表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋人に浮気されて意気消沈した俺はお隣に住むデカすぎる美人三姉妹に死ぬほど溺愛される  作者: かくろう
第1部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/78

第21話 ま・た・お・前・か!

【凪沙 視点】


もはや瑛斗に用はない。そんな事より、悠真をサイフに戻さないと。


放課後、私はすぐに悠真の教室へ向かった。


しかし、教室に着いた時にはもう誰もいなかった。

机の上は片付けられ、窓から差し込む夕陽だけが静かに床を照らしている。


私は小さく舌打ちをした。


(ちっ……また外れた)


慌てて校門へ急ぐ。

息を切らして校門前に着くと、ちょうど悠真と雛が連れ立って出てくるところだった。


二人は楽しそうに話しながら、駅の方へ歩き出そうとしている。


私は木の陰に身を隠し、静かに観察した。


(今日は三女一人だけか……丁度良いや)


あの頭の軽い三女一人なら、どうとでもなる。

他の二人が合流しないとも限らないので、チャンスを伺うために尾行することにした。


そして、約一時間後……。


私は深呼吸して、平静を装いながら近づいた。


「悠真」


私の声に、二人が同時に振り返った。


雛が少し警戒した顔をする中、私は悠真だけに視線を固定した。


「偶然ね。

こんなところで会うなんて」


私は冷静に微笑んだが、内心では苛立ちが渦巻いていた。


「少し話があるんだけど……今、いい?」


雛が俺の腕をぎゅっと握りしめ、怪訝そうな声で聞いた。


悠真の表情がわずかに固まった。


私は心の中で冷ややかに思った。


(今なら……まだ間に合うはず)



◇◇◇



ゲームセンターで十分に遊んだ後、俺と雛は外へ出た。


夕陽が沈みかけ、街灯が少しずつ灯り始めていた。

雛は俺の腕に絡みついたまま、満足げに笑っている。


「今日は本当に楽しかったね! また絶対行こうよ♪」


俺が頷こうとしたその時——


少し離れた場所から、聞き覚えのある声がした。


「……悠真」


振り返ると、そこに立っていたのは浮島凪沙だった。


彼女はいつもの清楚な表情を装っていたが、目には隠しきれない苛立ちと焦りが浮かんでいる。

その後ろには、派手な茶髪の男——瑛斗の姿がちらりと見えたが、すぐに木陰に隠れた。


凪沙はゆっくりと近づいてきて、俺の前に立った。


「偶然ね。

こんなところで会うなんて」


声は冷静だったが、どこか棘を含んでいる。

彼女は一瞬、隣にいる雛を冷ややかに見た後、再び俺に視線を戻した。


「少し話があるんだけど……今、いい?」


雛が俺の腕をぎゅっと握りしめ、警戒した声で聞いた。


「あなた……」


凪沙は雛の言葉を無視するように、俺だけを見つめて続けた。


「急いでるみたいだけど、ちょっとだけ時間をくれない?

……瑛斗のことで、相談したいことがあるの」


その言葉に、俺の背筋が少しだけ冷たくなった。


また同じ事の繰り返し……だけど、以前とは何かが違うような……。


凪沙の目は、冷静を装っているものの、明らかに追い詰められたような光を帯びていた。


ゲームセンターから出てきたところで、突然声をかけられた。



雛が俺の腕をぎゅっと握りしめた。


凪沙は雛を一瞥した後、俺だけに視線を固定した。


「凪沙……もう関わらないでって言ったよね? 今更どんな用事があるっていうんだ」


俺が冷たく言うと、凪沙は悲壮な表情を浮かべた。


「そんな冷たいこと言わないで。あの男に脅されてるの。金を準備しないと、私はあいつのバンド仲間から輪姦されてしまう。そんな事になったらもう生きていられない。お願い、助けて」


