第40話 甘くトロトロな生活
凪沙との一連の事件が解決してから、ちょうど1ヶ月が経った。
俺は白峰三姉妹と共に、本当に平和で甘々な日常を過ごしていた。
学校ではもう誰もあの事件のことを話題にせず、俺の頬の傷も薄い痕が残る程度に綺麗に治っていた。
ただ……この1ヶ月は、思った以上に大変な時期でもあった。
特に大変だったのは、凪沙の暴走によって俺が頬に怪我をした直後の葵の行動だ。
「あの時、私がもっと早く止めていれば悠真くんは傷つかなかった……」
そう強く罪悪感を抱いた葵は、「これからは私が悠真くんのお世話係になります!」と宣言して聞かなかった。
そしてその「お世話」が、予想以上にエスカレートした。
中でも一番ヤバかったのは、
「これは治療です!」と言ってナースのコスプレをしながら密着してくることだった。
ある日の夜、白峰家のリビング。
葵は純白の超ミニ丈ナース服に、ガーターベルトと白い網タイツという、完全にドスケベな衣装を着て俺の前に立っていた。
194cmの長身にその衣装がぴったり張り付き、胸の谷間とむっちりとした太ももが強調されすぎている。
「悠真くん、今日は特別治療の日だよ……ね?」
葵が甘く微笑みながら、俺の膝の上にゆっくりと跨がってきた。
柔らかくて重い胸が俺の顔に押しつけられ、網タイツの感触が太ももに絡みつく。
「ほら、お注射ですよー♡」
そう言いながら、葵は俺の首筋に唇を近づけ、優しくキスを落としてくる。
その横から、澪が同じくナースコスプレ姿で無言で近づき、俺の左腕を抱きしめながら耳元で囁いた。
「……ゆーま、熱がある……
ちゃんと測ってあげる」
澪の小さな手が俺の胸に滑り込み、ゆっくりと撫で回してくる。
そして一番危険だったのは雛だった。
「えへへー! 雛もナースだよー! お薬あげるね♡」
超ミニスカートのナース服を着た雛が、俺の右側から飛びついてきた。
勢いよく胸を俺の顔に押しつけながら、元気いっぱいに体をくねらせる。
「ほらほら、口開けてー! あーんして♡」
三人がかりで「治療」と称した甘い攻撃を受けていると、
本当に理性が飛んでしまいそうになる。
……中でも一番ヤバかったのは、「目隠しだーれだ♡ゲーム」だった。
ある夜、俺はリビングのソファに座らされ、柔らかい布で目を完全に覆われた。
「はい、じゃあ悠真くんはここに座って」
「え?座るの?」
「そう……座る」
「お楽しみだよー」
三姉妹に座らされ、俺は3人を思い切り見上げる形になった。
改めてみると凄い迫力だ。
「じゃあ、始めるね……悠真くん。まずは目隠ししてもらいまーす」
「お、おう……」
葵は後ろに回り込んで何やらゴソゴソと動き始めた。
「はい、じゃあ目隠しするねー」
目元に布地を巻かれて視界が塞がれる。だけど気になったのは、目隠しの布が妙に温かいことだった。
「ん? なんか布が温かいな。これなの?」
「なんだろーねー♡」
「くんくん……なんだろう。嗅いだことあるような」
「あ、におい嗅いだらだめーっ」
何故か止められてしまった。
それ以上聞いても答えてくれず、なんだか良い匂いのするぬくぬくとほんのり温かい布にくるまれてゲーム開始の合図がされる。
「それじゃあ、始めるね♡」
そういえば、今更言うまでもないが彼女達は三つ子だ。
つまり、一卵性三生児として生まれているため、指紋も声紋も全く同じ。
DNAも同じである。
その気になれば某五つ子ラブコメのように、互いの姿や声を入れ替える事も可能となるのだ。
性格が全く違うので普段は間違えることはほぼないが、3人とも声も顔もそっくりである。
こうして目隠しをされると、完全に間違えずに言い当てる自信はあまりなかった。
「それじゃーいくよー」
甘く溶けるような声がすぐ近くで響く。
次の瞬間、大きな柔らかい感触が俺の顔にゆっくりと押しつけられた。
ふわっ……むっちりとした温かい胸の谷間が、頰と鼻を包み込む。
甘いミルクのような香りと、重みと柔らかさが一気に襲ってくる。
「だーれだ……?」
声は柔らかく、ほんわかした響き。
