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恋人に浮気されて意気消沈した俺はお隣に住むデカすぎる美人三姉妹に死ぬほど溺愛される  作者: かくろう
第1部

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第22話 悠真の成長と雛のおねだり

【凪沙視点】


悠真が立ち去った後、私は悔しさからその場に動けずにいた。


「くそっ……何なんだよ悠真の奴。私の話、まったく聞いてくれなかった……」


悠真は私に夢中だったはずなのに。


絶対上手くいくはずだったのに……、あの三女のせいで悠真の意志が想像以上に強固になっていた。


軽くあしらえると思っていた三女は、長女の葵のような全てを見通す目や、次女の澪のような冷ややかに見下ろす目とも違う。


真っ直ぐで純粋で、熱量の籠もった透き通った意思の強い目だった。


頭の軽いと思っていたその意志力は想像以上で、迫力に押されて思わず本性が出そうになった。


それは恐怖心からだった。


「はぁ……上手くいかない」


「ったくよぉ、何やってるんだよ凪沙ぁ」

「え? ぁ、え、瑛斗っ……あんた、いつからそこに」


「お前があの2人に声を掛けてたのをあそこで見てたんだよ。なんだよお前、高見沢に言い負かされてすごすごと引き下がっちまってよぉ」


そうか。こいつが近くにいたから、悠真に見つかったんだ。


それで私と瑛斗が結託して騙そうとしていると誤解されたに違いない。


「余計なことを。あんたが邪魔しなきゃ上手くいったのにっ!」

「はあ? 俺は何もしてねぇだろうが」

「きっと悠真に見つかったんだ。だからアイツは私を疑って話を聞かなかった。そうに決まってる。邪魔しないでよ」


「人のせいにするなよ。お前がいつもの清楚系崩さなきゃ上手くいったんだろ」


「とにかく、次こそ上手くやるから邪魔しないでよね」


私はそのまま瑛斗を無視して家に帰った。


あいつと一緒に居るところを見られたら私の評判が落ちてしまう。


次こそは絶対に上手くやって見せる。


ああ、クソっ。そのまま別れ話してやればよかった。


◇◇◇


家に戻ると、白峰家のリビングはすでに温かな灯りがともっていた。


葵がエプロン姿でキッチンから顔を出し、優しく微笑んだ。


「おかえりなさい、二人とも。

ご飯、もうすぐできるよ」


澪はソファに座ったまま、無言で小さく頷いた。

その視線が、俺と雛の繋がれた手に一瞬だけ留まる。


雛は俺の手を離すと、勢いよくリビングに飛び込んだ。


「ただいまー!

今日ね、悠真すごく格好よかったんだよ!」


雛の声が明るく響き渡る。

彼女はテーブルに着くなり、興奮気味に話し始めた。


「学校の帰り道で、突然あの浮島凪沙って人が現れたの。

悠真に泣きついてきて、なんか変な話をしてきたんだけど……」


雛は両手を大きく振りながら、目を輝かせて続ける。


「悠真、めっちゃはっきり断ってたよ!

ちゃんと自分の気持ちを伝えてて……本当に格好よかった!

雛ね、悠真のそういうところ、すっごく好き!」


葵がキッチンから顔を出し、柔らかい笑みを浮かべた。


「ふふっ、そうだったの。

悠真くん、ちゃんと自分の線を引けたんだね……えらいね……ね」


澪もソファから俺の方をじっと見つめ、短く呟いた。


「……ゆーま、強くなった」


雛はさらに勢いづいて、身を乗り出した。


「そうそう! 悠真がそんな風に自分を守れるようになってて、胸が熱くなったよ!」


俺は少し照れくさくなりながら、椅子に座った。


「大したことじゃないよ。

ただ、もう関わりたくないって思っただけだ」


葵が温かい味噌汁をテーブルに並べながら、優しく言った。


「でも、それができるようになったのは大きなことだよ。

悠真くん、ちゃんと自分を大切にできるようになったんだね」


雛は俺の隣にぴったりと座り、腕に絡みついてきた。


「うんうん! 今日の悠真、かっこよかった!

雛、もっと悠真のこと好きになっちゃったかも♪」


澪は無言のまま、俺の顔をじっと見つめていたが、耳の先がほんのり赤くなっていた。


リビングに三姉妹の温かな視線が集まる中、俺は静かに胸の奥で思った。


(……少しだけ、前に進めた気がする)


ご飯のいい匂いが部屋に広がり、今日の出来事が少しずつ遠ざかっていくのを感じた。


◇◇◇


夕食が終わった後、俺たちはリビングで紅茶を飲んでくつろいでいた。


葵と澪は「お風呂の準備をしてくるね」と言い残して自室に戻っていった。

リビングには俺と雛だけが残された。


温かい紅茶の香りが部屋に広がる中、雛が俺の隣にぴったりと寄り添ってきた。


俺はカップを置いて、静かに言った。


「勇気を出せたのは、皆が俺を励ましてくれたおかげだよ。

それに、今日に関しては、雛が隣にいてくれたからだ」


雛の目が一瞬で輝き、頰がふんわりと赤くなった。


「えへへ~、雛、嬉しいな……すごく嬉しいよ♡」


雛は俺の腕に自分の腕を絡め、甘えるように体を預けてくる。

その柔らかい感触と甘い香りに、俺の胸が熱くなった。


「じゃあ、ご褒美、くれる?」


「もちろんいいよ。俺にできることなら何でも」


雛の笑顔がさらに明るくなり、彼女は上目遣いに俺を見つめた。


「じゃあねー、膝枕して♡」


その無邪気で甘いお願いに、俺の心臓が大きく跳ねた。


「膝枕か……そんな事でいいならいくらでも」


俺がソファに座り直すと、雛は嬉しそうに「わーい♡」と声を上げ、俺の太ももの上に頭を乗せてきた。


雛の栗色の髪が俺の膝の上で広がり、柔らかい頰の感触が伝わってくる。

彼女は俺の太ももに顔をすりすりしながら、幸せそうに目を細めた。


「悠真の膝……あったかくて気持ちいい……♡

ずっとこうしていたいよ……」


俺は雛の髪を優しく撫でながら、胸の奥が甘く疼くのを感じた。

雛の無邪気な甘えと、柔らかい体温が、今日の嫌な出来事を全部溶かしてくれるようだった。


「雛、体勢大丈夫か? クッション持ってこようか」


「ううん、全然!

むしろもっとぎゅーってしてほしい……♡」


雛は俺の手に自分の手を重ね、指を絡めてきた。

その仕草があまりにも可愛くて、俺は思わず微笑んだ。


リビングの柔らかな照明の下で、雛は俺の膝の上で幸せそうに体をくねらせる。

その姿が愛おしくて、俺の胸は温かい気持ちでいっぱいになった。


体は大きいのに仔犬みたいでめちゃめちゃ可愛いな。


すると、雛が上目遣いに俺を見て、甘える声で言った。


「悠真、もう一つご褒美欲しいな……」


「なんだい? 言ってごらん」


雛は少し照れたように頰を赤らめながら、でもはっきりと言った。


「雛、一緒にお風呂入りたい♡」


「んがっ!? そ、それはちょっと……」


「おねがーい♡ ちゃんと今回も水着着るから。ね? お願い悠真」


雛は俺の膝の上で体をくねらせ、甘えた瞳でじっと見つめてくる。

こういう顔をされると、俺は昔から雛のおねだりを断れない。


でも、こういうワガママなら……心地良いのにな、と心の中で思った。


※後書き※

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