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恋人に浮気されて意気消沈した俺はお隣に住むデカすぎる美人三姉妹に死ぬほど溺愛される  作者: かくろう
第1部

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第5話 用済みの財布

【浮島凪沙 視点】


高級ラブホのスイートルームは、相変わらず広くて気持ちがいい。


ベッドに寝転がりながら、私はスマホの画面をスクロールしていた。

先週悠真に貢がせたネックレスの転売代金が、ちょうど今朝振り込まれていた。

結構いい金額だ。今日の部屋代と、瑛斗とのディナー代は余裕で浮く。


隣では私の本命彼氏、朝倉瑛斗がシャツのボタンを外しながら、グラスを傾けていた。

茶髪を派手にセットした彼は、いつものように余裕たっぷりの笑みを浮かべている。


「ははっ、あのチビ、フラれてどうしてるかな? 今頃ベッドで俺らのセックス思い出して泣きシコしてんじゃね?」


瑛斗の言葉に、私はくすくすと笑いを漏らした。


「かわいそー。

でもちょと惜しかったなー。あいつのおかげで金が結構入ったし、もうしばらく引っ張りたかったけど」


そう言いながら、私は放課後のことをぼんやりと思い返していた。


放課後の空き教室。

制服を乱して瑛斗に抱かれている最中、突然ドアが開いて悠真の顔が見えた瞬間、私は一瞬だけ焦った。


でもすぐに開き直った。

「サイフだったってわけww」って言ってやったときの、あいつの青ざめた顔。

今思い出しても、爆笑ものだ。


悠真は私にとって、最初から「便利な財布」以外の何物でもなかった。


学園では私はいつも、清楚で優しい女子を演じている。

笑顔を絶やさず、後輩の相談にも乗って、先生からも好かれる。


身長は平均的か少し小柄で、童顔の悠真と並んでも違和感がない。

むしろ、ちょうどいい。


身長156cmの小柄な体型は、158cmの悠真と並んでも「ちょうどいいカップル」みたいに見える。

それが計算通りだった。


あいつは自分の背が低いことをずっと気にしていた。

一緒にいるうちに、さり気なく「悠真くんって、背が低い子の方が安心するんだよね。私も小さいから、ちょうどいいかも」なんて言葉を挟むと、目が輝いた。


『(何コイツ、ちょろ~ww)』


思い出すだけで吹き出しそうになる。

チビでボンクラで、顔もガキっぽい。

正直、私の好みとは真逆だけど、実家が金持ち。

それだけで十分。


距離を縮めるのは簡単だった。

一緒に帰る回数を増やし、LINEを毎日送り、プレゼントをねだるように仕向けた。

「悠真くんみたいな優しい人、初めて」って甘えた声で言えば、あいつはすぐに落ちた。


最初は体を使って籠絡するつもりだったのに、あまりにもウブでチョロすぎて、キスすら必要なかった。

告白も私が先にしてやった。

三ヶ月間、貢がせ放題。最高のサイフだった。


……でも、もう関係は終わった。


(ちょっと勿体なかったかな……)


私はスマホを置いて、天井を見つめた。


瑛斗がグラスを置いて、私の腰に手を回してきた。


「で、これからどうすんの? あのチビ、まだ金になりそうか?」


私は小さく笑った。


「あー、そうだなー」


そこで妙案を思いつく。あの金持ちを手放すには、まだまだ惜しい。


私は皮肉をたっぷり込めた猫なで声で、瑛斗の前でふざけて見せた。


「実は~……脅されてて、ああいう風に言わないと悪い仲間から輪姦されるって脅されたの~、って言えばどうかな。

あいつ、チョロいから絶対に信じると思うの。

もう一回くらい、ちゃんと金引っ張れるかも」


瑛斗が声を上げて笑った。


「マジで? お前、ほんと頭いいな」


私は微笑みながら、内心で計算を回していた。


悠真は今頃、私達のセックスシーンでも思い出してティッシュとハンカチを濡らしているに違いない。


「ごめんね悠真くん……私、悪い男に脅されててぇ……仕方なかったの~ぴえん」

「ギャハハハ! 凪沙それ最高ww」

「お願い~♡ もう一度付き合って♡」

「ウケるってww あいつ、絶対信じるだろ。チョロすぎて笑えるわ」


私は彼の胸に指を這わせながら、ゆっくりと頷いた。


「あいつ、女の涙にはめっぽう弱いから。まだまだ新しいコスメも買いたいし、バッグも買いたい。瑛斗のチケット代も稼がなくっちゃ」

「頼むぜー。今度のライブはめっちゃ気合い入ってっからよー。デカい(ライブハウス)借りて人気の先輩バンドと対バン組むことになってんよ」


「応援する~♡ ギター弾いてる瑛斗、超イケメンだもん。やっぱ男は瑛斗くらい男らしくなくっちゃ」


「お前俺にメロメロすぎんだろww」

「だってイケメンだもん♡」


私は瑛斗の逞しい胸板に頬を寄せる。


瑛斗が満足げに笑い、私の腰を抱き寄せてくる。

部屋の中には甘ったるい香水と酒の匂いが混ざり合っていた。


私は目を細めながら、悠真のことをもう一度思い浮かべた。


あいつは本当にチョロかった。

三ヶ月間、一度も疑う素振りを見せなかった。

私がさり気なく欲しがる素振りを見せれば、すぐに高い物を買ってきて、

「凪沙が喜んでくれるなら」なんて嬉しそうに笑っていた。


その顔を思い出すと、今でも胸の奥がくすぐったくなる。


「ねえ、瑛斗。

もし悠真が私に泣きついてきたら、どうする?」


「どうするも何も、お前が適当に丸め込んで金引っ張ってこいよ。

もっと良いギター買いたいしよ」


瑛斗はそう言いながら、私の首筋にキスを落としてきた。

私はくすくす笑いながら、彼の背中に指を這わせた。


「わかってるよ。

あいつ、きっと『俺が守るよ』とか言って、また財布に戻ってくれるはず」


想像しただけで、笑いが込み上げてきた。


悠真は今頃、ベッドでめそめそしてるに違いない。


でも所詮はチビのボンクラ。

私が本気で泣いてすがれば、すぐに元のサイフに戻る。

新しいコスメも、バッグも、瑛斗のライブチケット代も、まだまだ悠真に払わせられる。


私は瑛斗の胸に顔を埋めながら、ゆっくりと息を吐いた。


「ふふ……楽しみだな」


窓の外はもうすっかり暗くなっていた。


スイートルームの柔らかい照明の下で、私はこれからの計画を頭の中で何度も繰り返した。


悠真。

あなたはまだ、私の財布でいてくれるよね?


※後書き※

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