葵の声に聞こえる……けど、微妙に低めで、いつもより少し艶がある。
「ん……葵……?」
俺が息を乱しながら答えると、その人物はくすくすと笑い、
さらに胸を押しつけて俺の顔を深く埋めていく。
「正解……かな? でも、まだわからないよね……?」
声のトーンが、ほんの少しだけ高くなった気がした。
次の瞬間、左側から別の気配が近づいてきた。
「……ゆーま」
低く、抑えた声。
澪の声に聞こえる……が、さっきの声と驚くほど近い響きだ。
彼女は無言で俺の左太ももに跨がり、網タイツ越しのむっちりとした太ももで俺の脚を強く挟み込んだ。
腰をゆっくり前後に動かしながら、熱い吐息を耳元に吹きかける。
「だーれ……?」
声が少し上ずっている。
でも、さっきの声と周波数がほとんど同じ。
「澪……だろ……?」
俺が喘ぐように答えると、その人物は小さく息を吐き、
俺の首筋に唇を這わせてきた。
「正解……かも……」
声が突然、明るく弾むトーンに変わった。
そして正面から、一番激しい気配が飛び込んできた。
「悠真ー! 次は誰かなー?」
明るく、元気いっぱいの声。
雛の声に聞こえる……が、やはりさっきの二人と極めて近い。
彼女は俺の腰に飛びつき、超ミニスカートのナース服をはためかせながら、
俺の顔に自分の大きな胸を思いっきり押しつけてきた。
「だーれだーれ? 悠真、当ててみて♡」
体をくねらせながら、俺の頭を抱え込むように密着してくる。
柔らかくて弾力のある胸が、完全に俺の顔を埋め尽くす。
俺が息を荒げて答えるより早く、声が右側から変わった。
「ふふ……本当にわかる?」
今度は優しく、甘く溶ける声。
さっきまで正面にいたはずの声が、右耳に移動している。
左側からは、低く抑えた声が響く。
「……まだ、わからないよね」
そして正面からは、明るく弾む声が再び。
「えへへ、正解かなー?」
声が高速でシャッフルされている。
葵→澪→雛→葵→澪→雛……
微妙にトーンを変えながら、ポジションを入れ替わり、
俺の顔、耳、首筋、太ももに同時に甘い攻撃を仕掛けてくる。
「ねえ、悠真くん……
今、誰に顔を埋められてるかわかる?」
甘く艶っぽい声が右耳に。
「……ゆーま、熱い……」
低く抑えた声が左耳に。
「悠真、もっとぎゅーってしていい?」
明るく弾む声が正面から。
さらに声が入れ替わる。
「だーれだ……?」
今度は優しい声が左側から。
「……感じてる……?」
低く熱い声が右側から。
「えへへ、悠真の反応可愛いよー♡」
明るい声が正面から。
完全に判別がつかない。
三つ子の声紋が同一であることを最大限に利用した、
完璧なシャッフル攻撃だった。
俺は目隠しされたまま、息を荒げながら必死に言った。
「三人とも……声が似すぎて……もう、誰が誰だかわからない……!」
すると、三方向から同時に、甘く楽しげな笑い声が重なった。
「ふふ……本当にわからないの?」
「…………まだ、わからないよね」
「えへへ、正解かなー?」
声が次々と高速で入れ替わりながら、
柔らかい胸、むっちりとした太もも、甘い吐息が全方位から俺を包み込む。
これはもう完全に、
三つ子の同一性を武器にした、甘くて危険なイジメだった。
葵の声が右耳で甘く溶ける。
「悠真くん……顔が真っ赤だよ……?
心臓の音、すごく速い……」
澪の声が左耳で低く熱く響く。
「……ゆーま、もっと感じて……
ここ、熱くなってる……」
雛の声が正面で元気よく、でも艶っぽく。
「えへへ、悠真のここ、硬くなってるよー♡
雛、もっとぎゅーってしていい?」
声がまたシャッフルされる。
今度は優しい声が左耳に。
「ふふ、悠真くん……我慢してるの?」
低く抑えた声が右耳に。
「……我慢、しなくていいよ……」
明るい声が正面で。
「悠真、雛がたーっぷり気持ちよくしてあげるね♡」
俺の理性は、今にも限界を迎えようとしていた。
目隠しされたまま、三姉妹の声と体が高速でシャッフルされながら、
柔肉と吐息と甘い言葉で俺を甘く責め立てる。
これはもう、治療でもゲームでもなく、
ただの甘い、危険な、はっちゃけたご褒美だった。




