏腹に、胡桃ちゃん関連の事件が起こっていくことになる。
俺はまだ、その未来を予想できていなかった。