その言葉を聞いた瞬間、俺は内心でため息をついた。


またか……どう考えても嘘っぽい。今度は輪姦? もう少しマシな嘘をついて欲しい。


仮に本当にそうだったとしても、警察や親、教師に相談すればいい話だ。


うちの担任ならそう言うことを熱心に聞いてくれるだろう。


それをしない時点で、どう考えても、俺から金を吸い上げる口実を探しているとしか思えない。


「だったら警察にいけよ。俺が首を突っ込む事じゃない」


俺がそう返すと、凪沙の表情がさらに切羽詰まったものになった。


「そんな事したら、私の恥ずかしい動画がネットに拡散されちゃう。あの男に犯された時に動画録られてるのよ。そんな事になったら……私」


その言葉が終わらないうちに、雛がぴしゃりと割って入った。


「嘘つくならもっとマシな嘘つきなよ」


雛の声はいつもの明るさとは打って変わって、はっきりとした苛立ちを含んでいた。


「悠真を泣かせて捨てたくせに、今更何言ってるの?

輪姦だとか動画だとか、そんな大げさな話、信じられるわけないじゃん!」


雛は俺の腕を強く抱きしめながら、凪沙をまっすぐに見つめた。


「悠真はもうあなたのことなんてどうでもいいって言ってるんだよ。

これ以上近づかないで!」


凪沙の顔が一瞬、歪んだ。本当に一瞬だけだったが見逃さなかった。

鋭い舌打ちと共に、射殺すような憎悪の視線を向けたことを。


俺は雛の肩に軽く手を置き、静かに言った。


「凪沙、本当に困ってるなら警察に行け。俺にはもう関係ない。俺達は終わったんだ。君が終わらせたんだ」


凪沙は唇を噛み、俺と雛を交互に見た。


その目には、悔しさと焦りがはっきりと浮かんでいた。


夕陽が沈みかける中、校門前の通りで、気まずい沈黙が流れた。


「お願い悠真、私――」


凪沙の言葉が終わらないうちに、雛が俺の腕を強く引いた。


「悠真、行こう。相手にすることないよ」


雛の声はいつもより少し低く、はっきりとした拒絶の色を帯びていた。

彼女は俺の手を握ったまま、凪沙から体をずらすようにして歩き出そうとする。


俺は軽く息を吐き、凪沙に向き直った。


「俺は君の話に付き合うつもりはない。

繰り返すが、本当に困っているなら、警察や先生に相談した方がいい。それこそ親を頼るべきだろ」


凪沙の表情がわずかに歪んだ。


「親なんて頼れるわけない!!」


「え?」


それは明らかな「本気の拒絶」だった。

なんだ? 凪沙の親について聞いた事はない。


そんなに仲が悪いのか。


いや、そうであったとしても、俺にはもう関係無い。


「悠真お願い……冷たいこと言わないでよ。私は本気で助けを求めてるのに……」


俺は静かに首を振った。


「本気かどうかはわからない。でも、俺はもう君の事情に首を突っ込む気はない。これ以上近づかないでくれ」


雛が俺の腕をもう一度優しく引いた。


「そうだよ、悠真。行こう。こんなところで時間を無駄にしたくないよ」


俺は雛の手を握り返し、軽く微笑んだ。


「そうだな。今日は雛の日だ。邪魔はさせない」


そう言って、俺は雛と一緒にその場を離れた。


「な、何よそれっ、何なのよっ」


背後で凪沙が何か声を上げた気がしたが、振り向かなかった。


歩きながら、俺は自分の胸に手を当てた。


(……少し、変われたかな)


以前の俺なら、凪沙の悲壮な顔を見て動揺し、つい話を聞いてしまっていたかもしれない。

でも今は違う。

雛が隣にいること、そして自分が守るべきものがあることを、はっきり意識できていた。


雛が俺の腕を軽く揺らしながら、明るい声で言った。


「悠真、気にしないで。

今日は雛と一緒に楽しいことだけしようね」


俺は頷き、雛の温かい手に力を込めた。


夕陽が沈みかける通りを、二人は肩を並べて歩き始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